業種/規模に関わらず、経営者の方にとって、設備投資の必要性を感じる機会は多いでしょう。
しかしながら、大企業に比べて資金力が不足しがちな中小企業/小規模事業者にとって、IT導入は後手に回り勝ちです。
それでも、IT化/設備投資を計画的に実行していかないと、いずれ市場から退場させられてしまいかねません。そんなときに、政府が背中を押して、資金を補助してくれるならどうでしょうか。
今回は、経済産業省が実施する「IT導入補助金」という補助金をご紹介します。
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2019年度より予算が大幅にアップした「IT導入補助金」をご紹介します。IT導入補助金は中小企業、小規模事業者を対象にした補助金です。2019年の公募は全て終了しましたが、人気であり、かつ政府の重要施策の1つでもありますので、2020年以降も引き続き実施されることが予想されます。
2019年8月23日まで、IT導入補助金の二次公募が行われていました。IT導入補助金はかなり長い期間に渡って募集される補助金です。
IT導入補助金では、ソフトウェア・クラウドサービスの新規導入でも補助金をもらえる可能性があります。IT導入補助金を受けるためには、ビジネス用のソフトウェア、またはクラウドサービスを新規に導入すればOKです。
IT導入補助金の申請方法が記載されたリーフレットを読むといささか難しそうにも思えますが、IT導入補助金を申請するポイントはこれだけです。
意外と簡単なのです。補助金対象となるITツールは、販売を行っている事業者が、IT導入補助金の対象であることを明確にして販売しています。ですから、「購入してみたものの、補助金の対象になるツールではなかった」ということはありません。
IT導入補助金については、ベンダーが、補助金の交付申請、実績報告など申請・手続を代理でおこなってくれます。ですから、導入する会社の側の手間は決して多くありません。
たくさんある、補助金対象のサービスから、自社業務に最適なソフトウェアを選んで補助金につなげましょう。
補助金交付の申請をして、交付を受ける前に、ソフトウェア代金の「契約・発注・支払」を行った場合は補助金を受けることができません。この点は注意が必要ではありますが、ベンダーに逐一相談しながら進めていけば問題はありません。
IT導入補助金は、最大でいくらまで補助してもらえるのでしょうか。その額は、最大50万円です。対象製品の購入金額の2分の1が補助されるため、100万円のソフトウェア、クラウドサービスが50万円で購入できることになります。
なお、IT導入補助金の対象となるためには、購入金額のほうに下限があり、30万円となっています。つまり、補助金額の下限は15万円ということです。この金額をしたまわると補助金の対象外となりますので注意が必要です。
また、補助金は後払いとなる点にも注意が必要です。
初期費用の発生するものについては、一旦会社で全額を支払うこととなります。そのため、資金的な余裕が無い方は、一旦金融機関から借入を行っておくなど、資金手当てが必要となります。
2017年は、補助額最大100万円、補助率3分の2でしたので、2018年はそれぞれ低下しています。
IT導入補助金を受けられる、「中小企業」「小規模事業者」の要件について確認しておきましょう。中小企業の定義は法律によりいろいろありますので、ひとつの会社が、適用される法律によって大企業になったり中小企業になったりします。
IT導入補助金の対象となる中小企業には、「中小企業法第2条」におけるものをいいます。
小規模事業者にも定義がありますが、小規模事業者はすべて中小企業に含まれますので、別個に考える必要はありません。
中小企業法による中小企業は、たとえばサービス業の場合、資本金5千万円以下、かつ常勤従業員100人以下の会社です。資本金や、従業員をもとに、規模から判定されます。
<中小企業の定義>
ただし、上記の中小企業の定義に該当しても、次の会社はIT導入補助金の対象外です。
・みなし大企業
・反社会的勢力
・風俗営業・性風俗関連特殊営業
みなし大企業とは次のものを言います。
・発行済株式の総数又は出資価格の総額の2分の1以上を同一の大企業が所有している
・発行済株式の総数又は出資価格の総額の3分の2以上を大企業が所有している
・大企業の役員又は職員を兼ねている者が、役員総数の2分の1以上を占めている
