コロナウイルスにより大打撃を受けている世界経済。
日本も例外ではなく、オリンピックの延期、外出制限、外国人の入国制限などの規制により歴史的な経済危機に陥っています。
事業者に対しては政府からの様々な経済措置により、一時的に危機を凌げている事業者もいれば、先行きの見えない不安から経営をやめてしまった方もいるでしょう。
東京商工リサーチによると、コロナ関連の企業倒産件数は、2020年で792件となっており、特に中小企業の倒産が目立ちます。
中小企業は、資金が少なく、銀行からの融資も厳しい場合が多いため、仮に思い切った事業転換をしたくても資金不足で出来ない場合がほとんどです。
コロナによって、人々に生活や価値観が変わってきている今、これまでやってきた事業を諦めて新規事業を考えたい事業者もいるでしょう。
そんな事業者の方は、事業再構築補助金を利用すれば、思い切った事業転換が出来るかも知れません。
今回は、コロナ禍で中小企業の事業転換を促進するために作られた事業再構築補助金について解説します。
これから先、既存の事業に希望が持てないと言う方は是非、読んで参考にしてください。
Contents
事業再構築補助金とは、コロナ禍で中小企業・中堅企業の事業再構築を支援するために作られた補助金制度です。
コロナ禍での経済・社会の変化に対応するために、中小企業等の思い切った事業再構築を支援することで、日本経済の構造転換を促すことを目的としています。
事業再構築補助金を申請出来る企業は、中小企業、中堅企業のみと決まっています。
中小企業、中堅企業の範囲は、以下の通りです。
事業の種類によっても、申請出来る範囲が変わってきますので、よく確認しましょう。
中堅企業の範囲は、令和3年3月29日の時点では、調整中となっていますが、資本金10億円未満となる見込みです。
※大企業の子会社は、支援の対象外となります。
※上記の範囲内であっても、直近3年分(法人であれば事業年度)の課税所得額の平均が15億円を超える場合には、中堅企業としての支援の対象となります。
※「中小企業等経営強化法」第2条第1項が規定する「中小企業者」や収益目的で事業を行う一般社団法人や一般財団法人、NPО法人も支援の対象となります。
中小企業の範囲に入らない企業の中で資本金10億円未満の企業が中堅企業に該当します。
補助金を申請するためには、上記の企業の範囲に入っているだけではなく、いくつかの要件に該当する必要があります。
申請するための要件は以下の通りです。
要件に該当していない企業はそもそも申請する権利がないことになりますので、しっかり確認しましょう。
申請前の直筋6カ月間のうち、任意(いずれか)の3カ月の売上合計が、コロナ前(2019年~2020年3月)の同月3カ月の売上合計と比べて10%以上減少していることが要件となります。
この3ヶ月は必ずしも連続している必要はありません。
例えば、10月、12月、2月の3ヶ月のように、不連続の3ヶ月を選択することも可能です。
既存事業の継続を支援することが補助金の目的ではありません。
あくまで、新分野の事業展開、業態・業種・事業転換等をすることが申請の要件となります。
なお、事業再構築補助金の対象となる取組は、「事業再構築指針」にて示されています。
こちらで事業再構築指針を解説しておりますので、あわせてご確認ください。
事業再構築に取り組む際の事業計画も申請には必要になります。
この事業計画については、自社のみで策定するのではなく、認定経営革新等支援機関を交えて策定する必要があります。
3,000万円を超える補助金を申請する場合には、金融機関(銀行、信用金庫、ファンド)も参加して事業計画を策定することが要件となります。
※金融機関が認定経営革新等支援機関を兼ねる場合には、金融機関のみで問題ありません。
まず、経済産業省が出している事業再構築補助金の全体予算としては、令和2年度第3次補正予算で、1兆1485億円が予算として計上されています。
また、補助金の公募は、1度きりではなく令和3年度でも複数回に分けて実施予定です。
それでは、補助金額と補助率について確認します。
補助金額と補助率についても中小企業と中堅企業で内容に差があります。
※卒業枠とは、400社限定の公募であり、事業計画期内に、組織再編、新規の設備投資、グローバル展開のいずれかを行うことにより、資本金の増資や従業員を増員することで中小企業から中堅企業へ成長する事業者向けの特別枠です。
※グローバルV字回復枠:100社限定の特別枠であり以下の要件を満たした企業。
令和3年の緊急事態宣言により、一定以上の大きな売上減少があった中小企業等について緊急事態宣言特別枠を設けて、より高い補助内容で支援する制度です。
要件と補助率は以下の通りです。
≪要件≫
緊急事態宣言による営業自粛や不要不急の外出自粛の影響を受け、令和3年1月から3月までのいずれかの月の売上が前年対比で30%以下となっている事業者。
※要件に合致していれば、地域や業種は関係ありません。
≪補助率≫
従業員数 |
補助額 |
補助率 |
5人以下 |
100万円~500万円 |
中小企業:3/4 中堅企業:2/3 |
6人~20人 |
100万円~1,000万円 |
|
21人以上 |
100万円~1,500万円 |
なお、特別枠で仮に不採択になったとしても、加点した上で通常枠への申請が可能ですので、特別枠に申請した事業者の方が、採択する確率が上がります。
売上が激減した事業者の方は、まず特別枠の方で申請してみましょう。
補助の要件を満たしていても、対象となる経費でなければ補助の対象とはなりません。
「経費を使っても補助対象の経費ではなくて、補助金がもらえなかった」と言うことにならないよう、よく確認した上で経費を考えましょう。
ここでは補助対象経費について解説します。
※上記は、あくまで主要な経費となります。
該当するかどうか分からない場合には、申請する行政機関に確認をしましょう。
ここでは、補助金が支払われるまでの流れについて解説します。
原則、補助金の支払いは事業者が事業再構築のために支出をしたことを確認した後になります。
補助金交付要綱等に基づき、支出の使途まで確認がされますので、認識とのギャップが生まれないよう、しっかり確認しましょう。
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※補助事業期間(1年程度)
(事業再構築のための投資期間です。この投資額により補助額が決まります。)
※事業者による実績報告(補助事業期間内の支出実績の報告を行います。)
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事業計画は、補助事業期間が終了した後も追って確認がされます。
補助事業期間が終了した後、5年間は経営状況についての年次報告が必要となります。
補助金を利用して導入した設備等は、補助金交付要綱に従って厳格に管理する必要があります。
もし、不正があった場合には、罰則が適用となる可能性がありますので注意しましょう。
第一回の公募は、2021年3月26日から始まります。
申請受付開始は、4月15日予定であり応募締め切りは、4月30日です。
申請は、すべてインターネット上となりますので、「GビズIDプライムアカウント」が必要です。
申請には、事業計画が必要となりますので、指定の認定機関に相談の上、予め準備しておきましょう。
今回は、事業再構築補助金について解説しました。
コロナ禍によって、売上が激減してしまった企業が多い中、諦めずに事業を継続している事業者の方は多いはずです。
未来への希望が持てている事業者もいれば、なかなか希望が持てない事業者の方もいるでしょう。
今回、ご紹介した補助金は、これからの難しい社会の中で変革を求める事業者の方を支援するための補助制度です。
有効に利用すれば、ここからのV字回復が図れるかも知れません。
興味を持った事業者の方がいれば、是非申請だけでもしてみることをおすすめします。
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