法人経営をしている経営者にとって絶対に追いかけたい目標の1つが「利益」です。利益がなければ会社は存続していくことも困難ですし、従業員を雇用していくこともできないでしょう。
中小企業経営者や、個人事業主が利益を増やすための方法について解説します。アステップ・コンサルティングが実際の経営改善・事業再生サポートのなかで実践する方法の一部をご紹介させて頂きます。
ただ、一口に「利益」と言っても、経理上では様々な利益があります。
一般的に会社の経営状況を予測する材料となるのは、「経常利益」、もしくは「当期純利益」の場合が多いのですが、ここでは、経常利益を増加させる方法を考えましょう。
当期純利益を増やそうと思うと、特別損益と法人税の計算が必要となりますので、会社の形態や規模、行っている事業によって対策や考え方が大きく異なりますからね。
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法人経営者ならば、「経常利益」は基本的なことですが、念のためおさらいをしておきましょう。経常利益とは、会社の本業から生み出される利益に加え、資金調達・運用などによる利益・費用を加算したものとなります。つまり、企業の本来の活動の結果として生まれる収支と考えられます。
そのため、「利益を増やす」ことを目標とする場合、経常利益を増やすことが大切になります。経常利益を増やすことで、会社の状況を改善させることができます。
なお、経常利益は、基本的に3つの計算の結果として出すことが出来ます。
<経常利益の考え方>
①(売上総利益)=(売上高)-(仕入高)
②(営業利益)=(売上総利益)-(販売費及び一般管理費)
③(経常利益)=(営業利益)+(営業外収益)-(営業外費用)
それでは、経常利益の計算方法について、順番に内容を見ていきます。
売上高は「商品等を販売して得た金額」、仕入高は「商品等を仕入れるために掛かった金額」を指します。80円のみかんを1つ仕入れて100円で売ると、売上総利益は20円、というわけです。
売上総利益は経理上の名称ですが、一般的には「粗利」と呼ぶこともあります。経営者にとっては「粗利」の方が日常的に用いる言葉として親しみがあるかもしれません。粗利が低い場合、そもそもの事業性に問題がある可能性があります。
販売費及び一般管理費の中には、人件費、事務所家賃、接待交際費などが含まれています。
人件費は従業員の給与、賞与、社会保険費などが含まれていますので、より多くの人間を長時間働かせると、販売費及び一般管理費(「販管費」とも呼びます)が上昇します。
営業利益は、「粗利」から、販管費を控除した結果であり、本業によって生まれる利益と考えられています。本業の成否を判断するうえで重要な指標となります。
経常利益とは、営業利益に営業外損益を加えたものです。
営業外損益は、有価証券の売買やローンの返済、社債利息など、本来の営業活動による収益、費用ではないものの、毎年発生しうるものを指します。
額が大きく、一過性があるような支出(火災による損失など)は特別損益として計算します。
このように利益を分解することで、経常利益を上昇させるためには複数のポイントがあることが解ります。
例えば、経常利益を増やす方法として、以下の例があげられます。
・売上高をあげる
・売上高を下げずに仕入高を抑えて売上総利益を上げる(粗利率をあげる)
・販売費及び一般管理費を下げる(営業利益を上げる)
・営業外収益を上げる(経常利益を上げる)
・営業外費用を下げる(経常利益を上げる)
逆に言ってしまえば、経常利益を増やすには、これ以外の改善点は存在しないと言えます。上記のいずれかの方法を実施する必要があります。問題は、その改善の仕方です。
売上総利益を増やす方法から考えていきましょう。以降では、アステップ・コンサルティングがお手伝いし、お客様の利益を改善する際の考え方の一例をご紹介していきます。
まず、売上総利益を増やす方法として、商業活動の起点、仕入を見直しましょう。
業種によってさまざまな仕入価格、仕入先があると思いますが、仕入先の競合他社が、よりよい商材をより安価に提供していないか、きちんとチェック出来ているでしょうか?
