設備投資を行う中小企業・個人事業主に人気のものづくり補助金ですが、申請にあたっては事業計画書を添付する必要があります。
しかし、補助金申請を希望する方にとって事業計画書の作成は簡単ではありませんので、事業計画書の記載例があれば是非参考にしたいという方も多いでしょう。
今回はものづくり補助金に申請するための事業計画書の記載例についてご紹介します。
Contents
是非参考にしたい事業計画書の記載例・作成例ですが残念ながら公式には公表されていません。
補助金のなかには、申請書を入手できるダウンロードページなどに記載例も一緒に公表されているものもあります。
こういった補助金であれば記載例を参考として、「何を書くべきか」を確認しながら作成するのが原則です。
補助金を実施する中小企業庁や事務局が公表する記載例は、「こういった内容を説明して欲しい」という意思表示でもありますので、記載例は必ず確認すべきものになります。
しかし、ものづくり補助金に関してはこういった記載例が公表されていません。
そのため、記載例を参考にして作成することはできず、事業計画書をどのように作成するかは事業者自身が考える必要があるのです。
しかし、事業計画書の記載例が無いと言っても、どのように事業計画書を作成するかの指標や参考が全く無いと言うことではありません。
事業計画書を作成するにあたって、記載例の代わりに参照するべきものは公表されています。
それは、公募要領で公表されている「審査項目」です。
ものづくり補助金では審査の時にどういった基準で評価・採点するかの「審査項目」が公表されています。
そのため、記載例が無くても、事業計画書を作成する時はこれらの「審査項目」を満たすように作成すれば良いのです。
また、実際に申請した「ものづくり補助金」の採択可否はこの審査項目に沿って事業計画書を作成しているかで大きく影響します。
なお、ものづくり補助金には大きくわけて「適格性(最低減の要件)」と「技術面」「事業化面」「政策面」の3つの審査規準が設けられていますので、それぞれを意識して計画作成することになります。
以降では各審査項目ごとの記載方法について説明したいと思います。
補助対象事業としての適格性とは、「ものづくり補助金に申請できる最低基準の要件」のことを意味します。
この要件を満たしていなければ、審査の対象とならず、申請することもできません。
最低限確認しておくべき補助対象事業の適格性には以下があります。
3~5年計画で「付加価値額」年率平均3%以上の増加等を達成する取組みであること
給与支給総額が年率平均1.5%以上で増加すること
地域別最低賃金+30円以上を満たす事業計画を策定して従業員に表明していること。
交付決定日から10ヶ月以内に、発注・納入・検収・支払等のすべての事業の手続きが完了する事業であること
応募申請時点で補助事業の実施場所(工場や店舗等)を有していること
以下に該当する事業でないこと
⓵本公募要領にそぐわない事業
②事業の主たる課題の解決そのものを他社へ外注又は委託する事業
③ 試作品等の製造・開発の全てを他社に委託し、企画だけを行う事業
④ 公序良俗に反する事業
⑤ 公的な資金の使途として社会通念上、不適切であると判断される事業
⑥ 「補助対象経費」の各区分等に設定されている上限を超える補助金を計上する事業
⑦ 重複案件(同一法人・事業者が今回の公募で複数申請を行っている案件)
⑧ テーマや事業内容から判断し、国が助成する他の制度(補助金、委託費等)と同一又は類似内容の事業。
⑨ 中小企業生産性革命推進事業の他の補助金(小規模事業者持続化補助金等)と同一の補助対象を含む事業。
⑩ 事業再開枠において、地方公共団体等による他の助成制度と同一の補助対象を含む事業。
⑪ 他の中小企業・小規模事業者等から提出された事業と同一若しくは極めて類似した内容の案
⑫ 申請時に虚偽の内容を提出した事業者
⑬ 平成24~29年度のものづくり・商業・サービス補助事業の採択事業者のうち、「事業化状況・知的財産権等報告書」を未提出の事業者
⑭ その他申請要件を満たさない事業
(「令和元年度・令和二年度ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金 公募要領」から抜粋)
以上の適格要件に該当することが、ものづくり補助金の申請の最低条件ということになります。
ここからの3項目が審査・評価のメインとなる部分です。
審査の技術面、事業化面、政策面の3つの観点のうち、技術面から確認していきましょう。
技術面の審査項目とは、ものづくり補助金の対象となる「商品・サービス」の技術力に関する審査になります。
しかし、技術力と言っても解り辛いと思いますので、もう少し具体的に確認していきましょう。
そもそもですが、ものづくり補助金は「中小事業者が取り組む革新的な取組み」を支援するための補助金と定められています。
この革新的な取組みというところが事業計画の作成においてもポイントになります。
大前提として「革新的な取組み」であることが条件ですので、どの程度「革新的」であるかを審査においても確認しています。
ですので、確認される「革新性」について説明しておく必要があります。
具体的には、以下のような点が審査で確認されますので、事業計画書内でも明確に説明しましょう。
① 既存技術の転用や隠れた価値の発掘(設計・デザイン、アイデアの活用等を含む))の革新的な開発となっているか。
② 「中小サービス事業者の生産性向上のためのガイドライン」又は「中小企業の特定ものづくり基盤技術の高度化に関する指針」に沿った取組みであるか(グローバル展開型では、地域内での革新性だけではなく、国際競争力を有しているか)。
③ 試作品・サービスモデル等の開発における課題が明確になっているか。
④ 補助事業の目標に対する達成度の考え方を明確に設定しているか。
