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【ものづくり補助金】予算案から推察する平成31年度の実施見込みと平成30年度の結果概要

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2018.12.30
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アステップコンサルティング
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平成29年度補正予算で公募された「ものづくり補助金」(平成30年度実施の1次公募・2次公募)から、今後の予算案から推察される平成31年度の実施有無や規模などを読み解いてみましょう。

 

中小企業にとって「ものづくり補助金」のように補助金で賄える新しい設備投資は、願ってもないことですが、平成30年度のものづくり補助金の公募は終了して、平成31年度以降の実施有無などは未定の状況です。

 

ものづくり補助金は人気の高い補助金であり、過去の公募に惜しくも落選されてしまった方や新規の設備投資を検討されている方など、平成31年以降で申請を希望されている方は多いでしょう。当ページでは、「ものづくり補助金」の平成30年度の動向から、今後の見通しを予測していきます。

 

 

Contents

ものづくり補助金の平成30年第1次公募

「ものづくり補助金」の平成29年の第2次補正予算からに焦点を当てていきます。

「ものづくり補助金」は、第1次公募として平成30年2月28日から4月27日までの期限で実施されました。

 

そしてものづくり補助金の採択結果が、中小企業庁より平成30年6月29日に発表されました。公募要領の公表後、応募・申請期間は、約2か月間で選考期間も約2か月間におよびます。採択結果によれば、ものづくり補助金の1次公募に対する全体の応募事業者が17,275件でした。審査結果後、実際に採択されて「ものづくり補助金」を受けられる事業者は、全体の55%となる9,518件という結果になっています。

 

ものづくり補助金に申請された事業者のうち、約半数の事業者が、厳しい審査により補助金対象から外される結果になりました。ここで「ものづくり補助金」の概要から進めていきます。

 

ものづくり補助金の対象者

ものづくり補助金の公募要領によれば、補助対象となる事業者は、中小企業や小規模の事業者(自営業者含む)です。

さらに、国で認める支援機関の金融機関や税理士などから、「実行可能な事業計画」と確認されている事業者であることが補助金の対象条件になります。

 

但し、補助金の対象要件を満たすだけでは十分ではありません。申請要件を満たすことは最低限の条件であって、加えて審査に通過することが求められます。いくら補助金が申請できるといっても、企業の実力をはるかに超えた実効性のない計画では、審査が通りにくい申請になります。

 

ものづくり補助金の補助金額

2018年の「生産性向上」をテーマとした「ものづくり補助金」の予算規模は、1000億円です。では、事業者別の補助金額は、どのくらいなのでしょうか?約半数の事業者が第一次公募で採択された「ものづくり補助金」の補助金額は、次の通りです。

 

事業区分

補助上限額

一般型

原則1,000万円(1事業者あたりの金額)

小規模型

原則500万円

企業間データ活用型

原則1,000万円(1事業者当たりの金額)

 

事業区分が3種類あります。事業者が求める設備投資の規模により、補助上限額が違ってくるのです。では、小規模型と一般型・企業間データ活用型で金額が違ってくる内容の違いを下記に表しましょう。

 

事業区分

補助金活用項目

一般型

設備投資と試作品開発を併せた活用

小規模型

試作品の原材料・試作品の外注加工費・クラウド利用費

企業間データ活用型

機械設備費。技術導入費・運搬費・専門家経費・クラウド利用費

 

ここで注目が、平成29年度補正予算の「ものづくり補助金」から新設された「企業間データ活用型」です。

 

 

企業間データ活用型

「企業間データ活用型」は、平成28年度補正予算の「ものづくり補助金」で「第4次産業革命型」の後継型になります。第4次産業の「IoT、ビッグデータ、AI、ロボット」などを活用した生産性向上の設備投資の形です。

 

企業間データ活用型というのは、事業者1社だけではなく、個々に専門性の高い企業間で1つのプロジェクトを起ち上げ、プロジェクト単位で活用できる補助金をシェアできる型ですね。補助条件の追加要項として、企業間プロジェクトの事業実行にあたり、必要な専門家経費には、30万円の補助金が増額されます。

 

さらに上限企業数10社まで、連携企業数に応じて補助金が1社につき最大200万円まで増額されるのです。昨今のジョイントベンチャーによる企業間プロジェクトには、願ってもない補助金システムだと言えるでしょう。

 

しかしながら、実際には、平成30年6月29日に発表した第1次採択結果では、「企業間データ活用型」での申請は少なかったのです。

 

ものづくり補助金の補助率

ものづくり補助金の補助率は以下の通りになります。補助率というのは、実際に必要となる投資額の総額のうち、補助金の対象となる金額の割合のことです。

 

  • 「企業間データ活用型」の補助率は、3分の2

  • 「一般型」の補助率は、2分の1

  • 「小規模型」で小規模事業者以外の事業者の補助率は、2分の1

  • 「小規模型」で小規模事業者の補助率は、3分の2

 

「一般型」のみ、条件によって補助率が通常の2分の1から、3分の2に上がります。補助率が上がる条件は、先端設備等導入計画の認定を取得した事業者の場合です。各自治体の補助金の申請へのバックアップがうかがえる取り組みですね。