「昔からの付き合いだから」という選定理由ももちろんあるとは思いますが、その取引先から仕入れることが最良の選択かどうかは、必ず確認する必要があります。
社会的関係や付き合いというのも理由に含め、適正な仕入価格で購入するために、仕入先選定を都度行うように心がけましょう。
また、相見積もりや、一括購買などの方法も検討しましょう。相見積もりとは、仕入する際に複数の仕入れ先から見積もりを取得して、価格が低い仕入先から購入する方法です。
対して、一括購買とは、特定の仕入れ先に仕入を集めることで、仕入れ量を大きくして、スケールメリットによって、仕入単価を下げるように交渉する方法です。どちらの方法が良いかはケースバイケースとなりますが、有効に活用することで仕入金額を下げることができます。
製造業であれば、仕入した原料を商品にするまでの過程に、必ず加工ロスが発生します。
このロスを減らすための取り組みも不可欠です。より多くの原料をムダなく製品にすることで、より多くの収益が見込め、利益を増やすことにつながります。
加工ロスの削減にあたっては、加工工程を見直すことや、自社の歩留まりを確認するなどの方法によって計画的に行う必要があります。
次に、販売時の売上高を上げる方法を考えます。売上高が少なければ、そもそも利益を増やす余地が少ないことになり、売上高の増加は重要なテーマになります。特に、費用の削減だけを手段とした利益の増加は従業員のモチベーション低下に繋がる可能性がありますが、売上高の増加であれば前向きに取り組みやすいテーマになります。
同じ商品をより高い価格で売ったほうが、売上総利益は上昇します。
ただ、消費者(販売先)は「より高品質なものを、より安価に」手に入れようとしますから、自社製品が「明らかに世界で1つしかない特殊な製品」でない限り、ただ高くしておけばいい、というものではありません。
商品を少しでも高い価格で販売するために重要なのが「ブランディング」です。
ブランディングは、商品に付加価値をつけるのに非常に役立ちます。
例えば、「シャネル」というと、高級な香水やバッグなどをイメージすると思います。
シャネルの商品を購入した消費者は、単にそれらの商品を手に入れたではなく、「高級なブランド品を買った」という事実を手に入れているのです。
また、「生産者の顔が見える野菜」として、農家さんの顔写真を一緒に展示して販売しているスーパーなどもあります。
このとき消費者は、野菜と一緒に「安心」を手に入れていることになるのです。
ブランディングを成功させるには、一般的に長期的な戦略が必要となります。充分で確かな品質や、宣伝活動、問題が起こった時の対応などが重要になり、簡単なものではないということは確かです。その分、しっかりとしたイメージが根付けば、売上高向上にかなり役立つと考えられます。
売上高をあげるためには、営業力の強化は不可欠です。
ただし、営業力を強化すると言っても、現存する営業員に営業成績をあげろというだけでは効果は望めません。
自社の営業戦略や、営業方法を見直し、戦略的に営業力を強化する必要があります。
特定の優秀な営業マンに依存するのではなく、営業マン全体が成果をあげやすくすることが重要です。
販売費及び一般管理費を減らす、というのは、費用の内容や目的を十分に理解して、慎重に行う必要があります。販管費のなかには、営業活動のために必要な金額も含まれていますので、安易に削減すると売上高を減少させてしまうこともあります。
そのため、一律費用全体を●%削減するといった目標を作るなどは有効ではありません。費用を整理・分解して、営業に対する悪影響が少ないものを選別する必要があります。
接待交際費はブラックボックス化しやすく、「本当に必要な接待、打ち合わせだったのか」という点についてあいまいになりがちです。
経常利益を徹底的に削ることを考えるのであれば、「その接待からどのような利益が生まれる、あるいは見込まれるか」という点はフィードバックして考えるべきでしょう。
自社の従業員の飲食費に使われていたり、営業上の効果(売上の期待)が少ないにも関わらず、営業員が行きやすい得意先のために使用されていないかを確認する必要があります。
企業の賃金が低いと、社員が「生活残業」をし始めることがあります。生活残業とは、残業代を目当てに、不要な残業を行う、ということです。
業務の量が変わっていないのに残業時間が異様に長くなったり、日中は暇そうにしているのに夕方になって仕事をし始めたりする場合は、その可能性が高いと言えます。(ただし、精神的に追い込まれていて仕事の効率が落ちている場合もあるので、個々の社員の様子を上司が見て、判断を下す必要があります)
生活残業は企業にとっての生産効率の低下だけではなく、従業員の自由な時間や充分な休息時間を奪うため、誰にとっても利点があるとは言えません。
また、先輩社員が生活残業をしている様子を間近で見て育った後輩社員も同様の傾向を示すようになるため、できるだけ早い段階で手を打つ必要があります。
