最大3,000万円を補助してもらえる「ものづくり補助金」ですが、設備投資として機械装置などの購入資金だけが対象になると誤解されている事業者も多いようです。
ものづくり補助金の対象経費は以外と幅広いため、しっかりと確認しておかないと損する可能性もあります。
どのような経費が対象になるのか、逆に補助対象にならないのかを整理しておきましょう。
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ものづくり補助金に限らず、各補助金制度には、それぞれ補助金の対象となる資金使途が細かく決められています。
そのため、各制度に沿った資金使途でなければ、補助金に申請しても受け取ることはできません。
ものづくり補助金の対象となる経費を一覧にすると以下のようになります。
ただし、これらの経費名だけを見ても、具体的にどういった経費が、ものづくり補助金の対象とされるのかは解り辛いですし、間違えると大変なことになる注意点もありますので、詳細を確認しておきましょう。
機械装置・システム構築費とは、ものづくり補助金の最も中心となる補助対象であり、設備投資としての機械装置の購入やシステム構築費が該当します。
また、設備投資としての対象になるのは、形のある機械や機材・器具だけではありません。
ホームページやウェブ上で機能するシステム(アプリなど)や、自社内で使用するシステム(ソフトウェアなど)も対象となります。
ソフトウェアを設備投資として認識されていない方もおられますが、こちらも設備投資として補助対象になりますので間違えないようにしましょう。
なお、機械装置・システム構築費として、ものづくり補助金の公募要領には、以下のように定義されています。
(ものづくり補助金公募要領から抜粋)
上記で記載されたように、設備投資は「購入資金」だけでなく、製作や借用も対象になります。
しかし、借用(リース・レンタル)は交付決定から補助事業終了まで(最長10ヶ月)が対象になりますので、その期間を超えて借用する場合は、契約上の金額全部を補助してもらえるわけではないことに注意が必要です。
ソフトウェアや機械設備の制作に要する費用も対象となりますが、申請者である事業者の従業員に支払う人件費は対象となりません。
一方、外部の開発業者に委託する場合の外注費が対象となります。
ですので、自社従業員による開発の場合は補助額が少なくなる可能性があります。
2022年のものづくり補助金では、購入する機械装置が中古品であっても対象となるようになりました。
従来のものづくり補助金では中古品は対象外とされていましたので、対象となる設備の範囲は広がったと言えます。
しかし、中古品には厳しい制限もあります。
その一つが、3者以上の中古品流通事業者から型式や年式が記載された相見積もりを取得しなければならないという条件です。
中古品を対象に加える場合、購入する設備と同水準の条件となる中古品での相見積もりを3者以上で求められます。
改良・修繕とは、本事業で購入した機械設備の機能を高め又は耐久性を増すために行うものが対象となります。
そのため、本事業で購入したもの以外に行う改良、修繕費用はものづくり補助金の対象になりません。
また、同様に据付け工事の対象となるのはは、本事業で購入した機械・装置の設置と一体で捉えられる軽微なもののみが対象となります。
その他で購入したものの据付工事費はものづくり補助金の対象となりませんし、また、据付工事であっても、設置場所の整備工事や基礎工事は補助対象とはなりません。
なお、ものづくり補助金では、土地の購入費や、建物の建設費、増改築工事費などは対象となりません。
ものづくり補助金の対象となる機械装置・システム構築費は、対象事業のために使用することが明確に確認・区別できるものとなります。
そのため、パソコン・タブレット端末・スマートフォンなどの汎用性が高く、対象事業を区別することが難しい設備は補助の対象となりません。
技術導入費とは、本事業の遂行のために必要な知的財産権等(特許、商標など)の導入に要する経費を指します。
例としては、他社が保有している知的財産権等を購入するための費用などがあげられます。
