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【飲食店開業のポイント】初めて従業員を採用したときに必要な書類・手続きを解説

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2018.09.01
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アステップコンサルティング
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  • 2018
  • 01
  • Sep

飲食店の開業だけでなく、様々な事業において従業員を採用する機会は存在するでしょう。

 

パートやアルバイトを雇用するときは、勤務時間や時給などについて口頭の説明だけですませてしまうことが多いようですが、雇用契約に関する書類をはじめ、税務署や労働基準局などへ届け出る書類が必要です。

 

経営者は、法的に義務づけられた手続きを怠ると罰則を課せられたり、「ブラックバイト」のレッテルを貼られたりしかねませんから、必要な手続きは抜かりなくすませるようにしましょう。

 

 

 

Contents

パート・アルバイトでも雇用契約書が必要


2015年に施行された「パートタイム労働法」では、パートやアルバイトなど、短時間労働者を雇用する際は、正社員と同様に労働条件を提示することが義務づけられました。

 

労働条件を提示するための方法として「雇用契約書」または「労働条件通知書」を作成する必要があります。

 

どちらの方法も、雇用期間や仕事内容、休日、賃金などに関する規定を明示するものですが、次のような違いがあります。経営者は、それぞれの違いを理解して、実践する必要があります。

 

 

雇用契約書

経営者は、「雇用契約書」を作成し、雇用者と従業員が読み合わせを行い、双方同意のもとに雇用契約書に署名押印をして保管します。

 

ただし、雇用契約書は労働契約法(罰則のない任意法規)に基づくものなので、必ずしも書面にすることはなく、口約束だけでも契約は成立します。

 

 

労働条件通知書

雇用主・経営者が労働条件を従業員に通知するもので、従業員の同意を得る必要はありません。

 

つまり、労働条件通知書とは、雇用主から労働者に対する一方的な通知となります。これは労働基準法(罰則のある強制法規)に基づいており、書面にすることが義務づけられ、記載する事項も定められています(詳細は後述)。

 

雇用契約書と労働条件通知書はどちらを用いてもよいとされています。

そのため、書面にする必要のある労働条件通知書を作成することが多いのですが、通知書には署名押印の欄が設けられていないので、何らかの行き違いが生じたとき、「言った、言わない」の争いに発展する恐れがあります。

 

現に最近は、パート・アルバイトと雇用主の間で、契約期間に関するトラブルが増える傾向にあるといわれています。

 

そうした事態を避けるために、「雇用契約書兼労働条件通知書」という名称で書面を作成し、最後に双方で署名押印して保管する方法が一般的になっています。

 

 

 

明示しなければならない事項


雇用契約書兼労働条件通知書に記載しておくべき事項は決められています。以下では、飲食店の開業時を主な対象として、経営者が従業員に明示すべき事項について説明していきます。

 

 

1.労働契約の期間

雇用契約書兼労働条件通知書では、契約期間を定めて、更新の有無も明記します。契約期間満了までは正当な事由がない限り解雇することはできません。

 

 

2.就業場所・仕事内容

店舗の住所と、接客、調理補助、清掃など、業務内容を具体的に記入します。

 

 

3.勤務時間、残業の有無、休憩時間

シフト制であれば基本シフトだけでなく、変更の可能性があるシフトについても明記し、残業の有無を記入します。休憩時間については、勤務時間が6時間以上8時間以下の場合は45分間の休憩が義務づけられています。

 

 

4.休日・休暇

週に1日、または4週を通じて4日は法定休日として必ず休ませなければなりません。

 

法定休日に働いてもらう必要があるときは、割増賃金で対応することになります。また、パート・アルバイトも採用から6か月経過した後、所定の労働日数を満たせば有給休暇の対象となります。

 

 

5.賃金・昇給・賞与

時給や割増賃金の有無を記入します。昇給と賞与の有無については、パートタイマー労働法によって新たに記入することが義務づけられたものですが、実際に昇給をするか賞与を出すかは雇用主の自由とされています。

 

ただし、一度賞与を支給すると次回も支給せざるを得なくなるので、初めに支給基準を定めておくことが大切です。

 

 

6.退職・解雇

定年制の有無、自己退職や解雇する場合の規定について記載しておきます。

 

雇用契約書兼労働条件通知書では、パート・アルバイトも退職手当の有無を記載することが義務づけられています。

 

 

7.加入保険

雇用契約書兼労働条件通知書には、健康保険、厚生年金、雇用保険への加入の有無を記入します。

 

なお、雇用契約書兼労働条件通知書に関する書面の名称にはとくに決まりはありません。以上で解説した事項が盛り込まれていれば「就業契約書」など、別の名称を用いてもかまいません。

 

 

 

税金に関する手続き


パート・アルバイトでも、年収が1人当たり100万円を超える場合は、雇用主は所得税と住民税を徴収して納付する義務が生じます。

 

所得税と、住民税それぞれで、経営者が従業員からどのように徴収して、どういった手続きを行う必要があるのかを解説しておきましょう。

 

 

