補助金は中小企業の資金調達策のひとつです。補助金には、補助金額が数千万~数億円におよぶものもありますが、補助金額が高くなるほど競争倍率も高くなりますので難易度も高くなります。
そのような高額な補助金を獲得するために、補助金申請のノウハウが豊富な中小企業診断士を活用するのも一手です。そこで、中小企業診断士に補助金の申請代行を依頼するメリットを紹介します。
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中小企業診断士といえば、ビジネスパーソンが取得したい資格ランキングで1位※注1に輝いたり、AIによる代替可能性がわずか0.2%という研究結果※注2が発表されたりと、知名度が徐々に高まっています。
※注1…日本経済新聞(2016年1月12日付)
※注2…野村総研、オックスフォード大学の共同研究より(2015年12月公表)
ところが、弁護士や税理士、司法書士などの他の国家資格とは異なり、中小企業診断士は業務独占資格ではありません。そのせいか、「中小企業診断士とはどんなことをするの?」といった質問をよく聞きます。実際に、具体的な仕事内容をイメージできる人は少ないのではないでしょうか。
中小企業診断士とは、日本で唯一の経営コンサルタントの国家資格です。
業務内容については、中小企業支援法で、経営の診断及び経営に関する助言(第11条)
とされています。
中小企業の現状を分析して、組織・人事、マーケティング、生産管理、財務など、経営全般に関する高度な知識をもとにアドバイスをすることが仕事です。
また、経営診断だけでなく、中小企業と国(行政)をつなぐパイプ役になることも期待されています。補助金をはじめとする中小企業向けの施策を適切に活用し、多くの中小企業を支援することも中小企業診断士の役割です。
中小企業診断士に補助金の申請代行を依頼すると、当然、費用がかかります。申請代行を依頼するとまずは着手金が発生し、採択に至れば成功報酬を追加で支払うのが一般的です。
そのようなコストが発生しても、中小企業診断士に申請代行を依頼するメリットはたくさんあります。
その主なメリットは、次の5つです。
ほとんどの補助金では、申請時に事業計画書の提出が求められます。
その事業計画書をもとに審査員は評価するため、事業計画書の良し悪しが採択結果のかぎを握ります。
事業計画書を作成するうえで肝心なのが、説得力とわかりやすさです。このふたつを満たすには、多面的な視点から構成し、論理的な内容にする必要があります。
中小企業診断士は、合格率4%前後の難関試験において、多面的な知識と論理的思考能力を問われます。また、補助金申請の他、創業支援や企業コンサルなどで事業計画書を作成する機会が豊富にあります。様々な会社の事業計画書を作成することで、計画作成の経験だけでなく、良い計画とそうでないものなど、事業計画を評価する目も鍛えられています。
そのような経験を重ねる中小企業診断士は、精度の高い事業計画書を策定する能力に長けているといえるでしょう。
中小企業診断士には、申請代行で数百件を超える採択実績を持つ人もいれば、過去に補助金の審査官を担当して内情に詳しい人もいます。まさに、補助金制度のスペシャリストです。そのような中小企業診断士は、採択のポイントを熟知しています。
例えば、補助金のノウハウに乏しい人は、事業計画書の作成に全力を傾けがちです。しかし、採択を確実にたぐり寄せるには、精度の高い事業計画書だけでなく、加点項目を満たすこともとても重要です。
中小企業診断士は、加点項目を満たすためのノウハウが豊富ですし、その積み上げに抜かりがありません。
補助金の制度内容は毎年変わります。年度によって大きく様変わりすることもあり、過去と同じ攻略法では通用しない場合もあります。
中小企業診断士はそのような変化にとても敏感です。中小企業診断士が所属する診断士協会や、その支部ごとに様々な研究会が運営され、補助金をテーマとした研究なども行われています。中小企業のサポート業務の質を高めることを目的として、中小企業診断士は常に最新情報の収集に努めています。
また、補助金制度は全国で年間3000以上の公募があるため、自社に合った補助金を探すだけでもたいへんです。
そのため、例えばX社がA補助金の申請するために中小企業診断士に代行を依頼したときに、A補助金よりもB補助金のほうが適している、などとアドバイスされることもあるでしょう。
自社にとって最適で、採択可能性の高い補助金制度を提案してもらえることも、中小企業診断士に依頼するメリットのひとつです。
