2021年の大型補助金である事業再構築補助金3次公募の詳細が公表されました。
3次公募から重要な変更点も設けられていますので、申請を予定する方は注意が必要です。
また、これまで事業再構築補助金の補助対象外とされていた事業者でも、申請要件の範囲が拡大されましたので、3次公募で申請できる可能性が出たのも特徴です。
今回は5分で変更点を把握できるように事業再構築補助金3次締め切りの要点を解説します。
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事業再構築補助金の第3回公募の締め切りは2021年9月21日18時までです。
また、第3回公募の開始は2021年7月30日(金)となり、実際の申請受付は8月下旬が予定されています。
8月下旬までは電子申請画面が使えませんので、オープンされるまでの準備期間となります。
なお、事業再構築補助金3次公募への申請は全て電子申請からに限定されておりますので、この8月下旬~9月21日までの期間内に終了させなければなりません。
事業再構築補助金第1回の公募締め切り日には、申込殺到によるシステムエラー、サーバーダウンなどのトラブルも発生していました。
第3回公募に申請する方は、早めにご準備されておくことをお勧めいたします。
事業再構築補助金の第3回からはいくつかの重要な変更が行われることとなっています。
この変更点を知らずに、第2回公募要領だけを理解して申請すると、思いがけないミスや不備につながる可能性もありますので要注意です。
それでは、今回の変更点について解説していきましょう。
事業再構築補助金の3次公募から新たに創設されることとなった特別枠です。
業況が厳しく、最低賃金近傍で雇用している従業員が一定割合以上の事業者を優遇するための特別枠として設けられています。
元々、事業再構築補助金は新型コロナウイルスの影響を受けた事業者に対する救済策として実施されており、影響度や緊急性が高い事業者を優先する制度となっていますので、その一部が強化されたと考えて良いでしょう。
<最低賃金枠と通常枠の比較>
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最低賃金枠 |
通常枠 |
補助率 |
4分の3 |
3分の2 |
採択率 |
優遇(審査で優遇) |
– |
なお、最低賃金枠を利用するためには、通常枠の要件を満たしたうえで、以下の追加要件を充足しなければなりません。
① 2020年4月以降のいずれかの月の売上高が対前年、又は対前々年比で30%以上減少
② 2020年10月から2021年6月の間で、3か月以上最低賃金+30円以内で雇用している従業員が全従業員数の10%以上存在すること
① 、②ともに追加的に対応するというものではなく、現状の状況を踏まえて満たすようであれば、採択率が高く、補助率も高い最低賃金枠は活用したほうがよいと言えるでしょう。
また、最低賃金枠の補助額は最大1,500万円とされています。
この金額を超える補助額を希望する場合には、通常枠などを用いて申請することとなります。
事業再構築補助金の第3回公募から、通常枠の補助上限額が引上げされることとなりました。
ただし、補助上限額の引き上げは、全ての申請希望者に対しての引き上げではなく、従業員数が多い事業者に限定されています。
具体的には、従来の通常枠の最大補助額6,000万円に対し、従業員数51人以上の場合は8,000万円、従業員数101人以上の場合は1億円まで引き上げられることとなりました。
一方、従業員数が20人以下の事業者の場合、事業再構築補助金による補助額は最大4,000万円までに制限が設けられています。
そのため、規模が小さい事業者にとっては、補助額上限が引き下げられる変更となってることにも注意が必要です。。
<通常枠の最大補助額の引き上げ>
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第3次公募からの補助額(変更点) |
第2回までの補助額 |
従業員数20人以下 |
最大4,000万円 |
最大6,000万円 |
従業員数21~50人以下 |
最大6,000万円 |
|
従業員数51人~100人以上 |
最大8,000万円 |
|
従業員数101人以上 |
最大1億円 |
また、第3回事業再構築補助金から運用方法に関する見直しも行われることとなりました。 見直し内容の詳細には以下の点があります。
事業再構築補助金では、新型コロナウイルスの影響を受けて売上高が10%減少していることが申請の要件となっています。
この売上高10%減少要件は事業再構築補助金を申請する際に必ず注意すべき重要な要件です。
従来は、この売上高の10%減少要件が、2020年10月以降の連続する6か月のうち任意の3か月とされていました。
一方、今回の事業再構築補助金第3回公募からは2020年4月以降と対象期間が拡大されることとなったのです。
この変更によって事業再構築補助金に申請できる事業者の範囲は拡大されることになるでしょう。
ただし、2020年9月以前を対象とする場合、2020年10月以降売上高でも5%以上減少していることが必要です。
売上高は増加しているが、利益が圧迫され、業況が厳しい事業者を対象とするため、売上高10%減少要件を付加価値額の減少でも要件を充足することができるようになりました。
事業再構築補助金を活用し、新たに取り組む事業の「新規性」の判定基準について見直しが行われました。
第2回公募までにおいて、新規性要件は「過去に製造等した実績がない」こととされていました。
しかし、この新規性の定義では、新型コロナウイルスの影響下、既にテイクアウトや配達始めるなどの取り組みを始めた事業者は、それに関わる新規設備の導入などに事業再構築補助金が活用できないかといった問題があげられていました。
今回の第3回公募から新規性要件の定義が「コロナ前に製造等した実績がない」ことに見直しされたことによって、新型コロナウイルスの影響後に取り組みを開始したものは補助対象となることが明確化されたことになります。
<事業再構築補助金の運用方法見直しのまとめ>
