2020年現在、ものづくり補助金や持続化補助金、IT導入補助金など様々な補助金が実施されています。また、東京都を始め、各都道府県単位で実施されている補助金(東京都では助成金と呼ぶ)もあり、多様な補助金・助成金が存在します。
それでは、こういった補助金・助成金に同時に複数申請して、それぞれを併用することは可能でしょうか。それとも、どれか1件だけにしか申請・受け取りができないといった制限はあるのでしょうか。
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複数の補助金に同時に申請することができるのかどうかは各補助金によって異なります。補助金ごとに制度が異なり、一概に決められているわけではありません。認められているものもあれば、そうでないものもあります。
そのため、複数補助金の併用が認められているものであれば、同時に申請しても良いということになります。
それでは、補助金ごとの取り決め(複数に同時申請して良いのかどうか)はどこで調べることができるのでしょうか。次項では、各補助金の取り決めを調べる方法をご紹介しましょう。
こういった補助金の併用が可能かどうかは、通常、補助金ごとに公表される「公募要領」に定められます。公募要領とは、補助金の実施方法や、申請方法、ご自身が対象となるかどうかの基準などが細かく定められるもので、「補助金申請のルールブック」に相当します。
ですので、申請を検討している各補助金の公募要領を良く確認する必要があります。
公募要領は補助金の実施が決まると、実施する省庁(もしくは省庁から委託を受けている事務局など)が開設するホームページ上に掲載されます。
なお、中小企業庁が全国的に実施している有名な補助金(ものづくり補助金、小規模事業者持続化補助金、IT導入補助金)などは複数補助金を併用することも認めています。
そのため、ものづくり補助金で製造設備を購入して、IT導入補助金で業務用ソフトウェアを購入して、小規模事業者持続化補助金を活用して展示会に出展するといったことも可能です。複数の補助金を同時に申請、受領して事業に活用することは認められています。
もちろん、補助金は中小企業庁だけでなく、各都道府県単位でも実施していますので、もっとたくさんの補助金が存在し、複数申請が可能な補助金も見つかるでしょう。
複数の補助金を上手に活用していけば、1年間で数千万円規模の補助金・助成金が受け取れるといったことも十分に考えられます。
しかしながら、大部分の補助金において同一事業で複数の補助金を併用することは禁止しています。
ここでいう同一事業とは、主に使用目的のことを指します。
例えば、中小事業者などで単一の事業(飲食業など)を営んでいる方が、こちらの事業で補助金を受けたからといって、他の補助金を受け取れなくなるということではありません。
つまり、同一事業で複数の補助金を併用できないというのは、同じ設備を購入するにあたって、A補助金とB補助金を同時に両方利用することはできないということです。
仮に、900万円の製造設備を購入する場合で考えてみましょう。
この時、ものづくり補助金で補助率3分の2の補助が受けられたとします。となると、自己資金は300万円(=900万円×3分の1)、補助金が600万円(=900万円×3分の2)ということになります。
そして、同一設備の購入を目的として、別の補助金(同じく補助率3分の2)にも申請し、採択されたとします。そうなると、ものづくり補助金による600万円に加え、別の補助金でも600万円受け取るとすれば、合計で1,200万円もの補助金を得て、設備の購入金額よりも大きいということにもなってしまいます。
こういった状況を防ぐため、また幅広い事業者ができるだけ補助金を利用できるようにするため、同一の使用目的によって複数の補助金を併用することは禁止されているのです。
なお、同一使用目的であっても、複数の補助金に同時に申請するだけで、それぞれを同時に受け取らなければ問題ありません。補助金には審査がありますので、申請したからといって必ず受けられるというものではありません。不採択となって補助金が得られないこともあります。
そのため、複数の補助金への同時申請だけであれば問題ないことになっているのです。
仮に、複数の補助金で同時に採択された場合、ご自身にとって有利な補助金を選択し、残りの補助金を辞退することになります。複数の補助金を実際に受けなければ問題ないのです。
前述のような複数の補助金に同時に申請しても良いのかといったご質問と一緒に受けることが多い質問に、「同じ補助金に複数回申請しても良いのか」といったものがあります。
同一補助金に複数回申請するケースとしては以下のようなケースがあげられます。
⓵同じ補助金で内容を変えて、複数の申請を同時に行うケース(Aプラン、Bプラン、Cプランなど)
⓶同一年度内で締め切り(申請時期)を変えて再度申請するケース
③一度採択されて補助金を受け取った後、別の内容で再度同じ補助金に申請するケース(A設備で利用して、次回はB設備で申請するといったケース)
結論から言えば、これらの可否も補助金ごとに個別に設定されています。
ここでは例として、「ものづくり補助金」を対象に上記の可否を解説しましょう(多くの補助金はものづくり補助金と同一の取り決めとなっていますので参考になると思います)。
まず⓵の同じ補助金に同時に複数の申請を行うことができるかを確認しましょう。
結論から言って、同時に複数の申請を行うことはできません。
ものづくり補助金では、申請のタイミング(締め切り)ごとに、1事業者が申請できる回数は1回のみとされています。そのため、複数の申請書を準備して、複数の申請をすることはできません。
複数の申請を行うと、最悪の場合、「失格」として1つも採択されない可能性もありますので注意しましょう。
それでは、締め切りの時期をずらせば複数回の申請を行うことはできるのでしょうか。
例えば、2020年に実施されている「ものづくり補助金」では、1次~5次まで、計5回の申請タイミングが用意されています。この時期をずらせば、最大5回までの申請を行うことができるのでしょうか。これは、既に行った申請の採択・交付決定の結果によります。
仮に、1次締め切りのものづくり補助金に申請し、無事に採択され、交付決定も受けたとします。この時、2次締め切り以降のものづくり補助金に申請することはできなくなります。
つまり、ものづくり補助金では、同一年度内において、一度交付決定を受けると、その後の申請はできなくなるのです。
これは、交付決定後に辞退(事業廃止の届け出)したとしても同様です。一度交付決定を受けると、その後の同一年度内の申請はできません。
一方、1次締め切りに申請した結果、不採択だったとします。
この時、2次締め切り以降で、再度申請することはできます。つまり、不採択時の再チャレンジは可能ということです。
なお、ものづくり補助金の場合、同一年度内で交付決定を受けられるのは1度だけですので再度申請するということはできません。
しかしながら、年度が異なれば、再度ものづくり補助金を利用することも可能です。
例えば、2018年や、2019年にものづくり補助金に申請して無事補助金を受け取った事業者も、再度2020年に申請することは可能です。
一度補助金を受け取ったからといって、再申請できなくなるということはありません。
アステップ・コンサルティングのものづくり補助金申請サポートサービス
今回は複数の補助金に同時並行で申請することができるかを取り上げました。
補助金は制度ごとに違いはありますが、大部分の補助金は複数併用したり、同時に申請することも可能です。しかし、購入する設備などが同一の場合、複数の補助金を併用することはできませんので注意が必要です。
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