要は、大企業の支配下にあって実質独立していない会社は、外形的には中小企業でも、IT導入補助金の対象外となるということです。
業務を支援するソフトウェアが、IT導入補助金の活用で安価に導入できるわけですが、そうはいってもなにを入れたらいいのかピンと来ないこともあるでしょう。
この点、「クラウドサービス」の導入が、もっともわかりやすいものです。自社サーバでおこなっていた業務をクラウドに移せば、サーバ保守点検の手間と費用が省け、障害対応も速くなって、それだけでも生産性向上に効果を発揮できます。
クラウドサービスの場合、パッケージの定価設定がありませんが、1年分の利用料金が補助金対象となります。
クラウドサービスにもいろいろありますが、SaaSのみがIT導入補助金の対象です。SaaS(サース)は、従来のソフトウェアをクラウド化したサービスのことです。インターネット回線がつながっているときだけ使えるソフトウェアだと思えばいいでしょう。
PaaS、IaaSなど、クラウドサービスの発展形は対象外です。ただしこの点については、技術面に詳しい必要はそれほどないので心配ご無用です。登録されたITツールであることを、業者は明らかにして販売しているからです。
ソフトウェア、クラウドサービスで、IT導入補助金の対象になるITツールは、事前に業者が登録申請を行ったうえ、審査を経たものです。
この、ITツールの目的にもさまざまあります。直接の売上を得るためのもの、給与計算など社内の管理業務に使用するもので、直接の売上に貢献しないものなどです。
IT導入補助金の対象になるITツールは、複数の部門の業務に利用できるものです。ですから、補助金対象のITツールを導入する際には、各部門が連携することが必要です。
ソフトウェアならなんでも導入して補助金の対象になるかといいますとそうではありません。既に汎用性の高いものは対象外です。
たとえばMicrosoftのOfficeはみんな使っており、このようなものを新規に導入しても、今さら中小企業/小規模事業者の生産性は上がりません。
そして、POSレジやデジタルサイネージなどは、ソフトウェアでなくハードウェアです。これらも補助金の対象外となります。既存の機械(ハードウェア)を使って、業務を改善するのがソフトウェアです。クラウドサービスも、既存のインターネット回線を用いるものですからソフトウェアに分類されます。
IT導入補助金を得たいと思ったとき、中小企業/小規模事業者の経営者や、申請担当者はなにから始めたらいいでしょうか。比較的、採択される可能性の高い補助金とは言っても、準備や対応をしっかりと行っておく必要があります。
まず、自社が対象の中小企業であるかないかを確認する必要があります。要件に該当しなければ、補助金の申請はできません。
加えて、IT導入補助金の申請に必要なのは、会社各部門の課題を洗い出すことです。現場での不満もあるでしょうし、もっと大局的な観点から各業務に落とし込みをはかるべき問題もあるでしょう。
いずれにしても、ITツールで問題が改善し、または業務がスムーズになると考えられる事象を洗い出しましょう。そして優先順位を付けます。
それから、補助金対象のITツールを売り出しているベンダーを調べます。会社の各部門にまたがる課題を解決してくれそうなパッケージを候補に入れましょう。
それから、絞り込んだ各ベンダーに相談します。この先は、各ベンダーは説明会を開催していたりして、至れり尽くせりです。ITツール導入の予算については導入する各社で考えなければなりませんが、補助金申請の実務の大部分はベンダーが行ってくれます。
経営者としては、IT導入を図る目的と、その効果、そして導入してからの事業計画などを検討しておかれるのが良いでしょう。
アステップ・コンサルティングでは、IT導入補助金を始め、多くの補助金・助成金の申請をサポートいたします。
補助金の対象になるかどうかの判定から、申請書類の作成、そのための事業計画の作成など、補助金申請を一貫してサポートいたします。
一見複雑に見えるIT導入補助金の申請ですが、次の点が重要なポイントとなりますので、是非、おさえておきましょう。
・対象になるソフトウェアはその旨ベンダーがアピールしている
・ソフトウェアを購入すれば補助金が得られる
・補助金の申請はベンダーが手伝ってくれる
中小企業/小規模事業者にとって是非活用したい補助金の1つです。有効活用しましょう。
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