「ものづくり」は日本のお家芸と呼ばれていた時代は過去のもの、そう言われないためにも生産性や革新性のあるものづくりのアイデアに補助金を出して、経済を活性化させることには意義があります。
昨年来の新型コロナウイルスの感染拡大によって、従来のビジネスモデルが大きく転換を迫られています。
低感染リスクを前提に新しいものづくりを構築することに補助を行うのが「ものづくり補助金 低感染リスク型ビジネス枠」です。
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「ものづくり補助金」とは、経営革新を目的にした「設備投資費用」などが補助の対象となる、中小企業向けの補助金です。
正式には『ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金』と言い、中小企業庁と中小企業基盤整備機構が実施するもので、経営革新のための設備投資(新商品、新サービスの開発、新しい生産方式や提供方式の導入など)のための資金を補助金として支出するものです。
「ものづくり補助金 低感染リスク型ビジネス枠」は、新しくできたものづくり補助金のカテゴリで、新型コロナウイルス感染症の拡大の影響を受け、非接触型の生産様式など、ビジネスモデルの転換に前向きな投資を行う事業者向けに従来の補助金を優遇したものです。
今回の「低感染リスクビジネスモデル枠」は従来のものづくり補助金と比較して以下の特徴が挙げられます。
■ものづくり補助金 低感染リスク型ビジネス枠
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低感染リスク型ビジネス枠 |
従来のものづくり補助金 |
補助率 |
全事業者2/3 |
小規模事業者2/3 小規模事業者以外1/2 |
使用使途 |
設備投資費用 +広告宣伝費(PR費、広告宣伝費、販管促進費) |
設備投資費用 (設備購入、運搬費、原材料費、外注費、知的財産費など) |
補助金上限 |
1000万円 |
1000万円(通常枠) 3000万円(グローバル展開型) |
コロナウイルスの感染リスクを減らすため、非対面、非接触型のものづくり方法を考案した中小企業に補助金を支出します。
従来型の設備投資にかかった費用だけではなく、非対面型のビジネスの宣伝費、PR費なども補助金の対象となります。
非対面、非接触を目的としているので、「実物」がない費用に補助をするのは、ある意味当然と言えるでしょう。
新しいものづくり補助金の概要については理解していただけたはずですが、実際に「低感染リスクビジネス」とはどのようなものなのでしょうか?
具体例をいくつか紹介いたします。
ウィルスの影響は対人接触するからであり、人と人が触れ合わなければ問題ありません。
例えば、遠隔操作や自動制御装置付きの機械や製品を開発すれば、対人接触減に寄与できます。
AI・IoT等の技術を活用した商品開発は「低感染リスクビジネス」の主要なパッケージです。
上と似ていますが、こちらはBtoCなどにも応用できます。
実はもうこれが導入されています。食べ放題の某焼肉チェーンでは肉を店員さんの代わりに、自動歩行ロボットがお客さんの席まで運んでいます。
厨房から、ロボットに肉を載せて、テーブル番号をセットすると、勝手にその席まで持っていってくれるのです。
これなら接触感染のリスクは大幅に減ります。こうしたロボットの開発導入などは低感染リスク型ビジネスの代表例となります。
これまでのビジネスモデルを抜本的に改革するための設備やシステムへの投資です。
キャッシュレスや換気設備の導入が思い浮かびますが、それは別の補助金等の対象であり、今回の低感染リスク型の対象外です。
対象となるのは、例えばこれまで会場で受験していた検定試験を、会場ではなくオンデマンド型のWEB検定にして、受験日の設定をせず、好きな時に受験し採点できるような根本的な試験制度の転換などです。
実際に(この補助金は利用していませんが)、東京商工会議所の検定試験は、これまでの年2回全国同時の検定試験をIBT(Internet Based Test・インターネット経由での試験)で好きな時に受験できるように変更しました。