⑤ 課題の解決方法が明確かつ妥当であり、優位性が見込まれるか。
⑥ 補助事業実施のための技術的能力が備わっているか。
(「ものづくり補助金公募要領」から抜粋)
これら技術面に関する審査・評価の観点はそれぞれ非常に重要です。
簡単に言えば、技術面とは、対象となる事業が「革新的」であり、他社と差別化するなど強みを発揮できるかということの確認になります。
この革新性や差別化を図っていくための取組を事業計画にも出来るだけ具体的に説明しておきましょう。
ものづくり補助金の申請時には、これらを満たす事業計画書を作成することが必要です。
「事業化面の審査項目」では事業の遂行能力や実現可能性が評価されます。
せっかくものづくり補助金に採択されても、設備投資自体や、その後の新製品・新サービスの開発や販売などが上手く進まず、とん挫してしまっては補助金が無駄になります。
税金を用いた補助金ですので、政府としても、何も実現しないままに無駄に消費されてしまうことは避けなければいけません。
そのための審査項目が「事業化面」にあたります。
事業化面の審査では、事業計画書の記載内容から実現可能性・現実性などを確認するのです。
「遂行能力」とは申請者に事業化を達成する能力があるか、「実現可能性」では事業計画の内容が合理的・妥当なものであり、無理なく遂行できるものであるかを評価します。
具体的には、以下のようなポイントが確認されます。
補助事業実施のための社内外の体制(人材、事務処理能力、専門的知見等)
最近の財務状況等から、補助事業を適切に遂行できると期待できるか
金融機関等からの十分な資金の調達が見込まれるか
市場ニーズが考慮されているか(実際に需要はあるのか)
補助事業の成果の事業化が寄与するユーザー、マーケット及び市場規模が明確か。
クラウドファンディング等を活用し、市場ニーズの有無を検証できているか(グローバル展開型では、事前の十分な市場調査分析を行っているか)。
補助事業の成果が価格的・性能的に優位性や収益性を有しているか
事業化に至るまでの遂行方法及びスケジュールが妥当か。
補助事業として費用対効果が高いか。
以上のような観点から事業計画書を作成することとなります。
それぞれの項目を良く理解して、どのように事業化を成功させるのか、戦略・筋道を説明することが大切です。
政策面とは国(政府)が推進する政策などと関連があるかどうかの審査項目になります。
政策面は必ずしも努力して充足できるものではありませんが、政府の方針に沿った事業は優遇されると考えておけば良いでしょう。
政策面の審査項目をあげると以下のようなものがあります。
上記の項目に該当する事業ではその点をしっかりとアピールしましょう。
前述の通り、ものづくり補助金申請時の事業計画書は、公式に記載例はありませんが、審査項目を充足するように作成していくことができます。
しかし、そうは言っても、事業計画書作りに慣れていない方が、自力で採択されるレベルの事業計画書を作成することは容易ではありません。
ものづくり補助金の採択率(申請した事業者のうち、採択された事業者の比率)は4~5割程度が平均です。
比較的、採択されやすい補助金とは言えますが、各事業者とも相当に努力した申請書を作成していますので、不十分な内容であれば採択されることは難しいと考えられる水準でもあります。
こういった時、ものづくり補助金などの申請をコンサルティングしている専門家に任せることも考えてみましょう。
補助金申請の専門家は、事業計画書の作成にも慣れていますし、ものづくり補助金の審査項目・基準なども熟知しています。
補助金申請の専門家は中小事業様が申請する際の心強い支援者となってくれるはずです。
事業計画書の記載例などを参考にしてものづくり補助金で設備導入したいと考えていた事業者様は、外部の専門家支援・コンサルティングを受けながら事業計画書を作成するのがおすすめです。
アステップ・コンサルティングのものづくり補助金申請サポートのご紹介
アステップ・コンサルティングはこれまで100社以上のものづくり補助金申請支援、サポート実績があります。
そのため、採択されるための事業計画書作成のノウハウ、実績が豊富です。
2022年現在、ものづくり補助金は以下の内容で募集されています。
■ものづくり補助金(一般型・特別枠)の概要
正式名称 |
令和元年度補正・令和二年度補正ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金 |
補助額上限 |
3,000万円(申請者の規模、申請枠によって変動) |
補助率 |
・通常枠:2分の1(小規模事業者は3分の2) |
応募締切 |
6次締切 2022年8月18日 以降、3ヶ月ごとに公募予定 |
設備投資 |
単価50万円以上(税抜き)の設備投資が必要 |
2022年のものづくり補助金の申請も5次締め切りまで終了し、6次締め切りの公募が行われています。
以降も、3ヶ月ごとの公募実施が予定されていますので、これから申請を検討する方も間に合います。
ものづくり補助金は採択されてからしか発注・契約ができず、実際の設備投資までには時間もかかります。
設備投資をご希望される方は早めに申請されることがおすすめです。
残念ながら、ものづくり補助金では記載例や作成例といった事業計画書のサンプルは公表されていません。
そのため、どのような項目を設ければ良いのか、どういった記載方法で事業計画書を作成すれば良いのか悩まれる事業者様も多いでしょう。
こんな時、役に立つのが「審査規準・審査項目」です。
審査項目に沿って事業計画書を作成すれば、採択される可能性は高くなります。
事業者様単独で作成が難しい時や、少しでも採択される可能性を高めたい場合は、経営コンサルタントのような専門家に相談されるのがおすすめです。
関連記事
03-5859-5878受付10:00~18:00