補助金によっては、事業計画書の提出後に、面接やプレゼンによる審査をすることもあります。特に、金額の大きいものや、創業助成金といったビジネスアイデアが重要となるものにこういった面接が用意されています。
しかし、こういった面接・プレゼンに慣れていない方は、面接で何を質問されるのか、どのようにプレゼンすると高い評価を得られるのか、といった疑問や不安が生じるはずです。
その点も、中小企業診断士の支援が受けられます。先述のとおり、中小企業診断士のなかには面接官を務めた経験のある人もいるため、適切なアドバイスを受けられるでしょう。場合によっては、模擬面接をしてくれることもあります。ノウハウのある中小企業診断士とともに、面接に向けて周到な準備を重ねられるのも大きなメリットでしょう。
補助金は採択されたら終わりではありません。採択後は、書類作成や定期報告、役所の巡回監査などが待ち構えています。補助金によっては、購入したネジ1本1本を精緻に記録しなければならず、作成する書類が山のように積みあがることもあります。「補助金は採択前より採択後の方が大変」と嘆く企業も少なくありません。
また、補助金を受給するのは、たいていの場合、計画した事業が終了した後です。つまり、事業実施から補助金を受給するまでは、自社の資金で立て替え払いしておく必要があります。
もし、採択後の書類作成や経費使用に不備があれば、補助金が減額されてしまうおそれもあり、自社に不利益を及ぶというリスクが生じます。中小企業診断士は、補助金採択後の手続きやリスクマネジメントにも精通しているため、それぞれの状況に応じて、適切な助言をしてくれるはずです。必要であれば、立替払い期間中の銀行借入など、資金調達にも協力します。
補助金の申請代行は誰でもできます。厚生労働省の助成金の申請代行は社会保険労務士の独占業務ですが、補助金の申請代行は無資格でも可能です。それでも、他の士業よりも中小企業診断士が適している理由は、経営全般に精通しているからです。
中小企業診断士は経営、財務、法律など、多面的に知識と実務経験を得ていることを認められて資格を得ています。
事業計画書には、事業構造や収益モデル、財務、市場分析など、あらゆる視点での記載が求められます。税理士や社会保険労務士などの、特定の分野のスペシャリストとは異なり、あらゆる分野にもおいて一定以上の知識を有する中小企業診断士が適任といえるでしょう。
補助金の申請代行を依頼するときに注意しておきたいのが、「すべての中小企業診断士が補助金のスペシャリストではない」ということです。中小企業診断士はバックグラウンドがさまざまです。経営コンサルティング会社出身者もいれば、企業内で働いていた方(経営企画、財務・経理、営業などに所属)、システム会社出身者など多岐にわたります。
そのため、全ての中小企業診断士が最低水準の知識・実務を習得しているとは言え、マーケティングに強い診断士もいれば、財務会計を強みとする診断士もいるなど、人によって得意分野は異なります。
また、中小企業診断士のなかには、補助金に関する知識はあるけど、実際に申請代行をしたことがない人もいます。依頼する中小企業診断士に補助金の採択実績やノウハウがあるかどうかは、事前に調査しておくべきでしょう。
補助金申請のサポートならアステップ・コンサルティングにご相談ください。
アステップ・コンサルティングは経営コンサルティング会社や、都市銀行出身者、投資銀行経験者などによって構成されており、中小企業診断士などの資格も有しています。様々な経験・バックグラウンドを持つ担当者が多面的にお客様をサポートさせていただきます。
単なる「補助金の申請代行」ではなく、基となる事業計画の作成や、市場調査、戦略立案など、幅広くサポートいたします。
補助金の申請は、会社が単独で行うことももちろんできます。しかし、事業計画書の作成は手間も時間もかかるうえに、事業計画書の作成に慣れていなかったり、他社の計画がどういったものかを知らずに作成することは難しいものです。また、不採択になった場合は、申請準備にかけた時間や工数が水の泡になってしまいます。
それらを考慮すると、限りある社内リソースを補助金申請に割くのはリスクが高いと言えるでしょう。
中小企業診断士に代行を依頼するのは費用がかかる一方で、先述したとおり、数多くのメリットを享受できます。補助金による資金調達を検討する際は、選択肢のひとつにすることをおすすめします。
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