オンラインにすればよいというだけではなく、受験中にネットを見たりテキストを見たりして回答するのを防がないといけません。
そういう投資についてもシステム投資に該当します。
「ものづくり補助金 低感染リスク型ビジネス枠」は他の補助金にはないメリットがあり、ぜひとも利用を検討したいものです。この補助金のメリットは以下になります。従来よりも積極的に新ビジネスモデルに挑戦できるような仕掛けが施されています。
これまでの「ものづくり補助金」の補助対象は、具体的な設備機械や原材料、車輛等の「現物」のみでした。
しかし、「低感染リスク型ビジネス枠」は新しいビジネスの仕組みを始めたことを外部へPR、広告宣伝する費用についても計上することができます。
より資金使途が広くなるため、従来のものづくり補助金よりも補助される幅が広がります。
従来のものづくり補助金の補助率は小規模事業者2/3、中小企業1/2と、中小企業にとって補助率はやや不利な制度となっていました。
しかし、低感染リスク型ビジネス枠は非小規模事業者である中小企業にとっても、同じ2/3の補助率が適用されます。
そのため、低感染リスク型ビジネス枠を活用できれば自己資金を抑えて、有利に設備投資が可能です。
ある程度、事業がうまくいかないリスクを背負ってでも、非感染ビジネスモデルの構築にトライできます。
ものづくり補助金低感染リスク型ビジネス枠と似たものに「事業構築補助金」というものがあります。
どちらもコロナウイルスの感染を防ぎながら事業を継続していくためのものですが。両者は異なります。
自社の設備投資等がどちらに該当するのか事前に確認しておき、申請できそうな方を選んでください。
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低感染リスク型ビジネス枠 |
事業再構築補助金 |
目的 |
経営革新、生産性向上が主目的 |
コロナ後を展望した事業の再構築 |
対象 |
中小企業、小規模事業者 |
中堅企業、中小企業、小規模事業者 |
経営の変化 |
中程度 |
大きい、事業を完全に転換するような取り組み |
支給額 |
1000万円 |
6000万円 |
補助率 |
2/3 |
2/3 |
申請要件 |
賃上げ |
売り上げの減少 |
補助金使途 |
広告宣伝費を含めて多様な使用使途 |
建物、建物改修費、公告宣伝費 |
大きな違いとして、事業再構築補助金はコロナによって売り上げが下がっていることが条件になりますが、低感染リスク型ビジネス枠は、売り上げ減少ではなく、一定率の賃上げが条件になって江います。
より「攻めの経営」のための補助金だと言えるでしょう。
資金使途が、事業再構築補助金よりも低感染リスク型ビジネス枠の方が広いのも特徴です。
補助金必要額が少額なのであれば、「ものづくり補助金 低感染リスク型ビジネス枠」を利用した方が使い勝手がよさそうです。
アステップ・コンサルティングではものづくり補助金の申請を完全サポートいたします。
アステップ・コンサルティングは、ものづくり補助金の申請を長くサポートしており、申請・採択実績が豊富にあります。
要件の充足から事業計画書の作成、申請における各種手続き、加点項目までフルサポートが可能ですので、安心しておまかせください。
以上、「ものづくり補助金 低感染リスク型ビジネス枠」について説明させていただきました。新型コロナウイルスが従来のビジネスモデルに大きな変化、転換を迫っているのは事実であり、それに対応すべく、積極的に新しいものづくりにチャレンジしていくことが大切です。
「ものづくり補助金 低感染リスク型ビジネス枠」はそれを後押しするもので、従来のものづくり補助金と比較して、補助率や使い勝手が優遇されています。今後、この枠がいつまで続くのか不透明な点もありますが、今行っている新事業が該当すると判断できれば積極的に活用し、今後のビジネス展開につなげていくのが大切です。
資金使途など条件も緩和されています。ぜひ「ものづくり補助金 低感染リスク型ビジネス枠」を知って、申請につなげてください。
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