 

以上のような「型」に区別されて、平成30年6月27日に第1次採択が公表されました。続いて、平成30年8月から9月に向けて第2次公募が開始されたのです。

 

 

ものづくり補助金の平成30年第2次公募

平成29年度補正予算で可決した「ものづくり補助金」の2次公募が平成30年8月3日~9月18日の期間で応募が集まりました。

ものづくり補助金の2次公募全体の応募6,355件に対して、半分にも満たない2,471件(採択率38%)の事業者が補助事業者として採択されました。1次公募に比べて、2次公募の採択率はかなり厳しく、大幅に絞り込まれたという印象です。

 

半面、特別な配慮を施されたのも事実です。

北海道の厚真町、安平町、むかわ町の3つの町に所在する事業者は、平成30年9月6日に発生した北海道胆振東部地震への特別処置がされたようですね。これら3町は、震度6強の地震による被災を受けた地域です。

 

申請期限についても、本来の期限より、12日ほど猶予期間が延びて、平成30年10月1日までの応募が延長されました。

 

平成31年(2019年)のものづくり補助金動向

平成29年度補正予算からの「ものづくり補助金」は、第1次公募、第2次公募を経て採択されました。それでは、平成31年度(2019年)の「ものづくり補助金」の動向を読み解いてみます。

 

平成30年8月31日に経済産業省より開示された「平成31年度概算要求のPR資料」で平成31年に向けた「ものづくり補助金」の施策が記述されていました。経済産業省より開示された平成31年度概算要求PR資料について、日刊工業新聞の平成31年9月3日の記事で以下のように報道されました。

 

「試作品開発などの設備投資支援補正予算から当初予算まで間断なく生産性向上を支援収益向上支援 収益拡大対策 人手不足対策」(参照元:日刊工業新聞 9月3日報道文より)。

 

平成31年度当初予算に対するものづくり補助金の予算計上が100億円になります。予算の計上目的が、「切れ目なく継続的に講じる」です。平成30年度補正予算が1,000億円でしたので、予算規模は大幅に減額されているように見えます。それでは来年度のものづくり補助金は規模が縮小するのではないかと思われる方もいるかもしれません。

 

しかし、それは少し違うと考えられます。これまでのものづくり補助金の予算は「補正予算」で計上されたものであって、当初予算には計上されていません。しかし、平成31年度には、当初予算の時点から100億円が計上されています。そして、平成31年度の補正予算はこれから調整が加えられていきます。

 

つまり、ものづくり補助金は100億円とは言っても、当初予算から計上されるように、継続的に実施される制度として認知されていると考えられます。そのため、平成31年度に関しても、ものづくり補助金が実施される可能性は高く、平成30年度に劣らない規模で実施されることが予想されます。

 

なお、「切れ目ない」という表現についは、15カ月予算が関連してきます。

15ヵ月予算とは、補助金対象に該当する年の補正予算3か月分+翌年度予算当初予算12ヵ月分に当たります。年度またぎで切れ目のない15カ月予算が、日刊工業新聞で報道された「当初予算まで間断なく生産性向上を支援」に該当すると考えられます。

 

 

生産性特別補助金の見通し

日刊工業新聞の報道によりますと、公明党の山口氏が、秋の臨時国会では発表できなかった平成31年度の補正予算を発表しました。その結果、平成30年度第2次補正予算で生産性特別補助金の創設が見込まれています。生産性特別補助金については、平成30年12月1日に経済産業省の告知資料から確認ができました。

 

経済産業省の告知資料によると、中小企業生産性革命推進事業として、「ものづくり補助金」をはじめ、「IT導入補助金」、「小規模企業持続化補助金」の3つの補助金を統合した施策になるとされています。

 

さらに、日刊工業新聞によると、これら3つの補助金を統合した生産性特別補助金は、想定予算規模が1,000億円と報道されています。生産性特別補助金は、まさに平成30年を締めくくる今後への見通しになるでしょう。

 

平成31年度の「ものづくり補助金」は、年度またぎで、消れ目のない予算執行を掲げています。景気対策効果であり、中小企業にとっては、事業規模拡大の機会になることでしょう。

 

まとめ

平成30年度のものづくり補助金は予算1,000億円という規模で、1次公募、2次公募が行われました。しかし、予算規模は上昇していますが、採択率は1次・2次の合計で51%程度であり、決して高いとは言えない水準です。

 

しかしながら、平成31年度においては、当初予算からものづくり補助金の予算が計上されるなど、平成31年度も同規模以上での補助金実施が期待できます。平成30年度に残念ながら採択されなかった事業者や、これから設備投資を検討されている方は是非とも次回のものづくり補助金に申請されるべく準備を始めてみてはいかがでしょうか。

 

アステップ・コンサルティングでは、ものづくり補助金の申請にむけた事業計画の作成や、加点項目の獲得についてもお手伝いしております。申請を検討されている方は、是非、当社にご相談ください。

 

 

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