創業に関する補助金と言えば「創業補助金」が最も広く知られていますが、創業支援事業者補助金とは一体どう違うのでしょうか。
今回は混同しやすい創業補助金との違いを織り交ぜながら、今後ますます注目されるであろう創業支援事業者補助金についてご紹介します。
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創業補助金の対象者となるのは「創業する人」(創業者)ですが、創業支援事業者補助金はそういった創業する人を支援する立場の人が対象となる補助金です。
特に、市町村などの行政と連携して創業支援を行おうとする民間事業者が対象となっています。また、対象となる民間事業者は法人格を有することが条件であるため、中小企業診断士や税理士など個人で法人格を持たずに事業を運営している人については対象となりません。
近年、日本の企業数が全体的に減少していることを受けて、政府では「創業」を強力に支援する動きが活発化しています。企業を増加するために、事業を起こす方を後押しするための施策を用意している訳です。
創業支援といえば商工会や商工会議所、中小企業団体中央会などいわゆる「支援機関・商工団体」と呼ばれる団体が担っていましたが、認定支援機関制度の導入や創業補助金・創業支援事業者補助金の創設など国が総力を挙げて創業を支援する体制を整えると、民間事業者が創業支援に携わる機会が増えてきました。
さらに、近年はライフスタイルの変遷に伴って消費者の消費行動や趣味嗜好が多様化しており、創業の内容や形態も多岐にわたっています。そのため、多種多様な創業支援が必要となり、国全体で創業者だけでなく創業支援事業者を盛り立てる仕組みや制度が導入されているのです。
以降では、実際に「創業支援事業者補助金」の具体的な概要をご説明いたします。ご自身でも申請してみたいとお考えの方は、是非、以下をご参照下さい。
対象になる事業
創業支援事業者補助金の補助事業は大きく2つに分かれています。2つの補助事業それぞれの概要をご説明しておきましょう。
特定創業支援事業
これは最も基本的な創業支援で、創業希望者に対して、商品の売り方などの販路開拓手法や広告宣伝手法、ほかにも経営や経理のノウハウ、人材育成の効果的な方法などの知識を身につけるために行う継続的な支援のことです。
たとえば、創業支援事業者が創業希望者に対して行う創業セミナーや事業計画作成セミナーが特定創業支援事業の一環として行われることが多いです。
創業機運醸成事業
これは創業にまだ興味関心が薄い層を対象として、創業の魅力を伝えるための支援事業です。たとえば小学生に対してお店づくりのワークショップを行うなどワークショップ形式で取り入れられることも多く、今後の創業者の発掘や育成に一役買っています。
創業機運醸成事業は、昨今の企業数の減少を受けて、より多くの人に創業企業に興味を持ってもらうため、近年新たに創設された事業であり、今後ますます需要が高まることが見込まれています。創業支援事業者補助金は以上の2点のどちらかを満たす事業を行う創業支援事業者に補助金を出しているのです。
産業競争力強化法の認定を受けた、または受ける予定である創業支援事業計画に基づき、市区町村と民間事業者等が連携して実施することが必要です。
これだけだと少し解りづらいのですが、「産業競争力強化法」という法律にもとづいて市区町村が実施している「創業支援事業」の連携事業者として、市区町村から認定される必要があります。
創業支援事業者補助金に採択されるかどうかの重要なポイントはここにあります。「創業支援事業」として市区町村に認定されると補助金を受けられる可能性は高まりますが、この認定を受けるのには時間と手間がかかります。
市区町村によっては年に数回という見直ししか行っておらず、希望して相談してもすぐに審査してもらえないことも少なくありません。そのため、「創業支援事業者補助金」の申請を希望される方は、かなり早いタイミングから前もって準備を開始して、市区町村と協議されておく必要があります。
しかし、「創業支援事業者」の認定を受けるための相談は非常に大変です。市区町村に連絡しても、まだまだ「マイナー」と言って良い業務であり、市区町村内部の担当部署に辿り着くだけでも時間がかかります。
申請を希望されている方は、是非、アステップ・コンサルティングにご相談下さい。創業支援事業者の認定から、補助金申請まで、一貫してサポートいたします。
