中小企業/小規模事業者にとって非常に人気が高い「ものづくり補助金(正式名称:ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金)」の2019年2次募集の結果が公表されました。
今回の結果で2019年のものづくり補助金の募集は終了となる見込みですが、来年度の申請を検討されている事業者は多いと思います。
今回の採択結果や、公募内容から見る来年度の準備方法についてまとめておきたいと思います。
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最初にものづくり補助金について簡単に解説しておきます。ものづくり補助金は政府が行っている中小企業・小規模事業者向けの補助金です。補助上限額が1,000万円、補助率2分の1~3分の2と条件が良いため利用希望者の多い補助金制度となっています。
ものづくり補助金の資金使途は設備投資です。
生産性の向上や、新規サービスの導入を検討されている事業者が設備投資を行う場合の資金調達手段として活用できます。
2019年11月5日に平成30年度補正のものづくり補助金2次公募の結果が公表されました。2次公募では1次に比べて応募期間・事業期間が短く設定されるといったこともあり、応募者数は少なくなりますが、それでも2千以上の事業者が採択されました。
今回はこのものづくり補助金2次公募について分析してみたいと思います。
今回のメインテーマとなりますものづくり補助金2次公募の結果を確認していきましょう。特に重要となる採択者数や採択率といった項目に加え、今回の2次公募からの変更点などの特徴について解説していきます。
以下に近年のものづくり補助金の応募者数・採択数(認められて補助金を受けられる数)・採択率(採択数÷応募者数)の推移とそのグラフを表示しました。
まずはこの推移から確認してみましょう。
【採択実績の推移】
年度 |
応募者数 (事業者数) |
採択数 (事業者数) |
採択率 |
平成30年度2次 |
5,876 |
2,063 |
35.1% |
平成30年度1次 |
14,927 |
7,468 |
50.0% |
平成29年度2次 |
6,355 |
2,471 |
38.9% |
平成29年度1次 |
17,275 |
9,518 |
55.1% |
平成28年度補正 |
15,547 |
6,157 |
39.6% |
平成27年度2次公募 |
2,618 |
219 |
8.4% |
平成27年度1次公募 |
24,011 |
7,729 |
32.2% |
平成26年度2次公募 |
13,350 |
5,881 |
44.1% |
平成26年度1次公募 |
17,128 |
7,253 |
42.3% |
平成25年度2次公募 |
14,502 |
4,818 |
33.2% |
平成25年度1次公募 |
15,109 |
6,697 |
44.3% |
平成25年度1次公募 |
7,396 |
2,916 |
39.4% |
平成24年度2次公募 |
11,926 |
5,612 |
47.1% |
平成24年度1次公募 |
10,209 |
4,162 |
40.8% |
平成24年度1次公募 |
1,836 |
742 |
40.4% |
ものづくり補助金に対する応募者数は平成27年度をピークとして減少する傾向にあります。ものづくり補助金としては政府の中小企業支援策として重要なものとなっており、かつ事業者にも人気がありますが、年数を重ねるなかで利用も一巡してきたものと考えられます。
応募者数が減少していること自体はこれから申請を希望している方にとっては有利でしょう。まだまだものづくり補助金自体は継続されることが予想されます。応募者が減少している今こそ、これから補助金を活用したい事業者にはチャンスと言えるでしょう。
次に実際に採択された事業者の割合を示す採択率(=採択数÷応募者数)の推移を確認しましょう。採択率が高いほうが採択される可能性が高いということを意味します。
前述の通り、平成27年度補正ものづくり補助金をピークとして応募者数は減少する傾向が見えます。そして、その時期を境として、採択率は50%を上回る年度が表れ始めています。特に、1次公募であれば50%以上の採択率が継続されています。
なお、今回の平成30年度補正ものづくり補助金(2次)については採択率が35%となりました。この採択率は平成28年度以降の3年間で最低となる採択率でした。
そのため、今回の2次公募に申請された方のなかには、残念ながら採択されなかったという方が多く存在することになります。前述の通り、近年の1次公募は採択率50%超が継続されています。
今回が不採択だからと言って、全くチャンスが無いわけではありません。申請者の事業計画がダメというだけでなく、そもそも2次公募の基準が厳しいという点も原因であることが考えられます。次回の1次公募を照準に合わせ、再度申請されてみることも考えてみることをおすすめいたします。
<関連記事:ものづくり補助金とは?>
今回の2次公募からいくつかの変更点がみられました。そのため、前回までの公募要領だけを見て準備されていた申請者のなかには、変更点に気づかない、もしくは気づくのが遅れて戸惑った事業者もいるものと思います。
この変更点は次回以降も継続されることが予測されますので確認しておきましょう。
今回の2次公募から加点項目となる要素に変更がありました。それは、「事業継続力強化計画」です。
近年の台風、地震などの災害、および将来的に災害が発生するリスクへの対応力を強化することを目的として政府が行っている事業継続力強化計画の認定が加点項目として認められるようになりました。
事業継続力強化計画はしっかりと対応すれば認定されることは難しくありません。
加点項目をおさえることは「ものづくり補助金」の基本です。事業継続力強化計画についてもしっかりと準備するようにしましょう。
<関連:ものづくり補助金の加点項目>
これまでのものづくり補助金では郵送による申請と電子申請のどちらでも申請できました。しかし、今回の2次公募からは電子申請のみに限定されることとなりました。
電子申請は決して難しい方法ではないのですが、慣れていない方には戸惑うことも少なくなかったと思います。
そもそも、ミラサポに対する会員登録が必要となったり、加えて、電子申請の画面から申請内容を登録していく方法にも困ったという方が少なからずいたと思います。特に、申請期限ぎりぎりで電子申請の準備を始めた方は大変だったと思います。
電子申請には時間がかかることもありますので、前もって準備しておくことが大切です。
今回の2次公募で残念ながら採択されなかった事業者の方や、来年度から申請をしたいと希望されている方には以下の点に注意して準備を進めていただきたいと思います。
ものづくり補助金の申請で採択されるためには「加点項目」をできるだけ多く満たしておくことが大切です。近年の申請では、ただ申請書を作成するだけでは採択されるのは難しくなってきています。どの申請者も加点項目に対応していますので、加点項目を満たすことは基本事項となりつつあります。
公募期間内だけで加点項目まで全て対応するのは意外と難しく、前もって準備しておくことが大切です。
ものづくり補助金の申請書内では、やはり事業計画の作りこみが非常に重要です。審査においては事業計画の内容が最も重要な焦点となりますので、ポイントを押さえてつくりこんでおく必要があります。
以下、おもなポイントを整理しておきましょう。
・設備投資を行う目的
・設備投資の結果、競合との差別化が図れるポイント
・設備投資の効果
・事業計画を実行する大切(人員、スケジュールなど)
・事業計画の革新性
・市場の調査(規模、時系列での推移、自社にとっての顧客の反応)
・数値計画の妥当性
以上のような項目に意識しながら、事業計画の作成を行っていく必要があります。
アステップ・コンサルティングは補助金申請の代行だけを業務としているわけではなく、経営コンサルティングを主要業務としています。そのため、「申請書の代理作成」をメインとする事業者と異なり、事業計画や、設備投資計画の作成など、基礎となる部分の準備から完全にサポートいたします。
アステップ・コンサルティングは、会計コンサルティング・経営コンサルティング・大手金融機関出身者などの専門家が存在しており、各方面からサポートが可能です。
また、お客様のニーズに合わせて、補助金申請の採択後も、お客様の事業計画の達成などを含めたサポートを行っていくことも可能です。
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