事業承継

【経営者必見】事業承継に使えるM&Aを基礎から解説

POSTED
2020.05.24
WRITER
アステップコンサルティング
SHARE
  • 2020
  • 24
  • May

中小企業経営者にとって事業承継やM&Aと言えばどのような印象を持たれているでしょう。小難しい法律や手続きが必要で、仲介業者や金融機関に上手く踊らされている印象が無いでしょうか。

 

事業承継・M&Aの専門家にとって、当然ですが、それを専門としている事から日常茶飯事の事象で、そうした人の説明を聞くと、どうしても絵空事のような感想を持たれるかも知れません。

 

しかし、事業承継や、M&Aは中小企業経営者にこそ理解して頂きたい手続きです。ここでは、事業承継に関して今まで関心も無ければ考えたことも無い方であっても理解しやすいように、ごく簡単にご紹介したいと思います。

 

色々なサイトで事業承継やM&Aの解説を行っていると思いますが、それを専業にしている方が執筆されていることから特殊な用語やカタカナ文字で溢れていて、何が言いたいのかさっぱり不明と思っている方にみ一読頂ければ幸いです。

 

 

Contents

事業承継とは?

「事業承継」とは呼んで字の如く、自身が営々と築いてきた会社を他者に譲り渡すことを言います。

 

中小企業経営者の場合、経営する会社を従業員や他の会社などに渡すことになります。事業承継を行う経緯は様々であり、高齢となって引退したい場合や、育ててきた会社を売却してお金に換えたいなど理由は様々です。

 

事業承継で、会社を譲り渡す方法には幾種類かの種類があり、M&Aもその内の1つになります。

 

事業承継には会社規模に応じて、確認すべき法律も異なります。上場企業のような場合は、公正取引委員会まで申請・許可を得なければならないことがあります。しかし、一般的に件数が最も多い事業承継は、小規模な規模(年商数千万円~数億円)の事業承継です。

 

1人で行っている家業を譲り渡すことは簡単ですが、何人かの従業員の方々がいる場合等は慎重に行わなければなりません。そのような場合のポイントや気を付けなければならない点についても解説していきましょう。

 

 

事業承継のタイプ

事業承継に関しては誰がその仲介を行っているのかという点でも分類することができます

 

まず大手証券会社の専門部署が多く、次いで銀行などの金融機関が特別な部署を作っています。さらに、民間でも堂々と「○○M&Aセンター」等と銘打った企業も仲介役として登場しています。

 

ところで、事業承継の中で最も簡単な方法は親族内承継になります。気心の知れた息子、娘などの親族にそのまま事業を譲り渡すことは、古来多く成されてきました。経営者が手塩にかけて、大切に育ててきた企業であり、有望な事業であれば、是非、親族に渡したいと考える経営者は多いでしょう。

 

但し、親族内の事業承継の場合、交渉などが不要であるなど、大きな問題が起こりにくいことから、ここで論点に挙げる事業承継は「親族外承継」と呼ばれるタイプとします。親族外の第三者や、従業員に対してい事業を譲り渡す方法(M&Aなどが含まれます)が対象となります。

 

事業承継にはいくつかのタイプがある

 

 

親族外による事業承継の中分類

親族外に事業承継する場合の種類について解説していきましょう。

 

(1)MBOManagement Buyout:マネジメントバイアウト)

MBOとは、非同族の役員さんや従業員さんに事業承継する方法を言います。

親族への事業承継であれば「相続」や「贈与」になります。一方、元々、対象となる会社内に居た方に承継するというのがMBOの特徴です。

 

これは同じ社内の人間に事業を譲渡することから比較的簡単に譲渡できる方法です。会社や、事業のことも熟知されている方であれば、経営者の引き継ぎも円滑に進みやすいですし、その他の従業員の混乱なども少なく済むでしょう。

 

ただし、経営者から見て、どうしても自分の会社に経営を任せることの出来る人材がいない場合には対象になりません。逆にそういう人材がいる会社はかえって少ないと言って良いでしょう。

 

 

(2)M&AMerger and acquisition:マージャー アンド アクイジション)

M&Aとは、合併と買収と訳されます。読み方が一般的ではないので日本では通常「エムアンドエー(又はエムエー)」と呼ばれています

 

M&Aは会社全体を第三者に売却してしまう事業承継方法になります。対象となる相手は、広く探すことも可能です。仲介する会社に依頼すれば、候補者を探してもらうことが可能です。M&Aは第三者に譲り渡す事業承継方法であるため、会社法、税法など各種の法律の縛りがあり、注意点なども多くなります。

 

ここでは、中小規模の企業主様向けの紹介ですので、上記の(1)、(2)になります。大企業ですとIPO(株式上場)後、公開型の株式譲渡がありますが、ここでは割愛します。

 

第三者に事業譲渡する場合に、最もポピュラーで普通の方法がM&Aになりますが、このM&Aにもいくつかの方法があります。

 

これは、事業をどのように譲り渡すかの方法論であって、結果としては同じになる場合がほとんどです。ちなみにその方法とは「①新設分割方式」「②吸収分割方式」「③株式算定方式」等に分かれます。M&Aの理解を深めるためにこの①~③について概略をご紹介します。

 

新設分割方式

売り手側(又は買い手側)が新しい会社を作ってそこに自分の会社を移転させ、その新設した会社を売り渡すという方法です。買い手側は、新設された会社を自社の一事業部門として組み込むことが可能になります。

 

吸収分割方式

今ある売却しようとしている会社を丸々売り手側に売り払うことを指します。受け手の会社は、既存の会社に合併することで事業承継することになります。つまり、既にある会社の一部として吸収されることになります。

 

