ものづくり補助金には、もちろん個人事業主も申請できますが、事業計画書の作成や、申請時の入力項目などで非常に解りづらく、ミスや誤りが起こりやすくなっています。
なぜなら、ものづくり補助金や事業再構築補助金などは、法人の申請者が多いため、各申請用のフォーマットや項目が法人向けとなっており、個人事業主の申請にあわせて作成されていないのです。
特に経営状況表や事業計画への入力項目は、個人事業主の場合、知らなければできない部分が多数あります。
誤った内容で作成していては不備となって審査に不利になったり、申請要件を充足しなくなっているかもしれません。
今回は、ものづくり補助金で個人事業主が申請する際に注意すべき項目と、その作成方法について説明します。
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ものづくり補助金の申請時に入力する電子申請や、そこで添付する必要のある事業計画書などは法人向けに作成されており、個人事業主が入力するうえで戸惑うことが多々あります。
特に、損益の実績や計画に関する部分は、審査などにも重要な影響を与える部分にかかわらず、個人事業主に適した仕様になっておらず、なにを作成・記載すれば良いのか解らないと悩まれる事業者も多くいます。
特に、個人事業主が注意すべき項目は以下です。
それでは、各項目を個人事業主がどのように記載、入力すべきかを解説していきましょう。
ものづくり補助金に申請する際、応募者の概要として直近2期分の経営状況表(収支など)の記入を求められます。
経営状況表に入力すべき収支状況は非常に大切な項目であり、ものづくり補助金の審査にも影響する部分として誤入力はなんとも避けたいところです。
しかし、入力フォーマットには「売上高」「経常利益」「税引後当期利益」の3項目の入力欄がありますが、残念ながら売上高以外の項目は個人の確定申告書には存在していません。
そのため、何の数値を入力すれば良いのかと悩まれる申請者が続出しています。
それもそのはずです!
経営状況表で求められている経常利益や税引後利益は法人(株式会社など)の決算書にある項目であり、法人にはとても解りやすいのですが、個人事業主の確定申告書には存在しないため、同じように入力するのは非常に難解です。
確定申告書には無い項目だから、個人事業主は入力する必要がないのかと言えば、そんなことはありません。
個人事業主も経常利益や税引後利益に入力しないと、次の入力ページに進むことができず、立ち往生してしまいます。
そのため、個人事業主はこれらの項目を、確定申告書の項目に読み替えて入力する必要があるのです。
これは公募要領などを熱心に読み込んでも記載が無くて解りません。
個人事業主にとってなんとも不親切な取り扱いです。
結論から言えば、以下の通り読み替えて入力することになります。
【経営状況表の個人事業主の読み替え方】
項目 |
読み替え、もしくは計算方法 |
経常利益 |
差引金額(㉝) |
税引後当期利益 |
所得金額(㊺) |
よほど勘のするどい個人事業主でもない限り、知らないと入力できない読み替えです。
こちらの読み替え方法をチェックして、間違いのないように申請してください。
先ほどと同様に、ものづくり補助金の応募者の概要には株主・役員の一覧の項目があります。
この株主・役員といったものも個人事業主には無い項目です。
しかし、心配は不要です。
個人事業主はこちらへの入力は不要です。無視して飛ばして頂いて問題ありません。
法人番号・資本金といった入力項目も同様です。
個人事業主には存在しない項目ですので、こちらもものづくり補助金申請時には入力不要です。
次の会社全体の事業計画が最も難解な項目です。
ものづくり補助金に申請する場合、事業計画書を作成しなくてはなりません。
もちろん、定性的な事業計画だけでなく、収支計画も含めて作成する必要があります。
その際、ものづくり補助金では特定の項目で基準を満たす成長を求められていますので、個人事業主でも同様に基準を超える計画作成が必要になります。
具体的に言えば、営業利益、人件費、給与支給総額、付加価値額の4点が大切になります。
この4点が個人事業主だと大変解りづらく、なにをもとに計算して良いのか解らない申請者がたくさんいます。
そのため、個人事業主は以下の表を参考にしてください。
【個人事業主が間違えやすい事業計画の項目】
項目 |
読み替え、もしくは計算方法 |
営業利益 |
差引金額+利子割引料(㉝+㉒) |
人件費 |
福利厚生費+給料賃金(⑲+⑳) |
給与支給総額 |
給料賃金+専従者給与+青色申告特別控除前の所得金額(⑳+㊳+㊸) |
付加価値額 |
営業利益+減価償却費(⑱)+福利厚生費(⑲)+給料賃金(⑳) |
それぞれ、確定申告書を見ただけで解るものではなく、上記に従って計算する必要があります。
最低でも給与支給総額は年率1.5%以上、付加価値額は年率3%以上の増加目標を達成しないといけませんので、計算方法をよく理解して作成しないといけません。
この基準を超えない事業計画では、ものづくり補助金の申請要件を満たしていないことになります。
ものづくり補助金の補助率は2分の1が原則ですが、小規模事業者に限って3分の2の補助率が適用されます。
小規模事業者かそれ以外かの違いは従業員数に応じて判断されます。
具体的には、従業員数が5名以下であれば小規模事業者です。
この従業員数には事業主や専従者は含みません。
小規模事業者に該当する場合は、申請時に電子申請画面で小規模事業者のチェック項目を入れるのを忘れないようにしましょう。
当事務所でサポートする申請者のなかには、「個人事業主はものづくり補助金の審査に不利?」、「ものづくり補助金はある程度の規模を持った法人が対象?」といった疑問を持たれている方も多いようです。
しかし、ものづくり補助金は個人事業主も対象となる補助金であり、小規模の個人事業主は利用できないということは全くありません。
特に、2022年(令和4年)からは、申請者の希望に応じた金額が設定されたため、小規模事業者でも採択されやすくなったと言って良いでしょう。
設備投資・新規サービスを検討されている個人事業主の方は、是非、ものづくり補助金を検討してみましょう。
今回は個人事業主がものづくり補助金を申請する場合の注意点を採り上げました。
ものづくり補助金は法人が申請する場合を前提に準備されており、個人事業主の場合は読み替えが必要です。
特に、確定申告書への読み替えは知らないと出来ないことが多いですので、今回の説明を参考に申請いただければ良いかと思います。
なお、アステップ・コンサルティングでは、事業計画書の作成や、ものづくり補助金を始めとした各種補助金の申請手続き全般をサポートしています。
是非、お気軽にご相談ください。
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