専門家経費とは、ものづくり補助金を活用して行う事業のために依頼する専門家への費用です。
専門家経費の具体例をあげると、学識経験者、兼業・副業、フリーランス等の専門家に依頼する技術指導や、助言などが対象とされています。
また、コンサルティング業務や旅費なども対象に含めることができます。
門家経費をものづくり補助金の対象に含める場合、価格の妥当性を証明するため、複数の見積書を取得する必要があります。
加えて、1 日5万円を上限とし、専門家ごとに上限額も異なります。 また、外注費と、専門家経費の相手先を同一とすることもできません。
運搬料、宅配・郵送料等に要する経費も、ものづくり補助金の対象になります。
なお、ものづくり補助金を活用して購入する機械装置の運搬料は、機械装置費として計上します。
クラウドサービス利用費とは、ものづくり補助金の対象となる事業を遂行する目的で、利用するクラウドサービスやWEBプラットフォームの利用費であって、対象事業のために使用することが明確である必要があります。
他事業と共有するクラウドサービス利用費は補助対象となりません。
クラウドサービス利用費の具体例としては、サーバー領域の賃料(サーバーの物理的なディスク内のエリアを借入、リースを行う費用)、サーバー上のサービスを利用する費用等があげられます。
サーバー購入費・サーバー自体のレンタル費等はクラウドサービス利用費に含まれません。
また、サーバーの領域を借りる費用は、見積書、契約書等で確認できるもので、補助事業期間中に要する経費のみが対象になります。
そのため、契約期間が補助事業期間を超える場合の補助対象経費は、按分等の方式により算出された当該補助事業期間分のみとなります。
ルータ使用料・プロバイダ契約料・通信料等、クラウドサービス利用に付帯する経費についても補助対象となりますが、あくまでも補助事業に必要な最低限の経費であり、販売促進のための費用(公開のためのホームページ作成料等)は対象になりません。
ものづくり補助金の対象となる原材料費とは、試作品の開発に必要な原材料及び副資材の購入に要する経費が対象になります。
ただし、補助対象となる原材料等の数量は必要最小限にとどめ、補助事業終了時には使い切ったものが対象になります。
補助事業終了時点での未使用残存品は補助対象となりません。
そのため、原材料費を対象に含める場合は、購入量や使用量を帳簿などで管理する必要があります。
ものづくり補助金では、新製品・サービスの開発に必要な加工や設計(デザイン)・検査等の一部を外注(請負、委託等)するための費用も補助対象とすることができます。
ものづくり補助金では、事業者が購入・開発する設備費用、およびそのための外注費は補助対象となります。
しかし、外注先が購入する設備費用を対象に含めることはできません。
知的財産権等関連経費とは、新製品・サービスの開発成果の事業化にあたり必要となる特許権等の知的財産権等の取得に要する弁理士の手続代行費用や外国特許出願のための翻訳料など知的財産権等取得に関連する経費を指します。
なお、知的財産権等関連経費を使用できるのは、本事業の成果に限定されます。
本事業の成果と関係なく、別途で発明したものなどは補助対象に含めることができません。
また、ものづくり補助金の事業期間内に出願手続きを完了していない場合も、補助対象にはなりませんので注意が必要です。
前述の通り、ものづくり補助金では設備投資に関する購入費、開発費以外にも、様々な専門家経費や外注費などが対象として含まれます。
しかし、ものづくり補助金の対象とするためには、最低でも単価が50万円以上(税抜き)となる設備投資が含まれている必要があります。
つまり、ものづくり補助金には設備投資が必要であり、設備投資を伴わない事業は補助対象となりません。
設備投資を前提として、付随する費用を含めることができるのです。 設備投資を含めずに、その他の費用だけで、ものづくり補助金を申請することはできません。
それでは、設備投資を50万円以上(税抜き)含めていれば、補助上限額との差額950万円(=1,000万円-50万円)は、どの費用にも自由に振り分けて良いのでしょうか?