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第3回公募からの変更 |
第2回までの運用方法 |
売上高10%減少要件の対象期間 |
2020年4月以降 (2020年9月以前を対象とする場合、2020年10月以降で5%以上の減少が必要) |
2020年10月以降 |
付加価値額要件の新設 |
制度を新設 |
制度無 |
新規性要件の定義 |
コロナ前に製造等した実績がない |
過去に製造等した実績がない |
第3回から行われる制度変更によって補助対象者は拡大されることになります。
そのため、第2回までで補助対象外(申請できない)とされた事業者のなかで、あらためて申請対象者に含められることとなった事業者もいますので、諦めていた事業者も再度申請できるかを確認してみるのが良いでしょう。
特に、「売上高10%減少要件」に当てはまらなかった事業者や、「新規性要件」を充足できなかった事業者にはチャンスとなっています。
ここまで事業再構築補助金の第3回公募における重要な変更点を解説いたしました。
変更点のみを確認する場合は以上の解説のみご確認いただければ問題ございませんが、事業再構築補助金の制度も複雑化しており、制度内容が分かりづらくなったと感じる事業者も多いでしょう。
以下では、事業再構築補助金の第3回公募時点における概要をあらためて整理しておきますので、参考としてください。
事業再構築補助金の6つの申請枠と申請条件
申請枠 |
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通常枠 |
① 売上高10%減少要件を満たすこと ② 事業再構築指針に沿った3~5年の事業計画書を認定支援機関と共同で策定すること ③ 補助事業終了後、付加価値額が3~5年の計画で年率平均3.0%以上増加する見込みである事業計画を策定すること |
大規模賃金引上げ枠 |
① 通常枠の要件を充足すること ② 3~5年の事業計画終了までの間、事業場内の最低賃金を年額45円以上の水準で引上げすること ③ 3~5年の事業計画終了までの間、従業員数を年率平均1.5%(初年度は1.0%以上)増員させること |
卒業枠 |
① 通常枠の要件を充足すること ② 資本金又は従業員を増やし、「2.補助対象事業者」に定める中小企業者等の定義から外れ、中堅・大企業等に成長すること |
グローバルV字回復枠 |
① 通常枠の要件を充足すること (売上高減少要件は15%、付加価値額の上昇要件は年率5%以上に設定) ② グローバル展開を果たす事業であること |
緊急事態宣言特別枠 |
① 通常枠の要件を充足すること ② 以下、aもしくはbのいずれかを満たすこと a. 令和3年の国による緊急事態宣言に伴う飲食店の時短営業や不要不急の外出・移動の自粛等による影響を受けたことにより、令和3年1月~8月のいずれかの月の売上高が対前年又は前々年の同月比で 30%以上減少していること b. 令和3年の国による緊急事態宣言に伴う飲食店の時短営業や不要不急の外出・移動の自粛等による影響を受けたことにより、令和3年1月~8月のいずれかの月の付加価値額が対前年又は前々年の同月比で 45%以上減少していること |
最低賃金枠 |
① 通常枠の要件を充足すること ② 2020年10月から2021年6月までの間で、3か月以上最低賃金+30 円以内で雇用している従業員が全従業員数の 10%以上いること ③ 以下、aもしくはbのいずれかを満たすこと a. 2020年4月以降のいずれかの月の売上高が対前年又は前々年の同月比で30%以上減少していること b. 2020年4月以降のいずれかの月の付加価値額が対前年又は前々年の同月比で45%以上減少していること |
申請枠ごとの補助額(最大)と補助率
申請枠 |
補助額 |
補助率 |
通常枠 |
8,000万円 |
中小企業者等 3分の2 中堅企業等 2分の1 |
大規模賃金引上げ枠 |
1億円 |
中小企業者等 3分の2 中堅企業等 2分の1 |
卒業枠 |
1億円 |
3分の2 |
グローバルV字回復枠 |
1億円 |
2分の1 |
緊急事態宣言特別枠 |
① 従業員数5人以下500万円 ② 従業員数6人~20人1,000万円 ③ 従業員数21人以上1,500万円 |
中小企業者等 4分の3 中堅企業等 3分の2 |
最低賃金枠 |
① 従業員数5人以下500万円 ② 従業員数6人~20人1,000万円 ③ 従業員数21人以上1,500万円 |
中小企業者等 4分の3 中堅企業等 3分の2 |
事業再構築補助金に申請するならgBizIDの取得は早めに!
事業再構築補助金3次公募に申請される事業者で、まだgBizIDの取得が完了していない事業者は、早めに登録・申請を完了させるようにしましょう。
事業再構築補助金3次公募への申請は電子申請システムに一本化されており、紙ベースの郵送などは受付されていません。
そして、gbizIDが取得できていないと電子申請を利用することができないのです。
加えて、gBizIDはWEB上からの登録後、郵送による手続きが必要ですが、IDの取得完了までに2~3週間程度の時間が必要となります。
この登録が完了していないと電子申請ができませんので、早めに登録するようにしましょう。
事業再構築補助金の第3回公募が2021年7月30日から開始されました。
そして、第3回公募は2021年9月21日まで申請が可能ですが、申請要件でも定められている通り、経営革新等認定支援機関と共同で事業計画を策定する必要があるため、申請準備には相応の時間がかかります。
今回の第3回事業再構築補助金に申請される事業者は早めに準備を始めることが大切です。
また、第3回公募では、「最低賃金枠の創設」、「通常枠の補助上限額の見直し」「売上高10%減少要件の対象期間拡大」「付加価値額減少による申請」「新規性要件の定義変更」といった変更が行われました。
今回の変更によって、従来、事業再構築補助金の対象外とされていた事業者でも対象となる可能性がありますので、諦めていた事業者も再度検討されてみてはいかがでしょうか。
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