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設備投資前に確認しておくべき「先端設備等導入計画」の完全ガイド

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2020.06.08
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アステップコンサルティング
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  • 2020
  • 08
  • Jun

新たなサービスや、商品の開発、もしくは生産性向上につながる設備投資を検討されている経営者には「先端設備導入計画」の申請がおすすめです。

 

先端設備導入計画は政府が実施する中小企業・小規模事業者への支援策です。認定を受けたうえで設備投資を行うことで、税制面や資金調達面での優遇が受けられるようになります。

 

 

Contents

先端設備等導入計画の概要

先端設備導入計画とは、生産性向上特別措置法という法律の一環で行われている事業です。生産性向上特別措置法による支援は、どのような企業が受けられるものなのでしょうか。

最初に、先端設備等導入計画の概要から確認しておきましょう。

 

先端設備等導入計画とは?

先端設備導入計画とは、「生産性向上特別措置法において措置された中小企業や小規模事業者等が、設備投資を通じて労働生産性の向上を図るため」の計画のことを言います。

先端設備導入計画は、新たに設備を導入する「事業所」や「工場」が所在している市区町村が、国から導入促進基本計画の同意を受けていることが前提になります。その同意をうけている市区町村で事業を行っている中小企業や小規模事業者等が、認定を受けられることになります。

 

逆に、同意を受けていない市区町村で設備投資を行う中小企業や小規模事業者等は、先端設備導入計画の認定を受けることができませんので、ご自身が所在する市区町村が対象になるかを確認しておきましょう。

 

認定を受けた中小企業や小規模事業者等は、税制面などの支援措置を活用することができます。

 

 

先端設備等導入計画の認定を受けるメリット

先端設備等導入計画の認定を市区町村から受けることができれば、税制面や、資金調達などで政府の優遇措置を受けられるようになります。これらの優遇措置が、先端設備導入計画に申請するメリットとなりますので、内容を確認しておきましょう。

 

税制面でのメリット

税制支援として、固定資産税の軽減措置が用意されています

 

適用期間内に、中小事業者等が市区町村から認定を受けた先端設備等導入計画に基づき、一定の設備を新規取得した場合に、対象となる設備の固定資産税が軽減される支援を受けることができます。

具体的には、新規取得設備に係る固定資産税の課税標準が3年間にわたって、ゼロから2分の1の間で市町村の定める割合に軽減されます

 

ここでいう中小事業者等とは、以下の3つのどれかに該当する場合で、令和3年3月31日までの期間が適用期間とされています。

①資本金もしくは出資金の額が1億円以下の法人
②資本金もしくは出資金を有しない法人のうち常時使用する従業員数が1000人以下の法人
③常時使用する従業員数が1000人以下の個人

 

先端設備導入計画の対象設備は、以下の表のようになります。

設備の種類

用途又は細目

最低価額

販売開始時期

機械装置

全て

160万円以上

10年以内

工具

測定工具及び検査工具

30万円以上

5年以内

器具備品

全て

30万円以上

6年以内

建物附属設備

全て

60万円以上

14年以内

 

金融支援

先端設備等導入計画が認定された事業者は、資金調達の円滑化の支援も受けられます。

 

先端設備導入計画の認定企業は、資金調達に際し、信用保証協会による追加的な債務保証が認められます。中小企業者は、民間金融機関から融資を受ける際、信用保証協会による保証を利用することが多いでしょう。信用保証協会は担保などが不足することの多い中小企業者の強い味方です。

 

先端設備導入計画の認定を受けると、通常利用できる保証とは別枠で、追加の保証を受けられるようになります。つまり、先端設備導入計画の認定を受けることで、借入できる金額が増額となる可能性があります。

 

保証限度額は、以下の表のようになります。

 

通常枠

別枠

普通保険

2億円

2億円

無担保保険

8,000万円

8,000万円

特別小口保険

2,000万円

2,000万円

 

補助金の優先採択

先端設備導入計画の認定企業は、国が企業向けに行っている補助事業の一部において、優先採択の対象となります。つまり、先端設備導入計画の認定を受けておけば、優先的に採択される対象となり、補助金を受けやすくなるのです。

 

具体的な補助金としては、ものづくり補助金や小規模企業持続化補助金サポイン(戦略的基盤基準高度化支援事業)補助金サービス等生産性向上IT導入支援事業などがあります。

 

