経営計画サポート

ものづくり補助金で個人事業者・小規模事業者が採択されるための事業計画の作り方

「ものづくり補助金は個人事業者や小規模事業者でも受けられる?」「個人事業者や小規模事業者には不利ではないか?」といった疑問を持たれている方は多いようです。

実際、ものづくり補助金の審査には事業や会社の規模が大きい方が有利だと言うコンサルタントもいるようです。

今回は個人事業者・小規模事業者がものづくり補助金を利用できるのか、また審査に不利というのが事実なのか、そして採択されるための事業計画書の作り方について解説したいと思います。

 

ものづくり補助金の申請要件

最初にものづくり補助金(正式名称は「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金」)の公募要領で個人事業主や小規模事業者の申請可否の要件がどのようになっているのかを確認しておきましょう。

結論から言えば、個人事業主や小規模事業者の申請は可能であり、何ら問題ありません。しかし、個人事業主や小規模事業者に不利な内容となっているかどうかなどは知っておく必要があるでしょう。

 

公募要領というのは、ものづくり補助金に申請する際の「ルールブック」や「基準」となるものです。そのため、公募要領でどのように取り決めされているのかが重要です。

公募要領には、ものづくり補助金に申請できる事業者の条件(要件)として、以下の会社の規模に関する申込要件が設けられています。

 

 申請できる方の要件(規模に関するもの)

 中小企業者(組合関連以外)であること

中小企業者とは資本金又は従業員数(常勤)が下表の数字以下となる会社又は個人であることを指します。

ものづくり補助金に申請できる規模要件(中小企業であること)

この資本金、もしくは従業員数が基準以下である事業者が申請することができます。

ものづくり補助金の場合、この基準を超えていると申請できなくなりますが、以下であれば申請に問題はありません。

つまり、そもそも資本金が無い個人事業主や従業員数が少ない小規模事業者ももちろん申請可能ということです。

 

なお、以下に該当する小規模事業者は「みなし大企業」として扱われますので、上記基準を満たしていても申請できませんので注意が必要です。

  1. 発行済株式の総数又は出資価格の総額の2分の1以上を同一の大企業が所有している中小企業者
  2. 発行済株式の総数又は出資価格の総額の3分の2以上を大企業が所有している中小企業者
  3. 大企業の役員又は職員を兼ねている者が役員総数の2分の1以上を占めている中小企業者
  4. 発行済株式の総数又は出資価格の総額を(1)~(3)に該当する中小企業者が所有している中小企業者
  5. 1~3に該当する中小企業者の役員又は職員を兼ねている者が役員総数の全てを占めている中小企業者

 

ものづくり補助金は個人事業主に不利か?

個人事業者や小規模事業者も、ものづくり補助金に申請できることはお解りいただけたと思います。

それでは、申請後、採択されるかどうかの審査において、個人事業者や小規模事業者が不利な扱いを受けることはあるのでしょうか。

つまり、申請はできるが実際には採択されにくいといった暗黙のルールなどはあるのでしょうか?ここでは、審査における有利・不利などを説明しましょう。

 

実際に小規模事業者が採択されている割合

2020年のものづくり補助金のうち、既に採択結果が公表されている1次締め切り、2次締め切りに占める小規模事業者の割合や採択率を確認してみましょう。但し、個人事業者か小規模企業かまでは分かれていませんので、あくまで個人事業者と小規模企業を含めた「小規模事業者のデータ」となります。

 

 申請者の規模別割合と採択率の関係

ものづくり補助金の会社規模別申請件数と採択率

(出所:ものづくり補助金公式ホームページ)

このデータによると、ものづくり補助金に申請した事業者全体のなかで、従業員数が5人以内(個人事業者・小規模事業者含む)の事業者がもっとも大きい割合(37.6%)を占めており、会社の従業員規模が大きくなるにつれて割合が低下していくことが解ります

さらに、各規模別事業者の採択率を比較したところ、最も採択率が高いのは従業員数が6-20人までの事業者(63.4%)となっており、従業員数5人以内の事業者の採択率は56.4%となっています。

従業員数6-20人規模の会社の採択率が突出して高いですが、その他の規模の事業者には特に大きな差が無いことが解ります。

さらに言えば、従業員数が51人以上となる事業者の採択率(52.9%)は低く、従業員数が101人以上となる事業者はさらに低くなります(49.9%)。

つまり、規模が大きい事業者(従業員51人以上)の方が小規模事業者よりも採択率は低く、企業規模が大きい方が審査に有利とは言えない結果であることが解ります。

 

採択されて補助金を受けることは可能

前述のデータから、個人事業主や小規模事業者であっても、ものづくり補助金が採択されて補助金を受け取ることは十分に可能であることが解りました。

そのため、個人事業主や小規模事業者だから、ものづくり補助金は採択されにくく、実際に受け取ることが出来ないと考える必要は無いと考えて良いでしょう。

 

