補助額が大きく(最大1,000万円)、比較的採択されやすい補助金として人気のものづくり補助金ですが、2020年の3次締め切りでは新型コロナウイルスに対する特別枠などいくつかの変更点があります。
3次締め切りでの申請を行う事業者は是非確認しておきましょう。
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ものづくり補助金とは、正式には「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金」のことで、現在募集されているのは令和元年度補正予算・令和二年度補正予算(2020年公募)の3次締め切りとなります。今回のものづくり補助金は新型コロナウイルスの感染拡大を受けた中小企業・小規模事業者への支援策にも位置づけられています。この補助金を略して「ものづくり補助金」と呼ばれています。
2020年(令和元年度・令和二年度補正予算)のものづくり補助金3次締め切り分は以下の内容・日程などで行われます。
■3次締め切りの概要
募集タイプ |
一般型(特別枠含む) |
補助金額 |
100万円~1,000万円 ∔50万円(特別枠限定/事業再開枠) |
補助金概要 |
・中小企業者等が行う「革新的な製品・サービス開発」又は「生産プロセス・サービス提供方法の改善に必要な設備・システム投資など ・単価50万円以上(税抜き)の設備投資があること |
補助対象経費 |
[通常枠] 機械装置・システム構築費、技術導入費、専門家経費、運搬費、クラウドサービス利用費、原材料費、外注費、知的財産権等関連経費 [特別枠] 上記に加えて、広告宣伝費・販売促進費 [事業再開枠]業種別ガイドラインに基づく感染防止対策費 |
補助率 |
[通常枠] 中小企業者 1/2、小規模企業者・小規模事業者 2/3 [特別枠] A類型 2/3、 B・C類型 3/4 [事業再開枠] 定額(10/10、上限50万円) |
公募開始日時 |
令和2年5月22日(金)12時~ |
申請受付 |
令和2年6月10日(水)17時~ |
応募締切 |
令和2年8月3日(月)17時 |
令和元年度補正予算のものづくり補助金3次締め切りの申請期限は8月3日(17時)までとなります。期限を超えてからの申請はできませんので、早めにご準備することをおすすめいたします。
これまでものづくり補助金の採択結果(交付決定)が行われてから、実際の事業実施(設備購入の契約、納品、検収、支払いなど)を行う期間は最長5ヶ月程度でした。この事業実施期間内に支払いまでの全ての事業が終了しないと、せっかく採択されていても補助金の請求ができないというのがネックでした。
しかし、+令和元年度補正予算から、この事業実施期間が10ヶ月に延長されました。そのため、交付決定後、余裕を持って事業を行うことができるようになりました。
令和元年度補正予算(2020年申請分)のものづくり補助金から加点項目が大きく変更となりました。加点項目というのは、ものづくり補助金の採択審査において、申請書や事業計画書の内容の良し悪しに加えて、別途評価の点数を加えてもらえる制度です。
そのため、採択される確度を高め、補助金を受け取る可能性をあげるためには加点項目を1つでも多く獲得することが大切です。
2020年度のものづくり補助金で加点項目として認められるのは以下です。
① 経営革新計画の認定(申請中含む)
② 小規模事業者または創業・第二創業後間もない事業者(5年以内)
③ 新型コロナウイルスの影響を乗り越えるために設備投資等に取り組む事業者
④ 有効な期間の事業継続力強化計画の認定を取得した事業者
⑤ 「給与支給総額を年率2%以上増加させ、かつ事業場内最低賃金を地域別最低賃金+60円」、もしくは「給与支給総額を年率3%以上増加させ、かつ事業場内最低賃金を地域別最低賃金+90円」とする計画を有し、従業員に表明する事業者
⑥ 被用者保険の適用拡大の対象となる中小企業が制度改革に先立ち任意適用に取り組む場合
以上の6項目となります。前回までのような「経営力向上計画」や「先端設備導入計画」などは加点対象からは除外されています。
一方、小規模事業者や創業から間もない事業者はそれだけで加点対象となります。ものづくり補助金では小規模事業者などに対する優遇措置が設けられていますので、業歴が浅い事業者、規模の小さい事業者も積極的に活用してみられるのが良いでしょう。
また、2020年のものづくり補助金では、新型コロナウイルスの感染拡大の影響を受け、克服するための事業者は優先採択されることとなっていることにも留意しておきましょう。
ものづくり補助金は近年の新型コロナウイルスの感染拡大の影響を受けた事業者が、影響を乗り越えるための施策の1つとされています。それを受けて、新型コロナウイルス対策となるいくつかの優遇措置や、特別枠などが設けられています。
通常のものづくり補助金は補助率が2分の1になります(小規模事業者は3分の2)。しかし、新型コロナウイルスの感染拡大の影響を乗り越えるための「特別枠」に該当すれば、補助率は最大4分の3が認められます。
今回のものづくり補助金では、申請する方の状況や内容によって補助率が大きく分かれますので注意が必要です。
■ものづくり補助金(3次締め切り)の補助率一覧
一般型(小規模事業者以外) |
2分の1 |
一般型(小規模事業者) |
3分の2 |
コロナ特別枠(A類型) |
3分の2 |
コロナ特別枠(B類型・C類型) |
4分の3 |
事業再開枠 |
10分の10(100%) |
表のとおり、ものづくり補助金のうち、コロナ特別枠(B類型、C類型)であれば、補助率は4分の3が認められます。補助率というのは、実際に設備投資を行う金額のうち、補助してもらえる割合のことです。仮に、300万円の設備投資を行う場合、補助率が2分の1であれば受け取れる補助金の最大は150万円、補助率が4分の3であれば、225万円になります。