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補助金は返済する必要のないお金であり、受けられれば、文字通り「ただ」でお金がもらえます。設備投資や、新規事業への投資などに使えるお金であり、企業の競争力や、生産性を高めることに活用できます。先端設備導入計画の認定を受ければ、これらの補助金が採択されやすくなります。

 

先端設備導入計画の認定を受けると補助金が採択されやすくなります

 

 

先端設備導入計画が実施された背景

中小企業の業績は近年回復傾向にあると言われていますが、労働生産性は決して回復しておらず、大企業との格差は広がっているのが現状です。また、中小企業が所有している設備の老朽化が進んでいるにもかかわらず入れ替えができておらず、さらに最新の新規設備の導入が進んでいない現状もあります。

 

このような環境下、設備投資の遅れが中小企業の生産性の向上にブレーキをかけていると結論づけ、旧型の設備を新しい設備と入れ替え、生産性の向上を図る企業を政府が後押しすることになったのです。

 

この支援の背景は、今後の少子高齢化や働き方改革などの社会情勢を鑑みると、中小企業の労働生産性の向上が急務であり、そのことが日本経済の発展に不可欠であるということです。そこで、中小企業庁では、中小企業の生産性を向上させるために、中小企業で新たに設備投資を行う場合に、固定資産税の特例措置などを盛り込んだ生産性向上特別措置法を施行しました。

 

生産性向上特別措置法では、中小企業が設備を投資することで労働生産性を向上させるための「先端設備等導入計画」を策定し、市区町村の認定を得られた企業が、支援を受けられる仕組みになっています。

 

 

先端設備等導入計画の要件

先端設備等導入計画には誰でも申請できるわけではなりません。申請して認定を受けられるためには、一定の要件を満たしている必要があります。

ここでは、先端設備等導入計画の認定対象となる要件を確認しておきましょう

 

設備を導入する地域

中小企業や小規模事業者等が、計画期間内に労働生産性を一定程度向上させるために、先端設備等を導入する計画を策定し、新たに導入する設備が所在する市区町村における導入促進基本計画等に合致する場合に認定を受けることができます。

 

先端設備等導入計画の認定を受けられるのは、対象となる設備を導入する地域(事業所、工場など)を管轄する市区町村が、先端設備等導入計画を実施している必要があります

 

労働生産性が年平均3%以上向上

先端設備等導入計画の認定を受けるためには、計画期間を3年~5年とし、計画期間内で労働生産性を年平均3%以上向上する計画である必要があります。

 

先端設備導入計画が求める「労働生産性」は以下の式で求める数値となります。

労働生産性=(営業利益+人件費+減価償却費)÷労働投入量(注)

*注:労働投入量=労働者数または労働者数×1人あたり年間就業時間

 

単に営業利益や経常利益を向上させるのではなく、労働生産性の向上が必要となるのが先端設備導入計画の特徴でもあります。

 

従業員数(投入時間数)を変えずに営業利益を増加させる、もしくは、「営業利益+人件費」の水準を下げずに、投入する労働者数を減らすような設備の導入が必要となります。

 

労働生産性が年平均で3%以上成長する事業計画が必要

 

工業会等による証明書の入手

先端設備等導入計画の対象となる先端設備には一定の基準が設けられています。先端設備等とは、労働生産性の向上に必要な生産、販売活動等の用に直接供される設備をいい、具体的には、機械装置や測定工具、検査工具、器具備品、建物附属設備、ソフトウェアが該当します

 

先端設備得導入計画では、新たな設備により、生産性向上に資する指標が旧モデル比で年平均1%以上向上することが求められます。

そして、対象となる設備を確認するものとして、「工業会等から生産性向上要件を満たす設備であることの証明書」を入手する必要があります。

 

工業会等の証明書の入手にあたっては、設備購入を相談している機械メーカーに依頼して行います。先端設備導入計画の認定を受けようとする事業者が直接工業会等に依頼するのではなく、機械メーカーを介して行うことになります。

 

設備導入の相談をするさいには、この工業会等の証明書が発行される機械であることを確認するようにしておきましょう。

 

認定支援機関の確認を受ける

先端設備等導入計画の申請を行うにあたっては、事前に認定経営革新等支援機関に計画を確認してもらい、合理性や実現可能性が高いと確認を受けた上で申請する必要があります。認定支援機関というのは、商工会議所や、金融機関(地方銀行や、信金信組など)、顧問税理士などが主な対象となります。

 

