中小企業・中堅企業向けの2021年大型の補助金と言えば、事業再構築補助金が有名です。
既に2次締め切りの公募受付までが終了し、1次締め切りについては採択結果が公表されました。
3次の公募は7月後半から10月頃までが予定されています。
この事業再構築補助金にこれから申請される方にとって知っておくべき採択率や採択される事業計画書の特徴や傾向などをまとめてみました。
傾向を知れば採択される可能性も高くなります。
Contents
最初に2021年6月に発表された事業再構築補助金1次締め切りの結果から確認しておきましょう。
まず知っておきたいのは全体の採択率です。
事業再構築補助金の申請には、4つの申請枠が用意されています。
このうち、緊急事態宣言特別枠とは、事業再構築補助金申請時に一定の要件を満たした場合に申請可能となるものです。
主な要件としては、2021年1月以降のいずれかの月の売上高が、新型コロナウイルスの影響前(2020年、もしくは2019年)の同月売上高と比較して30%以上下落していることというものがあげられます。
この要件を満たした事業者のみが申請できるのが緊急事態宣言特別枠です。
つまり、新型コロナウイルスの影響が大きく、それだけ危機に直面している事業者の申請枠であるとも言えます。
そのため、緊急事態宣言特別枠は優先採択の対象となり、その他の申請枠に比べて、加点が受けられ、採択されやすいという特徴があります。
1次公募では、この緊急事態宣言特別枠に全国から5,181件の応募があり、うち採択されたのが2,866件、採択率は55%という結果になりました。
申請者全体のうち約半数が採択されたということになります。
一方、優先採択の対象外となる通常枠に対しては、全国で17,050件の応募があり、そのうち5,150件が採択されたと公表されています。つまり、採択率は30%です。
緊急事態宣言特別枠が55%ですので、およそ半分の採択率であり、申請された3事業者のうち、採択されるのは1事業者のみという結果になりました。
優先採択の緊急事態宣言特別枠で55%の採択率、通常枠は30%、全体で見れば約36%の採択率となりました。
事業再構築補助金は、実施されることが公表された時から、予算規模1兆円以上、新型コロナウイルスによって影響を受けている事業者を救済するための補助金ということもあって、かなり高い採択率となることが期待されていました。
しかしながら、結果的に見れば1次締め切りの採択率が36%というのはかなり低い水準であり、期待外れに近い結果とも言えるでしょう。
事業再構築補助金は新型コロナウイルスの影響を受けた事業者を支援するという目的ではありますが、あくまでも実現可能性、合理性の高い事業計画を策定している事業者を補助するという観点から審査が行われており、1兆円規模といわれる予算を必ずしも使い切ることが目的ではないとされているようです。
そのため、「予算規模が大きいから採択されやすい」というのは誤りであると考えた方が良いでしょう。
2021年6月18日付の日刊工業新聞によれば、事業再構築補助金の1次結果で最も採択率が高かったのは製造業で31.7%、次いで宿泊・飲食業が21.8%、卸売り・小売業が12.4%、建設業が6.7%であったと報じられています。
事業再構築補助金の特徴として、①原則設備投資を行うことが求められ、かつ②新型コロナウイルスの影響を受けて売上が下がっている事業者が対象になるという点があげられます。
この①(設備投資が必要)という点から言えば、比較的大規模な機械を使用する製造業が申請要件にあてはまりやすく、②の新型コロナウイルスの影響を受けて売上が減少しているという点は宿泊業・飲食業が対象になりやすいと考えられ、この2業種がやや有利になっていると言えます。
一方、類似の補助金である「ものづくり補助金」の場合、製造業の採択率は50%超となりますので、事業再構築補助金の製造業採択率は以外と低くなったともとれます。
同時に事業再構築補助金において宿泊業・飲食業がいかに利用しやすい補助金となっているかも理解できるかと思います。
意外と低い事業再構築補助金の採択率ですが、これはあくまでも「採択されやすいと期待して、しっかりと準備したうえで補助金申請を行っていない事業者が多かった」結果であったと当初は推測しています。
つまり、通りやすい補助金であるとの噂が先行し、とりあえず申請した事業者も多かったように思われます。
また、しっかりと準備を行って、実現可能性の高い事業計画を作成した事業者は実際に採択されています。
当所がサポートした事業再構築補助金の申請でも、採択率は75%となり、決して低い採択率ではなく、全体平均の約2倍という成果になりました。
そのため、事業再構築補助金はしっかりと準備すれば、十分に採択される補助金だと考えています。
それでは、具体的にどのように準備すれば良いのでしょうか。それは、以下をご参考ください。
事業再構築補助金の1次申請内容を受けて、事業再構築補助金事務局から「計画作成のアドバイス」が公開されました。
これは審査において注目されたポイントや、実際の申請書において十分に説明されていなかったと判断されたポイントであると考えられます。つまり、この点は最低限押さえて事業計画書を作成する必要があります。
事業再構築補助金事務局がアドバイスするポイントとしては以下のような点があげられます。
以上が事業計画書のポイントです。
しかし、この内容は見て解る通り、事業計画として当然盛り込まれているべき点と言えるでしょう。
にもかかわらず、このようなポイントがあげられているということは、これらの内容が盛り込まれていない計画が多かった、もしくは盛り込まれていても説得力が不十分であったと考えられます。
事業計画書を作成する事業者様は、このポイントをしっかりと理解し、合理的に実現可能性が高いと考える事業計画書を作成する必要があります。
事業再構築補助金では、従前から存在する同種の補助金に存在しなかった「事業再構築指針」が設けられて、この指針に基づく事業計画が補助の対象となると定められました。
そのため、事業再構築指針をどのように解釈し、どのように事業計画を策定していくのかに悩まれた事業者様も多かったようです。
こちらに関しては、以下のようなアドバイスが行われています。
事業再構築補助金に申請するためには、「経営革新等支援機関(通称「認定支援機関」)と協力して事業計画を作成する」という条件が定められています。
しかし、これまでに経営革新等支援機関を活用したことが無い事業者にとって、「経営革新等支援機関とは?」や、「どうすれば経営革新等支援機関を活用できるのか?」と疑問に思われた方も少なくないでしょう。
経営革新等支援機関とは、「中小企業経営力強化支援法」(現在の「中小企業等経営強化法」)という法律に基づいて、認定された「中小企業に対して専門性の高い支援事業を行う支援機関」のことです。
実際の認定は中小企業庁が行っています。
経営革新等支援機関として実際に登録している支援機関は、金融機関や、様々な士業などとなりますが、補助金申請における事業計画の作成としては、経営コンサルタント(中小企業診断士や税理士など)が特に多くサポートしていると考えられます。
なお、アステップ・コンサルティングも中小企業庁の登録を受けた経営革新等支援機関です。これまでの補助金申請だけでなく、中小企業に対する経営管理、経営改善、利益改善などの様々な取組みが認められています。
事業再構築において重要な取組みを、事業計画書の作成だけでなく、計画づくりからサポートいたします。
事業再構築補助金の1次公募の結果、採択率の平均は36%程度と意外に低い結果に終わりました。
しかし、1次公募だけでも申請者数が22,231件(緊急事態宣言特別枠+通常枠の単純合算として)と、同種の補助金に比べて非常に多く、準備不足のなかで申請された方も多かったことが要因であると考えられます。
事業再構築補助金はしっかりと準備して、実現可能性の高い事業計画を作成すれば、採択される可能性は十分にある補助金です。これから申請される方は経営革新等支援機関と相談のうえ、しっかりと準備されるようにしましょう。
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