小規模事業者は加点も得られる

また、2020年のものづくり補助金においては、むしろ個人事業主や小規模事業者が採択されやすくなる措置も設けられています。

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それは、小規模事業者であれば受けられる加点項目が設けられているためです。

加点項目とは、事業計画に対する審査・評価とは別で受けられる優遇措置と考えれば良いでしょう。

ものづくり補助金では従業員数が5人以内(製造業・宿泊業・娯楽業では20人以内)であれば加点を受けられますので、全く同じ事業計画書を作成した複数の企業があるとすれば、小規模事業者として加点を得た方が審査は有利になります。

つまり、個人事業者・小規模事業者は審査が不利になるどころか、むしろ審査に有利になると言うことができるのです。

 

個人事業者が採択されにくいと言われる理由

それでは、なぜ個人事業主や小規模事業者がものづくり補助金への申請は不利だとか、採択されにくいと言われることがあるのでしょうか。

個人事業主や小規模事業者が不利、もしくは採択され難いと言われる理由について当事務所なりの考えをまとめてみました。

 小規模事業者・個人事業者が採択されにくいと考えられる要因

  1. 審査項目に沿った事業計画書の作成が難しい
  2. 社内体制が十分でない
  3. ものづくり補助金が使いにくい
  4. 赤字決算・債務超過の会社が多い

 

審査項目に沿った事業計画書の作成が難しい

ものづくり補助金の申請には、ある程度の時間と工数がかかります。申請の方法や条件などが記載された「公募要領」を熟読し、完全に理解するだけでも手間がかかります。

そのうえ、公募要領に従って書類を準備したり、良い評価を得るための申請書・事業計画書を作成していくにさらに多くの時間と工数がかかりますので簡単ではありません。

 

外部のコンサルタントを使わず、個人事業主や小規模事業者が単独で申請する場合、社内にそれだけの時間と工数をかけられる人員がおらず、経営者が多忙な時間の合間で申請準備を行うというところも少なくありません。

 

そのため、十分な準備ができず、最低限満たすべき要件すら充足できずにとりあえず申請してしまうということもあり得ます。

これでは審査や評価を受ける以前の問題ですので、門前払いに近い状態で不採択となってしまう可能性も高くなります。

また、審査で良い評価を得るための事業計画書にはポイントや作成のコツといったものもあります。

これらのポイントをおさえずに、単に経営者だけで考えた絵事業計画書を作成すると審査上の評価が低くなってしまいます。

審査規準にそった事業計画書の作成が難しい

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社内体制が十分でない

ものづくり補助金の審査・評価では、設備投資によって取り組む事業を成功させるための社内体制が十分に整っているかということも評価されます。

補助事業を実施するうえでは、機械などの設備選定に加え、事業化に向けた各手続き全般を担当する人員が必要です。補助金の審査においては、これらの社内体制が十分であると見込まれるかどうかも評価されますので、この点においては人材が充実している規模の大きい会社が有利となりえます。

 

ものづくり補助金が使いにくい

ものづくり補助金は最大1,000万円までの補助が受けられるということは良く認識されていますが、一方で最低100万円以上が条件であることは見落とされがちです。

仮に、補助率が3分の2である個人事業者、小規模事業者が100万円以上の条件を満たそうとする場合、150万円以上(税抜き)の設備投資を行う必要があります(=100万円÷2×3)。

150万円未満の投資だけであれば、最低基準となる100万円を超えませんので、ものづくり補助金への申請ができないためです。

 

個人事業主・小規模事業者の場合、ここまでの規模の設備投資が必要ないということも十分考えられます。

設備投資を行う場合、補助金を活用するとしても自己資金も並行して必要です(上記なら50万円=150万円-100万円、別途消費税)。

必要以上の設備投資を行うことで資金負担が重くなりすぎることもあり得ますので、こういった事業者にはむしろ使いにくいといったことも考えられます。

ものづくり補助金だけでなく、小規模事業者向けの補助金として「小規模事業者持続化補助金」というものがあり、こちらであれば100万円以内の設備投資・広報費などにも活用しやすくなります

ものづくり補助金の規模だと使い勝手が悪いという方はこちらの「小規模事業者持続化補助金」を検討してみましょう。

 

 アステップの小規模事業者持続化補助金の申請サポート

 

赤字決算・債務超過

個人事業者・小規模事業者のなかには節税などの観点から利益を意図的に少なくし、赤字決算・債務超過にしている事業者もいます。

補助金審査・評価においては、中期的に事業を実施できる資金力も評価するため、赤字・債務超過は審査の減点項目になります。

 

採択されるための事業計画書の作り方

ここまでご説明した点も踏まえ、個人事業者・小規模事業者が採択されるために意識しておきたい事業計画書作成のポイントを解説していきましょう。

採択されるための事業計画書の作り方

審査規準に沿った事業計画書

ものづくり補助金の審査においては事業計画書に記載すべきポイントというのがあります。

このポイントにもとづいて審査や評価が行われますので、審査を受けることを意識した事業計画書を作成しておく必要があります。

例えば以下のような点があげられます。

 事業計画書に記載すべき項目

  • 自社の経営状況
  • 設備投資が必要な理由
  • 費用対効果、及び数値計画の妥当性
  • 事業の革新性
  • 市場分析
  • 事業の将来性
  • 資金計画
  • 社内の体制