株式算定方式

主として、株式会社に適応されるもので、上場の有無にかかわらず売却しようとする会社の資産価値から1株当たりの株価を算定し、その全株式を売却するという方法です。

 

このように同じM&Aでも多くの手法が有り、売手側、買手側の色々な状況によりどの手法でM&Aするかが決まります。よくある新設分割方式によるM&Aの例を出来るだけ簡潔にご紹介します。

 

M&Aの種類を説明

 

 

M&Aの良くある事例

まず売り手側のA社は、オーナー会社で相続する親族も無く、また社内に継がせたい人材もなく、第三者への売却を考えていました。

 

A社は3つの事業を行っており、3事業合わせて年商1億円弱でした。3事業は飲食事業、不動産事業、介護事業の3事業でした。A社オーナーとしては介護事業を残して飲食事業と不動産事業を売却したいと考えていました。

 

そこで、飲食事業と不動産事業の2事業だけで新しい会社(C社)を作り、A社には介護事業だけを残しました。売却先B社も介護事業抜きのA社を欲していたため、この新設されたC社を買収した次第です。これはいわゆる売手側と買手側の需給関係が上手くかみ合いWinWinの関係でM&Aが完成した例です。

 

 

売手側で注意すべき事

次にM&Aで、事業売却(事業承継)を考えられている会社経緯者や経営幹部の方々にとって注意しなければならない点を簡単に解説しておきます。

 

 

① 事前に会社の実態を隅々まで把握しておくこと

売却となると会社自体に値段が付されます。その為、財務諸表だけでは無くいわゆる「のれん」や目に見えない付加価値の算定、人材価値、あるいは遊休地等も含めた把握が必要不可欠です。

 

買手側による企業調査(デューデリジェンスと言いますが、一般的に「デューデリ」とか「ディーディー」とか口語では言います)が実施されます。この時、売却する会社から調査に必要な資料一式を提供する必要があるため、まとまった資料が出せるようにしておく必要があります。

 

必要な資料は多岐に渡りますが、価格を少しでも高くしたり、事業承継後の引継ぎを円滑にするためにも、しっかりと対応する必要があります。もちろん、アステップ・コンサルティングでは資料準備から、買い手企業との交渉サポートも対応しています。

 

このデューデリジェンスを通して、相互理解が深まり、結果として良好なM&Aに結実することになります。

 

 

② 買取先候補が出て来ても慌てないこと

買取先候補の会社が出て来ても、慌てずにじっくりと短期間に売却を検討する必要があります

 

いずれにせよ仲介業者が持ってくる候補先ですので、買いたいという意識が先方にはありますが、温度の差があり買い叩き目的の場合もあるので注意しなければなりません。

 

 

③ 従業員対策をおこなうこと

永年共に仕事をしてきた方々に対して、M&Aが本決まりになる直前ぐらいには経緯を説明し、了解を求めましょう。M&A実行の条件にも組み込むことが出来ますので、もう少し前の説明でも良いかもしれません。ただし、早過ぎればあらぬ噂話等が出る可能性があるので秘匿しておく必要があります。

 

 

買手側で注意すべき事

 

① 買収の目的を明確に持っておくこと

買収するに当っての最終目的を堅持しておいてください。

 

自社の業績補強なのか、ブランド戦略なのか、それとも人材確保なのかという点を自社内及び仲介者とも良く共有しておいてください。目的がぐらつきますと判断に迷うことが良くあります。

 

 

② 相手先の隠れた資産・負債に注意

最も注意しなければならない点は簿外債務です。金銭上のものだけでは無く、係争中の案件があるか、都市計画により工場が無くなる可能性があるとか、許認可期限の問題など種々の帳簿上載ってこない債務には注意を要します。

 

 

③ PMI Post Merger Integration:買収後統合プロセスと訳されます。一般的に「ピーエムアイ」と言います)を大切に

 

M&Aは買ってしまえば終りではありません。最も重要なのが買った会社資源を「最大限に活かす」作業が必要になります。買収後の経営統合や、経営者の交代など、円滑に進めていく必要があります。PMIの段取りが悪いと、せっかく買収した企業の価値が棄損してしまう可能性もあります。

 

固定資産、流動資産、人材資源など自社に合う形で早くて3ヵ月、遅くて半年を目安に実行しましょう。

 

 

④ 買収後の検証も重要

該当するM&Aにより自社の業績が良くなったのか悪くなったのか。

 

また不可避なリスクが発生していないかなどの検証作業が必要で、PMIメンバーによる検証作業が最も効率的だと思われます。

 

 

 

アステップにご相談下さい

中小企業経営者にとって、事業承継は知っておくべき重要な手法です。

 

しかし、1人の中小企業経営者が、事業承継を経験する機会はそう多くありません。そのため、手続きになれた専門家のサポートが大切になります。

 

アステップ・コンサルティングでは、事業承継の売り手、買い手のどちらのサポートも可能です。適正な企業価値評価や、交渉のサポートまで一貫してお手伝いさせて頂きます。

 

事業承継を検討されている経営者は、是非、アステップ・コンサルティングにご相談下さい。

 

 

 

 

まとめ

M&A専門サイトとは一味違うM&Aに関する紹介を行いました。

事業承継は、中小企業経営者に是非とも知っておいていただきたい手法です。特に、近年は後継者不足で悩まれている経緯者が増加しており、円滑な事業承継は重要な課題ともなっています。

 

事業承継では、売却する方、買収する方、各々の想いが錯綜する場合もあり、手続きが煩雑になったり、たくさんの交渉が必要となることもあります。

 

事業承継を成功させるためには、しっかりとした準備が必要です。事業承継を検討されている経営者は、まずはお気軽にご相談下さい。

 

03-5859-5878受付10:00~18:00

お問い合わせ/資料請求