いえ、それも誤りです。
ものづくり補助金では、各費用項目に対して、申請できる上限が設けられています。各費用でいくらまでの申請が可能かを確認しましょう。
技術導入費、知的財産権等関連経費は、補助対象経費総額(税抜き)の3分の1が上限です。
ここで言う、補助対象経費総額の3分の1というのは、以下のように計算します。
例えば、設備投資として500万円(税抜)を予定している場合、技術導入費や、知的財産等関連経費として申請できる金額の上限は以下のように計算できます。
*単純化のため、設備投資、技術導入費(もしくは知的財産権等関連経費)だけが対象になる場合で説明します。
補助対象経費総額=(500万円+その他対象経費(X))÷3≧X ⇒ こちらを計算して、X=250万円が技術導入費、知的財産権等関連経費の上限額になります。
また、こういった補助対象経費総額の3分の1までという上限があることから、技術導入費、知的財産権等関連経費は最大でも333万円(補助上限額1,000万円の3分の1)までということになります。
前述の技術導入費・知的財産権等関連経費と同様に外注費・専門家経費にも上限が設けられています。
ものづくり補助金において、外注費・専門家経費は補助対象経費総額の2分の1までと定められています。
そのため、外注費・専門家経費は最大でも500万円までとなります。
また、ものづくり補助金(グローバル展開型)においては海外旅費も補助対象として認められますが、こちらにも補助対象経費総額の5分の1までという制限が設けられています。
なお、技術導入費・知的財産権等関連経費は3分の1、外注費・専門家経費は2分の1までといった各経費項目に対する上限が定められていましたが、各経費総額にも上限が設けられています。
それが、設備投資(機械装置・システム構築費)以外は500万円(税抜)を上限とするものです。
ここまで、外注費・専門家経費は2分の1となる500万円、技術導入費、知的財産権等関連経費はそれぞれ333万円が上限となるという説明を行ってきました。
それに加え、ものづくり補助金では各経費項目を合算し、設備投資以外の上限を500万円に定めています。
仮に外注費として300万円を計上した場合、その他の設備投資以外の経費は200万円までしか使用できなくなります。
技術導入費や知的財産権等関連経費は333万円まで使用することができなくなるのです。
各経費項目の上限に加え、設備投資以外の経費全体としての上限が設けられていることにも注意しましょう。
ものづくり補助金の対象となる経費は前述の通りですが、以下に該当する場合は補助の対象になりません。補助対象外となる事例を確認しておきましょう。
■ものづくり補助金の対象とならない経費例
なお、その他補助金でも同様ですが、ものづくり補助金では、消費税は補助の対象外です。
仮に、500万円の設備を購入して、消費税10%を加えた550万円を支払う場合で確認してみましょう。
この時、ものづくり補助金(一般型・補助率2分の1の場合)、補助金を受け取ることのできる金額の上限は、500万円(税抜)×2分の1=250万円となります。
消費税50万円に対しては補助金を受け取ることはできません。
ただし、消費税が補助の対象外だからと言って、事業主の負担が大きくなるというものではありません。
消費税は確定申告において、支払った額が受け取った額よりも大きければ還付を受けることができます。
消費税は費用ではなく、あくまでも「仮払い」といった性質であるため、補助金の対象から除外されると考えた方が良いでしょう。
アステップ・コンサルティングでは、ものづくり補助金を始め、各種補助金の申請を徹底的にサポートいたします。
事業計画の作成や、申請書類の作成方法、各種費用が補助対象に含めることが可能か、また様々な加点項目の利用が可能かどうかなどの判定も行います。
アステップ・コンサルティングでは、ものづくり補助金において多数の採択実績を有しますので、安心してお任せ頂くことが可能です。
(注意)アステップ・コンサルティングは、事業者様がご検討されておられる事業計画のブラッシュアップや、実現可能性を高めるための助言、サポートや申請書類の作成などをサポートいたします。
実態を無視しして、事業計画書を一方的に作成するといったことは行っておりません。
今回はものづくり補助金の対象となる経費、対象とならない経費について説明しました。
ものづくり補助金は設備投資だけが補助対象となると思われがちですが、その他の経費についても補助される可能性があります。
しかし、せっかく、ものづくり補助金に採択されても、対象とならない経費を目的としていては無駄になってしまいますので、事前にしっかりと確認しておく必要があります。
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