これらの項目を満たした事業計画書を作成することが最低条件といって良いでしょう。

 ものづくり補助金の審査規準とは?おさえておきたい3つのポイント

 

事業実施体制を整える

従業員数の多い企業に比べ、個人事業者や小規模事業者の社内体制は不十分となりがちです。

ものづくり補助金の審査では社内体制も確認されますので、従業員数が少ない小規模事業者は不利になることも考えられます。

しかし、社内の人員数が少ないからと言って、ものづくり補助金を受けられなくなるわけではありません。

前掲のデータの通り、従業員数5人以内の事業者でも、数多くの事業者が実際に採択されています。

不足する従業員は外部の協力会社などを活用したり、効率的に事業を実施する工夫を行うなどを検討するのが良いでしょう。

 

資金計画・利益の創出

ものづくり補助金を活用して設備投資を行うとしても、必ず自己資金部分というのが必要になります。

小規模事業者としての補助率3分の2、新型コロナウイルス特別枠を活用しても補助率は最大で4分の3です(2020年時点)。

補助率4分の3、設備投資額400万円の場合、自己資金は100万円(+消費税)が必要になります。

加えて、補助金は後払い(会社自身で一旦全額を支払った後に受け取り)ですので、数ヶ月とは言え、補助金受け取り前に全額を支払うための資金が必要です。

事業計画書の作成にあたっては、この資金計画についても考えておく必要があります。そして、借入を行う必要があれば、事前に金融機関に相談しておくことが求められます。

 

加点項目は多く取る

ものづくり補助金に申請して採択されるためには、加点項目を1つでも多く満たしておくことが大切です。

2020年のものづくり補助金においても、経営革新計画や事業継続力強化計画の認定、賃金の引上げ、新型コロナウイルス対応など、加点項目が定められています。

これらの加点項目に対応しておくことも採択されるためには大切です。

 

 ものづくり補助金の加点項目とは?

 

小規模事業者の採択率が高い理由(所見)

なお、前述のデータにおいて小規模事業者(従業員数5人以内)の採択率が従業員数51人以上の比較的規模の大きい企業によりも高かった要因としては、小規模事業者として受けられる加点の影響もあるでしょう。

しかし、当事務所ではまた別の要因もあると考えています。

それは、事業計画書の作成支援者の存在です。

 

ものづくり補助金の申請においては前述の通り、事業計画書の作成が必要であり、その内容によって審査・評価の大部分が行われます。

そのため、審査規準に沿った事業計画書を作成しておくことが大切です。

しかし、普段から補助金申請や、外部説明用の事業計画書作成になれていない方では、こういった事業計画書を作成することは容易ではありません。

全く同じ設備投資によって同様の新しい取組を行う事業者であっても、事業計画書の作成方法、そして補助金申請時の書面への反映方法次第では審査結果に違いが生まれます。

当事務所の経験では、従業員数が50人未満の中小企業、個人事業主の場合、内部に事業計画書の作成に慣れた人材がほぼ存在せず、補助金申請時には外部の支援者(補助金申請の経験が豊富な経営コンサルタントなど)を活用して申請準備を行う事業者が多いようです。

 

一方、ある程度従業員数の多い企業(特に従業員数が50人超)の場合、内部に経理・財務や経営管理部などの部署を設置していたり、補助金申請などに対応できる人的余裕があることも多く、単独で申請準備を行う企業の割合も高くなります。

しかしながら、人的余裕はあっても、やはり補助金申請になれていない従業員だけでものづくり補助金に申請しても、おさえるべきポイントがおさえられず、採択される可能性は低くなってしまいがちです。

採択率の高低の違いは、こういった補助金コンサルタントの存在有無による影響が大きいと考えています。

 

 アステップのものづくり補助金申請サポートサービスのご案内

 ものづくり補助金の申請はコンサルタントを活用した方が良い理由

 

まとめ

今回はものづくり補助金申請に個人事業主や小規模事業者といった「規模の小さい事業者」が不利になるのか、また申請して採択されることは可能かといった点を解説しました。

  • 個人事業主や小規模事業者でも採択される可能性は十分にある
  • 小規模事業者の採択率は規模の大きい会社(従業員51人以上)よりも高い
  • 小規模事業者だから受けられる加点もある
  • 審査規準にそった事業計画書をしっかりと作ることが大切

もし、個人事業者や小規模事業者であることを理由として、ものづくり補助金に申請しても採択される見込みが無いと考えている方は誤解です。十分に採択される可能性はあります。是非、補助金を有効活用して設備投資を成功させましょう。

 

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