ものづくり補助金は従来、設備投資などに関連する費用が補助対象であり、広告宣伝費、販売促進費は対象となっていませんでした。しかし、新型コロナウイルスに対応するための特別枠に関してのみ、広告宣伝費・販売促進費も補助対象となることになりました。
新型コロナウイルス対策の特別枠でものづくり補助金を受ける場合、緊急事態宣言の解除に伴う、「業種別ガイドライン」に沿った費用を補助してもらえます。事業再開枠は通常の補助金1,000万円とは別枠で、最大50万円まで、さらに補助率(10分の10)、つまり全額を補助してもらえる特別な加算額になります。
なお、ものづくり補助金の事業再開枠として認めてもらえる経費には、以下のようなものがあります。
主に、消毒費や清掃費用、換気費用などにあたります。なお、対象となる経費は業種によっても異なりますが、この「業種別ガイドライン」はまだ公表されておらず、今後公表される予定となっています(2020年5月29日現在)。なお、この事業再開枠はものづくり補助金の2次公募採択者についても利用可能となる予定です。
通常、ものづくり補助金の対象となる経費は、交付決定を受けてから契約、発注、納品、検収、支払いを行ったものとなります。しかしながら、新型コロナウイルス対策の特別枠においては、補助対象の遡及適用が認められています。
この場合、事前に補助金事務局に届け出を行って承認を得る必要があります。承認を受けずに支払った費用は対象になりません。
また、事前着手の承認を得ても、必ず補助金が採択されるというわけではありません。事前着手で支払った費用に関して、補助金が採択されなかった場合には、自己資金で負担する必要がありますし、次回以降の補助金申請の対象にもならなくなってしまいますので注意が必要です。
ものづくり補助金の特別枠への応募であれば、前述のような優遇措置が受けられます。これらの優遇措置を受けられるための特別枠の適用条件は、経費の6分の1以上を以下に投資することです。
① A類型:サプライチェーンの毀損への対応
② B類型:非対面型ビジネスモデル
③ C類型:テレワーク環境の整備
A類型:サプライチェーンの毀損への対応
サプライチェーンの毀損への対応とは新型コロナウイルスの影響を受けて仕入れ先、もしくは販売先が失われたという影響を乗り越えるための投資などが該当します。例えば、仕入れ先の事業停止を乗り越えるための内製化や、販売先が停止したために、新たな販路開拓を行う場合などが該当します。
B類型:非対面型ビジネスモデルへの転換
B類型は非対面・遠隔でサービスを提供するビジネスモデルへ転換するための設備・システム投資が対象になります。具体的には、自動精算機・キャッシュレス端末の導入、店舗販売からEC販売へのシフト、VR・オンラインによるサービス提供等が挙げられます。
C類型:テレワーク環境の整備
C類型は従業員がテレワークを実践できるような環境を整備するための投資が対象になります。例としてはWEB会議システム等を含むシンクライアントシステムの導入等が対象となります。
以上、3つの類型のいずれか(複数でも可能)に対し、経費総額の6分の1以上を投資することがコロナ特別枠で申請するためには必要です。加えて、特別枠の対象となるのは「新型コロナウイルスの影響を乗り越えるために前向きな投資を行う事業者」とされていますので、新型コロナウイルスの影響を受けていることが必要です。どのような影響があるかを具体的に説明する必要があります。
なお、B類型、C類型が設備投資の対象であれば、補助率は4分の3以内になります。加えて、特別枠で申込した場合、特別枠で採択されなかったり、特別枠が認められずに一般型に回されても、申請条件を満たしていれば優遇措置(加点)が認められます。
ものづくり補助金の申請対象となる要件や申請方法にも変化がありますので確認が必要です。
令和元年度補正予算(2020年申請)では、以下の3つを満たす事業計画を作成することが申請の条件となっています。
① 事業者全体の付加価値額を年率平均3.0%以上増加
*付加価値額=営業利益+人件費+減価償却費
② 給与支給総額を年率平均1.5%以上増加
③ 事業場内最低賃金を地域別最低賃金+30円以上の水準にする
さらに、これらの要件を満たす事業計画を従業員に表明することが必要です。
従業員への表明を行っていない場合、補助金採択・支払い後に返還を求められることもありますので、注意が必要です。
令和元年度補正予算(2020年申請分)から、ものづくり補助金の申請方法がGビズIDプライムアカウントを使用した電子申請システムに一本化されました。この電子申請システム以外の郵送、窓口持参などの方法は認められません。
そのため、申請を検討されている方は事前にGビズIDプライムアカウントの取得を行っておく必要があります。
このGビズIDプライムアカウントの申請・取得には時間がかかるうえ、申請方法を誤ると手続きをやり直すなどの必要もあります。また、補助金の申請期日までにIDの取得が間に合わないと、予定していた補助金申請が出来なくなることもありますので、意外と重要な手続きになります。もれなく手続きできるように準備が必要です。
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今回のものづくり補助金(令和元年度補正予算)は、新型コロナウイルスの感染拡大による影響を乗り越えるための特別枠を設けられているのが特徴です。該当する方は優先採択の対象となるうえ、補助率が最大で4分の3まで認められるという優遇措置も受けられます。
ものづくり補助金は最大1,000万円(特別枠は+50万円)まで受けられる人気の補助金です。設備投資を希望する方はこの機会に是非検討してみましょう。
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