新型コロナウイルスの感染拡大が長期化するなか、店舗を構えて飲食業を行っている方のなかには、売上が大幅に減少するなどの影響を受けている方も多いでしょう。
そのような中、店内だけのサービス提供ではやっていけず、「テイクアウト」、「宅配」、「移動販売」に取り組もうとする事業者も多いでしょう。東京都ではこういった業態転換を支援する助成金を実施しています。業態転換支援助成金を活用すれば費用の5分の4を助成金で負担してもらうことも可能です。
Contents
業態転換支援助成金は東京都からの委託を受けた「東京都中小企業振興公社」が実施する助成金です。
助成金とは、「協力金」や「融資」とは異なり、原則返還不要の資金です。事前に定められた事業活動を目的として交付を受けることができますので、必要な投資・経費支払いを本来よりも費用負担を抑えて行うことができます。なお、国が同様のことを行う場合、「補助金」と呼ぶことが多いのですが、東京都では助成金と呼んでいます。この原則返還不要というのが助成金の大きなメリットになります。
今回の業態転換支援助成金は、飲食業を営む個人事業主や中小企業が、「テイクアウト」、「宅配」、「移動販売」への事業転換を行う場合に利用できる制度です。業態転換支援にかかる費用の一部を東京都が補助してくれます。
業態転換支援助成金の概要を整理すると以下のようになります。
■業態転換支援助成金の概要
対象となる方 |
東京都内で飲食業を営む中小企業者・個人事業主のうち、以下の2点を満たす方が対象です。 ①注文に応じその場所で調理した飲食料品を提供し、飲食可能なスペースを有する事業所 ②新たに「テイクアウト」「宅配」「移動販売」を始める方 |
補助額・受給額 |
最大100万円 |
補助率・助成率 |
5分の4以内(千円未満切り捨て) |
助成対象経費 |
新たにテイクアウト、宅配、移動販売を開始する際の初期経費等で以下のようなもの ①販売促進費(印刷物制作費、PR映像制作費、広告掲載費等) ②車両費(宅配用バイクリース料、台車等) ③器具備品費(WiFi導入費、タブレット端末、梱包・包装資材等) ④その他(宅配代行サービスに係る初期登録料、月額使用料、配送手数料等) |
申請期限 |
随時受付中(予算が無くなり次第終了) *最終受付日 令和2年11月25日(水) |
助成対象期間 |
交付決定日~2021年1月31日(最長3ヶ月間) |
以下、特に重要なポイントについてもう少し詳しく確認しておきましょう。
業態転換支援助成金は、既に東京都内で飲食業を営んでいる方が対象です。この既に飲食業を営んでいる方とは、「飲食可能なスペースを有する店舗内で、調理した飲食料品を提供することができる」という点での確認なります。また、東京都が実施する助成金ですので、東京都内にある店舗である必要があります。
■補助対象者の詳細(法人の場合)
必要確認項目 |
確認方法など |
本店又は支店が東京都内にある |
履歴事項全部証明書に本店、または支店が登記されていること |
店舗が東京都内にあること |
– |
納税証明書を提出できること |
① 都税事務所発行の「法人事業税及び法人都民税の納税証明書」を提出できること ② (決算未到来企業)代表者の直近の「所得税納税証明書(その1)」及び「住民税納税証明書」を提出できること |
■補助対象者の詳細(個人事業主の場合)
必要確認項目 |
確認方法など |
東京都内で営業していること |
都内税務署に提出した「個人事業の開業・廃業等届出書」の写し(税務署受付印のあるもの)により、都内所在等が確認できること |
納税証明書を提出できること |
① 都税事務所発行の「個人事業税の納税証明書」及び都内区市町村発行の「住民税納税証明書」が提出できること(非課税の場合、税務署発行の「所得税納税証明書(その1)」及び都内区市町村発行の「住民税の非課税証明書」 ②1期に満たない方は、代表者の直近の「所得税納税証明書(その1)」及び「住民税納税証明書」を提出できること |
■法人・個人事業主の共通項目(主なもの)
必要確認項目 |
確認方法など |
保健所の許可(必要となる食品関係) |
各許可書等の写しが提出できる |
税金の滞納がないこと |
①東京都及び公社に対する賃料・使用料等の債務の支払いが滞っていないこと ②事業税等の滞納がないこと(分納期間中も申請できません) |
過去の不正の有無 |
過去に公社・国・都道府県・区市町村等から助成を受け、不正等の事故を起こしていないこと |
法的手続き中でないこと |
民事再生法又は会社更生法による申立て等、助成事業の継続性について不確実な状況が存在しないこと |
助成率:5分の4
業態転換支援の助成率は5分の4です。つまり、100万円の投資(経費支払)を行う場合、80万円(=100万円×5分の4)まで助成してもらえる可能性があり、残りの20万円は自己資金で賄う必要があります。各種補助金、助成金のなかでも、助成率5分の4というのは相当に高い水準です。
同様の補助金・助成金のなかでも、対象になるのであれば是非優先的に活用したい助成金であると言えるでしょう。
助成対象期間:交付決定~2021年1月31日まで(最長3ヶ月)
助成対象期間というのは、この期間中に対象経費に関する契約や、発注、納品、支払いを経て、実績報告までの手続きを全て行う必要がある期間のことです。3ヶ月以内に全ての手続きを終わらせる必要があります。せっかく審査に通って採択されても、助成対象期間内に支払いなどが終了していないと、助成金を受け取ることができなくなります。
そのため、交付決定を受けてからは急いで行う必要があると言えます。
助成対象経費としては、以下の4項目を全て満たしたうえで、さらに表を満たすものとなります。
■業態転換支援助成金の対象経費
対象経費 |
内容 |
販売促進費 |
① 印刷物製作費 ② 広告掲載費 ③ PR映像制作費 ④ WEBサイト等製作委託費 ⑤ 看板などの製作費 |
車両費 |
① バイク・自動車(リース・レンタル料・最長3ヶ月間) *購入は対象外 ② 自転車の購入費 ③ その他の車両費 |
器具備品 |
① 通信機器・サービス等 ② 梱包・包装資材など |
各種手数料 |
① 宅配代行サービス料 ② 営業許可等取得手数料 |
工事費 |
店舗等内装工事 |
業態転換支援助成金の申請にあたっては、所定の申請書を作成し、登記簿謄本(履歴事項全部証明書)や、納税書などの必要書類を添付して郵送する必要があります。
書類に不備がある場合、申請を受理してもらえないこともありますので、ミスのないようにしっかりと確認しておく必要があります。また、不備がなくても申請には審査がありますので、審査に通過するようにしっかりと取組内容の説明を記載する必要があります。
なお、業態転換支援助成金は2020年11月25日まで受け付けしています。しかしながら、早く申請すれば、その分早く取組も可能となりますし、そもそも予算がなくなれば期日前に終了となることもあります。早めのご準備がおすすめです。
提出書類の一覧
業態転換支援助成金の申請にあたっては以下の書類を提出する必要があります。
東京都の業態転換支援助成金への申請をご希望の方は、アステップ・コンサルティングにご相談ください。
アステップでは、助成金についてのご説明や、申請要件の確認、申請書の作成など、一貫してサポートいたします。助成金の申請に慣れていない方でも、安心して申請を行うことができます。
新型コロナウイルスの影響が長期化するなか、飲食業の業態転換を希望する方は少なくないでしょう。飲食業を営んでいる方は、是非検討されてみてください。
<新型コロナウイルス対策になる補助金・助成金>
関連記事
03-5859-5878受付10:00~18:00