2022年(令和4年)も引き続き公募が行われている「事業再構築補助金」の申請のための条件に「認定経営革新等支援機関と事業計画を策定する」が加えられています。
この認定経営革新等支援機関とはどういったものか、また、どのように対応すれば事業再構築補助金の条件を満たすことができるのか、事業再構築補助金の条件について解説します。
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事業再構築補助金とは2021年(令和3年)3月から公募が開始された比較的新しい補助金制度です。
中小事業者、中堅企業と幅広い事業者が活用でき、最大1億円までの補助金が得られる可能性があるものとして注目度の高い制度となっています。
令和3年2月15日に公表された「事業再構築補助金の概要」によれば、事業再構築補助金の目的には「ポストコロナ・ウィズコロナの時代の経済社会の変化に対応するため、中小企業等の思い切った事業再構築を支援することで、日本経済の構造転換を促すことを目的とします」と記載されています。
また、「コロナの影響で厳しい状況にある中小企業、中堅企業、個人事業主、企業組合等を対象とします。」とも付け加えられており、新型コロナウイルスの影響を受け、売上減少などの影響を受けている事業者が対象となることが解ります。
事業再構築補助金の特徴の1つは、その補助金上限額の大きさです。
中小企業者向けの通常枠で最大6,000万円、中小企業から中堅企業への卒業枠・中堅企業向けで最大1億円の補助金上限額が設定されています。
中小事業者が利用できる補助金のなかで有名なものとして、「ものづくり補助金」があげられますが、こちらは上限額1,000万円ですので、事業再構築補助金の規模の大きさが解るでしょう。
<事業再構築補助金の補助額・補助率詳細>
対象企業 | 申請枠 | 補助額 | 補助率 |
中小企業 | 通常枠 | 100万円~6,000万円 | 3分の2 |
中小企業 | 卒業枠(注1) | 6,000万円超~1億円 | 3分の2 |
中堅企業 | 通常枠 | 100万円~8,000万円 | 2分の1 (4,000万円超は3分の1) |
中堅企業 | グローバルV字回復枠(注2) | 8,000万円超~1億円 | 2分の1 |
(注1) 卒業枠とは400社限定。事業計画期間内に、①組織再編、②新規設備投資、③グローバル展開のいずれかにより、資本金又は従業員を増やし、中小企業から中堅企業へ成長する事業者向けの特別枠。
(注2) グローバルV字回復枠とは100社限定。以下の要件を全て満たす中堅企業向けの特別枠。
① 直前6か月間のうち任意の3か月の合計売上高がコロナ以前の同3か月の合計売上高と比較して、15%以上減少している中堅企業。
② 補助事業終了後3~5年で付加価値額又は従業員一人当たり付加価値額の年率5.0%以上増加を見込む事業計画を策定すること。
前掲の表<事業再構築補助金の補助額・補助率詳細>の通り、事業再構築補助金の補助率は中小企業で3分の2、中堅企業で2分の1が設定されています。
補助率とは、必要な経費総額に対して、補助金を受け取ることのできる割合を指します。
仮に、補助率が3分の2、必要経費総額が1,500万円(税抜)の場合、受け取れる補助金の上限額は1,000万円(=1,500万円×3分の2)となります。
なお、消費税は補助金の対象となりませんので、補助金の計算上消費税は除外します。
つまり、消費税は自己資金で支払う必要があります。
事業再構築補助金は令和3年に初めて開始される補助金制度のため、採択率などの詳細はまだ判明していません。
しかし、事業再構築補助金の採択率がかなり高くなるのではないかといった噂がでています。
「事業再構築補助金は採択されやすい」は本当でしょうか?