生活残業をする背景には「帰ってもやることがない」「生活費を稼ぐために残業しているほうがいい」という事情があります。
そのため、方針として「残業を減らす」と言っても、そのようなことをしている人には響かないでしょう。そうではなく、「残業しないほうが得」という制度を構築する必要があるのです。
例えば、「月残業時間が20時間未満の社員は賞与10%アップ」や「残業なしで帰った日数×1,000円の勤労手当が出る」など。残業することに対して罰を与えるのではなく、残業しないことに対して具体的な特典を設けるのです。
こうすることで生活残業を低減し、長期的に見て健全な営業利益を確保できると考えられます。
安易に「給料を下げれば営業利益は上がる」と考えて、従業員全体の給料や賃金を一律下げることは避けた方が良いでしょう。全体の給料の●%カットなど、良くありますよね。
こういった対応は、生活残業が発生する土壌だけではなく、離職者を増やす環境を作ってしまうからです。また、会社の対応に不満が生まれ、離職者が発生する場合、優秀な社員ほど早く退職してしまう傾向にあります。
結果、優秀な従業員が不在となり、転職先が見つからない従業員だけが残ってしまうということもあり得ます。残った従業員は能力も低いうえに、不満が募り、モチベーションが低下しているという最悪の状況につながります。
さらに、離職すると、その社員を育てるためにかかった教育コストが無駄になってしまいます。アルバイトにしても契約社員にしても、一から教育しなおすコストを考えましょう。
長期的に働くことが出来る人間の給料をただ減らす、定時昇給させないというのは、営業利益を上げる中で最も避けたい手段だと言えます。
給料を下げるのであれば、賞与のメリハリをつけ、優秀な社員には悪影響をださず、その他の従業員に対する賞与だけが減少させるなどの対応が必要です。優秀な従業員のモチベーションを下げないことがポイントになります。
経営者の集まりや、どこかの協会の年会費など、事業に対する効果が無いにも関わらず固定的に発生している費用がないかを確認しましょう。
利益を上げるためには、無駄な費用を洗い出し、効果的に削減することが重要です。
営業利益を増やした後に、さらに経常利益を増やすためには、次の対応が必要になります。
営業外収益の中に含まれる「有価証券売買益」や「預金利息」などが利益を増やすための中心的な方法になります。
企業規模がある程度大きくなって、自由にできる資本が増えたときは、積極的に資産運用に回すことを検討したいところです。
もちろん、来期以降の大型出費が見込まれている場合は長期的な投資プランニングが難しいため、社内留保にしておくことも悪くはないのですが、ただタンス預金をしていても、この金額は増えません。
投資・投機を行う際は、主要な取引銀行の窓口などに相談して、どのように運用するのがよいかを相談して決めましょう。
ローンなど、すでに過去に契約して、ほぼ固定でかかる費用については、軽減が難しいと思います。
もちろんではありますが、借金は利息をつけて返済しますから、お金を借りないに越したことはありません。
今後の事業展開において、なるべく無借金経営を心掛け、将来的な営業外費用を低減させることを目指しましょう。
利益を増やすためには以上でご紹介したような方法を、1つ1つ検討・実施していくことが必要です。
しかし、時間的な余裕のない経営者など、ご自身で効率的に行っていくことが難しい方も多いでしょう。
こういった方は、アステップ・コンサルティングにご相談ください。
アステップ・コンサルティングでは、御社の状況を分析することから始め、御社にとって効果的な方法をご提案します。さらに、実際の利益を増やすための施策を実施することもお手伝いさせていただきます。
アステップ・コンサルティングは企業再生・事業再生を数多くお手伝いさせて頂いているため、経営・収支改善の経験が豊富です。実際の事業の現場のなかで培ったノウハウによって御社の利益を増やすためのお手伝いをさせていただきます。
まずは、以下からご相談・ご連絡をお願いいたします。
会社の利益(経常利益)を増加させるためには、以下のことが重要です。
〇 現場環境の見直し
ムダな費用は発生していないか、ムダな残業がないか。
もしムダがあるのなら、どうすれば改善するか。
〇 商品のブランディング化
自社の商品を、より高値で消費者(販売先)に買ってもらうために、どのような商品背景が必要か。
それを「商品イメージ」として定着させるためには、どうしたらいいか。
〇 眠らせている資本の活用
タンス預金状態になっている資本はないか。
搔き集めて投資・投機をした場合、得られると予想される利益(損失)がどれほどか。
これら3点を見直して、会社の経営を改善していきましょう。
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