中小企業/小規模事業者に人気の高い「ものづくり補助金(正式名称:ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金)」の2020年2次締め切りの採択結果が公表されました。2020年は3次締め切り、4次締め切りによる公募も行われますし、一度不採択となってしまった方の再申請も可能です。
今回の採択結果をもとに、2020年のものづくり補助金の特徴や今後の申請で注意すべき点を解説します。
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2020年5月20日を期限として公募された「令和元年度補正予算ものづくり補助金」の2次公募の採択結果が6月30日に公表されました。
特に重要となる採択者数や採択率といった項目に加え、2次公募の結果から考える3次公募の注意点などを整理しておきましょう。
以下は、平成24年度補正予算から最新(令和元年度補正)までのものづくり補助金の応募者数・採択数・採択率(採択数÷応募者数)の推移を表にしたものと、さらにグラフ化したものです。
まずはこの推移から確認してみましょう。
【採択実績の推移】
年度 |
応募者数 (事業者数) |
採択数 (事業者数) |
採択率 |
令和元年度補正2次 |
5,721 |
3,267 |
57.1% |
令和元年度補正1次 |
2,287 |
1,429 |
62.5% |
平成30年度2次 |
5,876 |
2,063 |
35.1% |
平成30年度1次 |
14,927 |
7,468 |
50.0% |
平成29年度2次 |
6,355 |
2,471 |
38.9% |
平成29年度1次 |
17,275 |
9,518 |
55.1% |
平成28年度補正 |
15,547 |
6,157 |
39.6% |
平成27年度2次公募 |
2,618 |
219 |
8.4% |
平成27年度1次公募 |
24,011 |
7,729 |
32.2% |
平成26年度2次公募 |
13,350 |
5,881 |
44.1% |
平成26年度1次公募 |
17,128 |
7,253 |
42.3% |
平成25年度2次公募 |
14,502 |
4,818 |
33.2% |
平成25年度1次公募 |
15,109 |
6,697 |
44.3% |
平成25年度1次公募 |
7,396 |
2,916 |
39.4% |
平成24年度2次公募 |
11,926 |
5,612 |
47.1% |
平成24年度1次公募 |
10,209 |
4,162 |
40.8% |
平成24年度1次公募 |
1,836 |
742 |
40.4% |
近年のものづくり補助金に対する応募者数と採択数をグラフにすると以下のようになります。
公募別の応募者数と採択数の推移
ものづくり補助金に対する応募者数は平成27年度補正1次をピークとして減少する傾向にあることが見て解ります。
ものづくり補助金は平成27年度補正までは補助額上限も3,000万円に設定されており、現在の3倍もの規模となっていました。
そのため、現在よりも、大規模な設備投資に対応しており、その分申請者数も多かったのです。
以降、平成27年度補正からものづくり補助金の上限額は1,000万円となり、さらに、年数を重ねるなかで中小企業・小規模事業者の設備投資も進んでいき、徐々に申請者数が低下しているものと考えられます。
前掲のグラフを、公募ごとから年度ごと(1年間の合計)に変更してものが以下となります。
ものづくり補助金の年度別応募者数・採択数
年度別の応募者数で見ると、今年度(2020年申請分・令和元年度補正予算)の応募者数が前年比、大幅に少ないことが解ります。
これは、2020年度から、ものづくり補助金の申請が通年で行われるように変更となったことが要因であると考えられます。
これまで、ものづくり補助金は1次公募が行われる際に、2次公募が実施されるかどうかは明確に公表されていませんでした。
そのため、年に1回だけの公募となる可能性もあり、是非とも応募したいと考える方は、1次締め切りで申請しておく必要がありました。
さもなければ、2次で申請するつもりが、2次申請が公募されずに、機会を失ってしまう危険があったのです。
一方、2020年からは4次締め切りまで行われることが事前に公表されているため、各応募者はご自身の希望するタイミングで申請することが可能となりました。
結果として、1次締め切り・2次締め切りの合計応募者数は、前年(平成30年度)の半分にも達していないことが解ります。
ものづくり補助金の採択率の推移
次に実際に採択されて補助金を得られる権利を得た方の比率(採択率=採択数÷応募者数)の推移を確認しましょう。
ものづくり補助金に対する応募者数は減少する傾向にありましたが、採択率は高くなる傾向で推移しています
特に、今年度(令和元年)は、1次・2次ともに採択率が50%を上回るなど、これまでに比べて、かなり高い採択率となっています。
但し、1次に比べて、2次締め切りの採択率が低くなっていることも解ります。
今年は、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、ものづくり補助金の2次締め切り分から新型コロナウイルスの特別枠が設けられるようになりました。
そのため、新型コロナウイルスの影響を受け、影響を克服するためにものづくり補助金に申請する方は、優先採択を受けられたり、補助率が緩和されるといった優遇措置がもうけられたのです。
そのため、2次締め切りからは、新型コロナウイルスの影響を乗り越えるための申請がかなり増加したことが予想されます。
その一方で採択率が低下したということは、新型コロナウイルスの特別型での競争が厳しくなってしまったことや、一般型の採択率が大きく低下してしまったことなどが予想されます。
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2020年のものづくり補助金はこれまでの公募内容からいくつかの変更点が設けられました。例えば、以下のようなものが挙げられます。
2020年からの変更点
特に重要となる項目について確認しておきましょう。
2020年のものづくり補助金から、申請が電子申請に一本化され、郵送による申請が不可能となりました。
また、この電子申請を行うにあたっては、事前にgbizIDと呼ばれるアカウントを取得しておくことが必須です。
gbizIDを取得していないと、電子申請を行うことができません。
gbizIDの取得は、混雑時期には3~4週間かかることもあり、アカウント取得を忘れていると、期日ギリギリになって申請できないことに気付いてしまい、対応方法が無いといったことも起こり得ます。
前年まで加点項目として認められていた「経営力向上計画」や「先端設備導入計画」などが加点項目として認められなくなりました。
一方、2019年の2次から始められた事業継続力強化計画は引き続き加点項目として扱われています。
これまで、ものづくり補助金は3~5月頃に1次締め切りが募集され、9月ころに2次締め切りでの募集が行われていました。
但し、2次締め切りは必ずあると言ったものではなく、予算の消化状況によっては募集されないといったこともあるものでした。
しかし、2020年のものづくり補助金から、年4回での通年公募が行われるスケジュールに変更となり、以降は8月に3次締め切り、11月に4次締め切りで募集が行われる予定です。
そのため、より多くの事業者にとって申請しやすい仕組みになったと言えるでしょう。
2020年の3次締め切りでは、新型コロナウイルスの影響を克服するための特別型に対する優遇措置が強化されることとなりました。
具体的には、特別型で採択された場合、補助率が一般型で2分の1であるのに対し、4分の3~3分の2に大幅に緩和されることに加え、事業再開枠として最大50万円の追加費用の使用が可能となります。
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アステップ・コンサルティングは補助金申請の代行だけを業務としているわけではなく、経営コンサルティングを主要業務としています。そのため、「申請書の代理作成」をメインとする事業者と異なり、事業計画や、設備投資計画の作成など、基礎となる部分の準備から完全にサポートいたします。
アステップ・コンサルティングは、会計コンサルティング・経営コンサルティング・大手金融機関出身者などの専門家が存在しており、各方面からサポートが可能です。
また、お客様のニーズに合わせて、補助金申請の採択後も、お客様の事業計画の達成などを含めたサポートを行っていくことも可能です。
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