もちろん、事業再構築補助金の採択率を現状で断言できるものではありませんが、この噂は信ぴょう性の高いものであると弊所では考えています。
その理由は事業再構築補助金の予算規模にあります。
事業再構築補助金は2020年第三次補正予算で1兆1,485億円の予算が確保されています。
これは他の補助金制度と比較しても、最大規模の予算が確保されていると言えます。
予算規模が大きければ、それだけ採択数が多くなることも予想されます。
また、今回の新型コロナウイルスの影響を克服するためという目的から判断しても、経済活性化のために重要度が高い政策であるとも考えられます。
そのため、相当に高い採択率が予想されます。
事業再構築補助金は2021年3月に初めて1次の公募が行われ、年度内に追加的に4回の公募が行われました。
また、2021年の限定的な補助金かと思われましたが、2022年にも多少の制度変更を行いながら、補助金制度は継続されています。
事業再構築補助金に申請するためには、いくつかの申請要件を満たす必要があります。
ここでは、事業再構築補助金の申請要件を確認しておきましょう。
事業再構築補助金には売上減少要件が設けられています。
具体的には、申請前の直近6か月間のうち、任意の3か月の合計売上高が、コロナ以前(2019年又は2020年1~3月)の同3か月の合計売上高と比較して10%以上減少しているという要件になります。
任意の3ヶ月は連続している必要はありません。
例えば、11月、1月、3月といった不連続の3ヶ月を選択することもできます。
売上減少要件は、新型コロナウイルスの影響を受けている事業者を支援することを目的とした制度であるための要件と考えられます。
なお、売上減少要件を満たさない事業者には、「ものづくり補助金」の活用がおすすめです。
事業再構築指針に沿った新分野展開、業態転換、事業・業種転換等を行うことが要件になります。
事業再構築補助金に申請するためには、申請者が単独で事業計画を作成するだけでは不十分であり、「認定経営革新等支援機関」と協働で作成する必要があります。
詳細は公表前ですが、事業計画の策定に認定経営革新等支援機関が関与し、最終的に、認定経営革新等支援機関が当該事業計画の「合理性」「実現可能性」が高いと判断することを証する「確認書」などを発行し、確認書の添付を申請の要件とするものと予想されます。
この認定経営革新等支援機関の詳細や、要件は以降で解説します。
認定経営革新等支援機関といった名称を聞きなれないと感じる事業者様は多いでしょう。
最初に認定経営革新等支援機関がどういったものか、また役割について確認しておきましょう。
認定経営革新等支援機関とは、中小企業に対して専門性の高い支援を行うための体制を整備するものとして導入された支援機関です。
「中小企業等経営強化法」)にもとづき、中小企業に対して専門性の高い支援事業を行うために、政府が「税務、金融及び企業財務に関する専門的知識や支援に係る実務経験が一定レベル以上の個人、法人、中小企業支援機関等」を認定経営革新等支援機関として認定しています。
つまり、民間の専門家ではありますが、政府が相談機関として適切な知識、経験を保有していると認定された機関ということができるでしょう。
なお、アステップ・コンサルティングも認定経営革新等支援機関として認定を受けています。
アステップ・コンサルティングは金融機関、経営コンサルティングなどの経験者が豊富であり、中小企業診断士といった国家資格も保有しており、適切な相談・コンサルティングが可能であると認められています。
認定経営革新等支援機関は主に以下の役割を担っています。
認定経営革新等支援機関として登録している代表的な専門家は以下の通りです。
各専門家には得意分野・不得意分野や、メリット・デメリットがあります。
どの専門家に相談するかは申請者の状況や要望(どの程度サポートを求めるか)によります。
専門家ごとの特徴や、サポート内容に関して、当所独自の意見を記載いたします。
金融機関(銀行など)
認定経営革新等支援機関として代表的な存在です。
取引金融機関があれば、無料で相談することも可能です。
一方、金融機関から意見はもらえますが、事業計画の作成方法や、補助金申請に関する助言などを詳細に行ってもらえることは稀です。
そのため、単に金融機関と相談して事業計画書を作成しても、採択率が高まるといった効果はあまり期待できません。
但し、事業実施にあたって資金調達(融資)が必要な場合は、資金計画を担保するといった意味で金融機関に事業計画を確認してもらうことは意味があります。
弁護士・行政書士(法律家)
法律的な観点での相談はできますが、「事業計画書」といった観点では専門家とは言えません。