作成した先端設備導入計画に対し、認定支援機関の確認を受けることは必須の要件となっています。認定支援機関から意見を受け、計画の見直しが必要となることもありますので、早めに確認を依頼しておく必要があります。

 

認定を受けられる中小企業等の要件

先端設備等導入計画の認定を受けられる中小企業等の規模は、以下の表のようになります。

業種分類

資本金の額又は出資の総額

常時使用する従業員の数

製造業その他

3億円以下

300人以下

卸売業

1億円以下

100人以下

小売業

5千万円以下

50人以下

サービス業

5千万円以下

100人以下

ゴム製品製造業

3億円以下

900人以下

ソフトウェア業又は

情報処理サービス業

3億円以下

300人以下

旅館業

5千万円以下

200人以下

 

なお、市区町村が定める導入促進基本計画によって対象となる業種等が異なる場合がありますので、事前に設備を導入する事業者が在する市区町村への確認が必要です。

 

 

先端設備等導入計画の申請方法

ここからは、先端設備等導入計画の申請方法について、ご説明します。

 

計画の申請先

先端設備導入計画の申請は、対象となる設備を導入する事業所、もしくは工場などが存在する市区町村を管轄する「産業振興課」に対して行います。例えば、東京都港区の場合は「東京都港区産業振興課」に対して申請を行なうことになります。

 

工場と本社が別の市区町村にある場合、工場に導入する設備であれば、工場のある市区町村に申請することになりますので、間違えないようにしましょう。

 

 

申請書の入手方法

先端設備導入計画の申請様式は各市区町村の産業振興課から入手します。大部分の市区町村ではホームページにも申請様式を掲示しています。

なお、以下は先端設備導入計画を統括する中小企業庁のホームページです。

 

 中小企業庁ホームページへのリンク

 

中小企業庁のホームページにんもひな形となる申請様式の様式が掲示されています。ただし、様式の詳細は各市区町村で異なりますので、そちらで入手することをおすすめいたします。

 

先端設備導入計画は申請書のフォーマットに準じて、様式第1である申請書表紙と別紙の計画書を作成します。計画書には、企業の名称に加えて、計画期間、現状認識を記載し、先端設備等導入に係る事業の内容や実施時期、労働生産性向上の目標、設備の種類や導入時期、資金の額やその調達方法を記載します。

 

先端設備等導入計画の提出書類

先端設備等導入計画の申請には、以下の書類が必要となります。書類準備が整っていないと、申請しても認定されず、手続きに時間がかかってしまいますので注意しましょう。

①申請書の原本(表紙と計画書)
②認定経営革新等支援機関による事前確認書
③その他、市区町村が必要と認める書類(市区町村により異なる)
④返信用封筒

上記の4つの書類を揃えて、新たに導入する設備が所在する市区町村に提出して申請します。

 

申請後、各市区町村によって先端設備導入計画の内容が確認されます。実際に認定を得られるまでの期間は市区町村や、タイミング(人気のある補助金が公募されている時期は混雑している)によって異なります。

 

2週間~1ヶ月程度を目途に結果の回答が得られると思っておけば良いでしょう。

 

先端設備導入計画の認定を受けることは決して難しいことではありませんが、初めて申請される方や、慣れていない方には手間暇がかかるでしょう。認定を得られるためには、先端設備導入による効果を合理的に反映した事業計画が作成する必要があります。

 

また、単に先端設備を購入するだけでなく、実際に事業化に至るまでの施策や、組織体制、スケジュールなども練る必要があります。

 

 

アステップ・コンサルティングにご相談ください

アステップ・コンサルティングでは先端設備導入計画の認定を得たいと考えている企業をサポートさせていただきます。

 

これまでの豊富な事業計画の作成経験や、先端設備導入計画の認定実績をもとに、事業計画や申請書の作成から、認定を得るまでの諸手続きなどをトータルでサポートさせていただきます。

 

 

 

まとめ

先端設備等導入計画は、生産性向上特別措置法において施行された、中小企業や小規模事業者等が、新たな設備投資を行うことにより労働生産性の向上を図るための計画です。

 

これは、2020年度までの「生産性革命・集中投資期間」において、中小企業の生産性革命の実現のため、市区町村に認定を受けた設備投資を支援することになります。この計画が認定された場合には、税制支援や金融支援などの支援措置が受けられますので、期限までに申請書類を揃え、新たに導入する設備が所在する市区町村に提出しましょう。

 

 

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