創業支援事業者補助金の補助率は補助対象経費の2/3に定められており、半額以上を補助金で賄うことができる高補助率の補助金になります。
補助対象経費は該当する事業にかかった経費のうち消費税を抜いた額が基本となっており、上限は1,000万円です。その補助対象経費の2/3を補助金で、残りの1/3を自己負担で賄う必要があります。
事業に使うことができる経費の項目としては、謝金、旅費、リース料、会場借料費、広報費、外注費、委託費、人件費など多岐に渡っており、非常に使い勝手のいい補助金です。
まずは所定の様式を使って申請し、審査に通って、「採択された場合」には、定められた補助事業実施期間内に申請時に提出した事業計画を実施します。補助事業期間外に開始・支出した経費は補助対象外となってしまうため、採択通知に記載してある日付より前に事業を開始しないように注意しましょう。
また事業終了日もきちんと把握しておき、それまでにすべての支払いを完了させておきましょう。
補助事業が終了したら支出した際の領収書や請求書、納品書や見積書などを揃えて所定の様式を使って実績報告書を作成します。実績報告書を送付後、事務局で検査されてから補助金が入金される流れになっており、不備書類等があればその都度事務局と連絡を取り合って書類を揃えます。
そうしたやりとりも含めて審査には1ヶ月~2ヶ月程度かかるため、すぐに入金されるわけではないということを認識しておいたほうがいいでしょう。
さまざまな経費が補助対象経費として認められるこの補助金ですが、認められない経費もあるということも覚えておく必要があります。
補助金の大原則として、当該事業以外に使うことができる汎用性の高いものは補助対象として認められません。よくあるのは、パソコンやプロジェクター、高額なソフトウェア、プリンターなどのOA機器、車両などで、これらは非常に高い汎用性が認められるため基本的に補助対象として認められないことを知っておくといいでしょう。
補助事業に使用する目的で購入しても、その他の事業でも共通して利用できるため、補助事業のための資金と特定が難しいのが要因です。
また、クレジットカードを使って支払する際にも注意が必要です。クレジットカードは基本的に引き落としが翌月なので、補助対象期間内に購入しても、引き落としが補助対象期間外であればその経費は補助対象になりません。
最近はインターネットで買い物をすることも多いと思うので注意しましょう。さらに、チラシやパンフレットを作成する際も、当該補助事業の内容に関する文言が入っていないものは補助対象となりません。
実績報告書の提出の際には、広告などの成果物の提出も求められるため創業支援事業者補助金の内容をきちんと盛り込んだものを作成する必要があります。
平成29年度の創業支援事業者補助金は応募が157件あり、そのうちすべてが採択されています。平成29年度に限ると採択率は100%であるといえます。
もちろん、厳正な審査の元で採択されているので、何を出しても採択されるというわけではありません。創業補助金や持続化補助金については年々認知度も高まっており、激戦必至の状況にありますが、創業支援事業者補助金についてはまだまだ認知度が高くありません。
しかし、創業が強力にプッシュされている現在において、当該補助金についてもどんどん認知され始めているため、年々激戦となることは間違いありません。
創業支援事業者補助金を狙うのなら早いうちに手を打つべきであるといえます。
創業支援事業者補助金の最大のポイントは、行政と連携して進めるものでなければならないという点です。
以前は創業支援といえば支援機関や商工団体が担うものでしたが、最近は行政などの自治体を挙げて自分の地域に創業者を増やそうとする動きが非常に活発化しています。
そのため、どの自治体も創業支援に積極的に参画しているため、話が進みやすいのがポイント。行政との連携によって、事業全体が安定化するだけでなく、広報についても大きな効果が期待できます。
自治体にとっても関心の高い創業支援、今後進めない手はなさそうですね。
創業支援事業者補助金についてご紹介しました。創業支援は今後の日本経済の基礎を築くための土台となる非常に重要な事業です。
国全体が創業に対する応援ムードになっているため、創業支援事業者についても国や県から手厚い支援が受けられるはず。
申請は要件を満たしていれば可能なので、ぜひ創業支援事業者補助金の申請を検討してみてはいかがでしょうか。
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