所得税

雇用主は、従業員に対する「源泉徴収義務者」となり、給与から所得税を源泉徴収(天引き)して、税務署へ納めなければなりません。そのための手続きとして税務署に「給与支払事務所等の開設届」を提出します。

 

開設届の提出によって、税務署から納付書が送られてくるので、期限内に納税するという仕組みになっています。

 

開設届は、給与を支払うようになってから1か月以内に、店舗の所在地を管轄する税務署に持参するか郵送します。

 

 

住民税

雇用主は「特別徴収義務者」となり、給与から特別徴収(天引き)して、金融機関を通じて各市町村へ納付します。

 

ただし、住民税は前年の1月~12月までの所得に対して課税され、本年の6月~翌年5月までその税額を徴収して納付するものです。つまり、住民税の徴収期間は6月~5月までとなります。

 

本年1月以降に入社した従業員は、前年は在籍していなかったので、徴収するのは翌年(入社2年目)6月の給与から始まることになります。

 

手続きをするときは、従業員別に1月~12月までの給与総額を記載した「給与支払報告」を、翌年1月31日までに各市町村へ提出します。それに基づいて住民税額が計算され、5月末までに事業所へ納付書が送られてきます。

 

 

 

労災保険の加入手続き


労災保険とは、仕事中や通勤途中で病気やケガをしたり、死亡した場合に補償を行うことによって、被災した本人や遺族の生活を安定させることを目的とした保険制度です。

 

労働時間がたとえ1日1~2時間程度のパートであっても加入が義務づけられます。労災保険に加入するための保険料は一般に次の計算式で求めます。

 

労災保険料 = 給与総額 × 保険料率

 

保険料率は業種によって異なり、飲食店の場合は0.003(0.3%)とされています。たとえば、従業員の年間給与を150万円支払う場合、150万円×0.003=4,500円です。

 

1か月あたりにすると375円です。決して大きな負担ではありませんので必ず加入するようにしましょう。

 

労働局では、加入義務があるのに未加入の事業主には厳しい対応を行うことになっています

もし、行政から指導を受けているにもかかわらず未加入のままでいると、従業員が労災で傷病を負った場合、給付されるべき保険金の全額を雇用主から徴収することがあります。

 

それは、保険料が未納であっても労働者は保護され、労災申請をすることができるからです。その際は、雇用主は未納分の保険料も2年分さかのぼって徴収され、ケースによっては追徴金を課されることもあります。

 

労災保険の手続きは、保険関係が成立した日(正式に雇用した日)の翌日から10日以内に、所轄の労働基準監督署へ「労働保険関係成立届」を提出します。この書類は雇用保険に加入する際に必要ですから、控えをもらっておきます。

 

その後、「労働保険概算・確定保険料申告書」を提出し、保険料を納付します。

 

 

雇用保険の加入手続き


雇用保険とは、従業員が失業したとき、あるいは雇用の継続が困難になったときに、必要な給付を行って生活の安定を図り、再就職の援助をするための保険制度です。

 

雇用保険は労災保険と違って、労働時間が週に20時間以上で、かつ31日以上の雇用が見込まれる従業員が加入対象となります。昼間学生は原則として加入対象とはなりません。

 

保険料率は給与の0.009(0.9%)で、そのうち従業員が0.3%、雇用主が0.6%負担します。給与総額が150万円とすると雇用主の負担は150万円×0.006=9,000円となり、1か月あたり750円です。

 

手続きは、労働基準局で保険関係成立に関する手続きをすませたあと、最寄りのハローワークで「雇用保険事業所設置届」「雇用保険被保険者資格取得届」「労働保険関係設立届(控)」などを提出します。雇用保険にはマイナンバーを記載しますから、本人からマイナンバーのコピーを預かるようにします。

 

 

 

社会保険の加入手続き


社会保険は、狭義の意味では健康保険と厚生年金、介護保険の3つを指します。

 

法人と、個人事業で従業員を5人以上雇用している場合は「強制適用事業所」となり加入が義務づけられます。

しかし、飲食店などのサービス業は「任意加入事業所」とされているため、従業員が何人いても加入の義務はありません。

 

従業員の2分の1以上が加入に同意し、雇用主が年金保険事務所に加入の申請をすることで、強制適用事業所と同じ扱いになり、加入対象となります。詳しくは下記サイトで説明していますので参照してください。

 

【飲食店開業のポイン】パート・アルバイトが社会保険に加入する方法は?

 

 

まとめ


飲食店開業にあたって、新人スタッフを迎え入れるときは、法的な手続き以外にも、経営者は準備しておくべきことがあります。ユニフォームやロッカー、タイムカードなど、新人が戸惑うことのないよう前もって整えておきましょう。

 

最近は、紙のタイムカードを廃止し、クラウド型勤怠管理システムを導入する店舗が増えています。

 

これは正社員、パート、アルバイト、契約社員など雇用形態が違うスタッフも一元管理できるので、給与計算にかかる時間と人件費を削減することができます。

 

採用される従業員にとってもきちんと給与計算してもらえるので安心です。スタッフの定着率を高めるためにも勤怠管理システムの導入を検討してみてはいかがでしょう。

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