そのため、補助金申請のための相談は適していないと考えられます。
公認会計士・税理士(会計士)
多くの事業者には「顧問税理士」がいますので、顧問税理士が認定支援機関として登録していれば相談可能です。
しかし、当所の経験では、決算の実績を評価できる会計士は多いですが、意外と数値計画を作成できる会計士は少ないように思われます。
それもそのはず、実績としての決算書を作成できることと、将来の事業計画書を作成できることは、全く別の能力です。定性的な事業計画書の作成に慣れていない、もしくは、全く経験の無い会計士が多いようです。
中小企業診断士
中小企業診断士は「経営コンサルタント」として唯一の国家資格です。
中小企業診断士に求められる知識・経験は、事業計画や経営に関する「定性」「定量」両面からの幅広い分野なりますので、補助金申請に適した資格であると考えます。
しかしながら、中小企業診断士保有者のバックグラウンドは様々ですので、診断士ごとの得意分野は異なります。
そのため、補助金申請の経験や、業種など、ご自身に適した資格保有者を選定する必要があります。
民間経営コンサルティング会社
経営コンサルティング会社には必須の資格、許認可がありません。
そのため、極端に言えば、全く知識、経験が無くても、経営コンサルティング会社を開設することが可能です。
そのため、民間経営コンサルティング会社には、ピンからキリまで様々な事業者が存在しています。
どのような事業者であるのか(専門領域、コンサルタントの経験・資格、実績など)を良く確認したうえで選ぶ必要があります。
認定経営革新等支援機関は以下のサイト(中小企業庁ホームページ)から検索することができます。
以下のサイトから希望する地域を選択し、求める専門家区分を選択します。
事業再構築補助金に申請する場合、認定経営革新等支援機関への相談方法についても要件が設けられていますので確認しておきましょう。
認定経営革新等支援機関には、金融機関(銀行、信金、ファンド等)や、専門家(弁護士、公認会計士、税理士、中小企業診断士など)といった幅広い支援者が登録を行っています。
原則、これらの専門家のうち、どちらを選択しても事業再構築補助金への申請は可能です。
しかしながら、補助金額が3,000万円を超える案件に関しては、金融機関への相談が必要とされています。
これは、補助事業は原則として、補助金が後払い(一旦申請者が経費全額を支払ったうえで、後から補助金を受け取る)であることが要因であると考えられます。
3,000万円を超える経費を支出する場合、補助事業者としても自己資金、運転資金など、相応の資金を準備しておく必要があり、資金計画を明確にしておくためにも金融機関と事前相談を行っておくための要件と言えるでしょう。
なお、3,000万円規模の補助金を申請する場合、事業計画の内容自体も高い水準が求められると考えられます。
通常、金融機関は融資審査の観点で意見はもらえますが、事業計画書の作成に関するサポートは十分ではありません。
そのため、経営コンサルタント・金融機関のそれぞれからサポートを受けることが得策であると考えられます。
事業再構築補助金では、申請時に定性面(事業計画)、定量面(数値計画)の両面を準備しておく必要があります。
そのうえ、数値計画としては、補助事業終了後3~5年で付加価値額の年率平均3.0%(グローバルV字回復枠は5.0%)以上増加、又は従業員一人当たり付加価値額の年率平均3.0%(同上5.0%)以上増加の達成を見込む事業計画であることが求められています。
もちろん、単に数値だけクリアしていれば良いという訳ではなく、この数値計画の達成が可能である(実現可能性が高い)と認められる事業計画であることが求められます。
アステップ・コンサルティングでは令和3年の事業再構築補助金申請へのサポートを行っております。
アステップ・コンサルティングは長年の経営コンサルティング経験を活かし、様々な補助金申請に対するサポートも行っており、経営革新等支援機関としても認定を受けています。
事業再構築補助金といった新設制度であっても、各種補助金への申請・サポート経験が豊富であり、適切なサポートを実施いたします。
事業再構築補助金は新型コロナウイルスの影響を克服するために設けられた補助金制度です。
新型コロナウイルスの影響で売上が減少している事業者には是非とも検討して頂きたい制度になっています。
事業再構築補助金は返済不要の補助金であり、中小企業でも最大1億円(通常枠で6,000万円)を受け取れる可能性があります。
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